【どこよりも詳しい!】歌舞伎界のニューヒーロー!尾上右近こと清元栄寿太夫の 襲名披露公演実況レポート

【どこよりも詳しい!】歌舞伎界のニューヒーロー!尾上右近こと清元栄寿太夫の 襲名披露公演実況レポート

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歌舞伎役者の尾上右近さんが2月26日(月)、歌舞伎座にて、清元節の七代目清元栄寿太夫としての襲名披露公演を行いました。その日、歌舞伎座は清元のお弟子さんや花柳界の方々で賑わい、いつも以上に華やかな空気に包まれていました。

尾上右近六代目清元延寿太夫三十三回忌追善、七代目清元延寿太夫襲名三十周年記念「延寿會」が盛大に行われる中、尾上右近事 清元栄寿太夫襲名披露が行われました。

歌舞伎役者として大活躍中の尾上右近さんですが、じつは清元の家に生まれ、物心つくころには清元の音色が身近に聴こえる生活の中で育っています。父方の祖母は六代目尾上菊五郎の娘。その祖母様の家で六代目の「鏡獅子」のビデオを見せてもらったとき(なんと、わずか3歳のときに)役者になる決意をし、直ぐに尾上流に入門したそうです…ただ者ではありませんね。家では8歳上のお兄様の三味線に合わせて清元の稽古をしていたそうです。歌舞伎役者としてのこれまでの活躍はご存知の通り、品のある芸風に定評があります。最近は、スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」で主役を勤めたことでも注目を集めました。公演情報 このたび、歌舞伎役者として活躍する一方、清元界とともに両立させるという約束の元、歌舞伎界と清元界から異例のお許しが出て、父親の前名である清元栄寿太夫を襲名することになったのでした。

尾上右近

「延寿會」の第一部は10時半開演の自由席。で、清元の演奏が20番近く続きます。艶のある美しい音色は心地よく…。かつて私は清元の三味線を習いたくて、無謀にも師匠の門を叩いたものの、結局は三日坊主の挫折組。それだけに、清元へのリスペクト&憧れは半端じゃありません。これほど多くの清元の生演奏を一度に聴けるとは、なんという幸せな時間でしょう…。

山台に座り、美声を張る凛々しい姿!

尾上右近

そしていよいよ、尾上右近こと七代目栄寿太夫の襲名披露曲「助六曲輪菊」の幕が上がりました。ケンケンが山台に座っている姿を初めて見ました! ご覧ください、この凛々しい姿。寄り添うように隣で三味線を弾いているのがお兄様(清元昴洋改め清元斎寿)です。観客も息を呑み、緊張感が張りつめる中、右近こと栄寿太夫の第一声が、歌舞伎座に響き渡りました!それは高音の澄み切った美声で、艶やかで伸びやかで力強く…素晴しい声でした。

「助六さん その鉢巻きはえ」

尾上右近

30年前にお父様の清元延寿太夫さんが襲名されたときも曲目は「助六」だったそうです。曾祖父の六代目尾上菊五郎が「助六」を演じるために五代目延寿太夫に依頼して「助六曲輪菊」が生まれたそうです。由縁の曲目が今回の兄弟の名披露目演奏となったのです。

尾上右近

さて、こちらは尾上右近として歌舞伎舞踊「四季三番草」を踊りました。翁が尾上松緑さん、千歳が中村壱太郎さん、そして美少年の三番叟が右近さん。まるで絵のように美しい舞台でした。この後、清元の演奏にのせて市川猿之助さんが「青海波」で凛々しい見事な素踊りを披露し、その見事な完全復帰に拍手が湧きました。

第二部はご覧の通り、豪華な顔ぶれ。口上では右近さんが「感謝を込めて心して、身を呈して、身を粉にして精進して参ります」と、述べました。息子たちの口上で感極まったか、お父様の延寿太夫さんは白いハンカチで何度も涙を拭う姿に、会場から笑いがこぼれます。また口上に同席した歌舞伎俳優の尾上菊五郎さんは、右近さんが歌舞伎俳優をしながら清元を襲名することについて「2つの道はどうかなと思ったのですが、プロ野球でも大変評判を呼んでいます。右近さんの夢をかなえるべく応援したい」と、投手と打者を二刀流で活躍するロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平を引き合いに出し、後押し。張り詰めた会場を和ませました。

尾上右近右から、お父様の七代目清元延寿太夫、尾上右近こと七代目清元栄寿太夫、お兄様の清元昂洋改め初代清元斎寿

おや、ちょっと待って! 口上で並ぶお三方の背景の襖に描かれた荒波の絵、和樂INTOJAPANの右近さんの連載第1回で行った国立西洋美術館「北斎とジャポニスム」展で見た北斎の波の絵を彷佛させます。実はこの襖絵、右近さんがギュスターヴ・クールベを好きだという話を舞台美術の「絵描き」である山中隆成さんにされたところ(山中さんご自身もクールベを好きだったそうで)、右近さんの気持ちを汲んで波の絵を描いてくださったのだそうです。どんな荒波にも逞しく立ち向かってゆけるように、という祈りが込められているのでしょうか…。愛を感じますね。

尾上右近ギュスターヴ・クールベ 『波』 1870年頃 国立西洋美術館(松方コレクション)

ちなみに、この絵が「北斎とジャポニスム」展で見たクールベの『波』です。北斎が描いた波に影響を受けたといわれる西洋絵画が並ぶ中、右近さんはこの絵の前でしばし立ち止まったのでした。第1回『北斎LOVEな西洋のアーティストたち♡』何を思っていたのでしょうか…。

8月の自主公演も決まったそうです!

歌舞伎座で自主公演のチラシをゲットしました!(にいのりこ)

トップ画像「四季三番草」撮影/桑田絵梨

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