最新の情報を反映して版を重ねる辞書や事典。辞書編纂(へんさん)の苦労は、三浦しをんさんの『舟を編む』にも描かれました。
そんな情報と情熱がたっぷり詰まった辞書では、調べ物をしていたら予想外のものが見つかるなんてことも。
今回は秋の七草の1つである「撫子(なでしこ)」項目にあった「予想外」をご紹介いたします!
「やまとなでしこ」は、男性にも使っていた!
可憐で凛々しく清楚な日本女性を表す言葉として知られている「大和撫子(やまとなでしこ)」。平安時代までは現代とちょっと違う捉え方をしていたよう。
古くからその花の美しさと愛しい人とを重ねる褒め言葉として使われていましたが、『万葉集』では女性とともに男性も「大和撫子」と表されており、女性限定ではなかったことが分かります。
また、『源氏物語』では幼児の象徴として「撫子」、妻や愛人に対しては「常夏(撫子の別名)」という表現が使われています。
ひとかけらも「やまとなでしこ」なんかではない私、なんだか嬉しくなってしまいました(そんな枠にくくられてたまるか、と思っていました笑)。この言葉があまり好きではないかたも、ちょっとイメージが変わったのではないでしょうか?
「なでしこジャパン」「なでしこリーグ」も辞書に載っている!
『デジタル大辞泉(小学館)』で「なでしこ」の項目を見てみると……。
「なでしこジャパン」「なでしこリーグ」の略。
なんと、あの話題になった日本女子サッカーチーム・リーグの項目がありました!
もちろん、「なでしこジャパン」「なでしこリーグ」でも項目がたてられていますよ!
ちなみに、「なでしこジャパン」は、『日本大百科全書(ニッポニカ)』にも掲載されています。
秋の七草「撫子」についても、ちょっとだけ
日本に自生しているナデシコ属の一般名・総称で、カワラナデシコ、タカネナデシコはじめ、いくつかの品種があります。
語源説の1つである「撫でるようにかわいがっている愛しい子どものような」というのがよく分かる、先が細く割れた繊細な桃色の花を8~9月ごろに咲かせます。
▼続けて秋の七草クイズに挑戦!
【難読】「女郎花」なんて読む?これからの季節に咲く花です!
参考文献:
・『デジタル大辞泉』小学館
・『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館
・大野晋、浜西正人『角川類語新辞典』角川書店
・『日本国語大辞典』小学館