線香花火は一生を表現!上手な着火方法や鑑賞ポイントを徹底解説

線香花火は一生を表現!上手な着火方法や鑑賞ポイントを徹底解説

目次

花火の中でもひときわ日本人に馴染み深く、情緒あふれる線香花火。美しく可憐な火花は観る人を魅了します。名随筆家が綴った線香花火にまつわる一篇や、鑑賞の手ほどき、着火のコツなどをご紹介します。
……まずは線香花火に着火して燃焼し尽くすまでを収録した動画をご覧ください。

線香花火が燃え尽きるまで見守ってください

線香花火が美しく火花を散らして、やがて収束して火玉が燃え尽きるまでの動画です。冒頭は激しく、徐々に穏やかになる火花と音の変化を鑑賞してください。

最後に火玉が尽きる「ジュッ」という音が、もの悲しい……。

随筆の名手・寺田寅彦が綴る線香花火の魅力

物理学者であり、随筆家としても知られる寺田寅彦。短編集『忘備録』のなかの一篇「線香花火」には、こんな記述があります(引用は「青空文庫」より)。

夏の夜に小庭の縁台で子供らのもてあそぶ線香花火にはおとなの自分にも強い誘惑を感じる。これによって自分の子供の時代の夢がよみがえって来る。今はこの世にない親しかった人々の記憶がよび返される。

寺田寅彦はこの後、1000文字弱を費やして線香花火の着火から火玉が燃え尽きるまでの様子を描写し、こうまとめます。

実際この線香花火の一本の燃え方には、「序破急」があり「起承転結」があり、詩があり音楽がある。

鑑賞のポイント―線香花火は人間の一生を表現する

東京・蔵前にある老舗玩具問屋・山縣商店の山縣常浩(やまがたつねひろ)さんも、寺田寅彦同様、線香花火に魅了されたひとり。山縣さんは、一度は市場から消滅した国産線香花火を、試行錯誤を重ねて復活させました。

 線香花火の良し悪しは、火薬、和紙、縒(よ)り手で決まります。日本で手作りされた線香花火は、起承転結、火花の変化がはっきりと現れます。

株式会社山縣商店取締役会長 山縣常浩さん

山縣さんは、寺田寅彦の随筆も参考にしながら、線香花火の燃焼の様子を「起承転結」4つの段階に分けて植物の名をつけ、人の一生に例えて解説してくれました。

起 「牡丹」

着火直後、細かく震えながら丸い、ふっくらとした牡丹の花のような火の玉が形作られます。

 命のはじまりだな。

承 「松葉」

やがて「パチパチ」と音をたて、松の葉のように細かく枝分かれした大きな火花が、激しく、勢いよく噴き出します。

 成長して、会社に入って、30代くらいまでのもっとも元気な時。

転 「柳」

音は小さくなり、火花が柳の木のように枝垂れて細くやわらかく長くなります。

 50代くらいになって、課長とか部長とか管理職に就いて、少し角が取れてくるころかな。

結 「散り菊」

散りゆく菊の花びらのように小さな火花が静かに舞い、やがて火玉が燃え尽きます。

 人生の終焉だ。

職人が手作りした線香花火は、1本1本の個性の違いも楽しめます。起(「牡丹」)のパートがだいぶ長く続くものや、承(「松葉」)で暴れすぎて火玉が落ちてしまうもの、結(「散り菊」)に入ってから粘るものなど。いろんな人生があるように、いろんな花火があるものだとしみじみ。
線香花火は奥が深いですね。

線香花火を楽しもう! 長持ちさせる工夫と着火の作法

早速、線香花火をやってみたくなったのではないでしょうか?
でも、こんなに長くもたない、すぐに火玉が落ちちゃうでしょ、と思った方はいませんか。実は、線香花火にもうまく遊ぶ作法があるんです。
山縣さんに、線香花火の着火の仕方と長く楽しむためのコツをうかがいました。

 線香花火っていうのは、火薬を和紙でまいているんです。つまり、これは紙縒(こよ)り。火を着ける前に火薬の上をちょっとねじって、紙縒りを強くする。そうすると、火玉が落ちにくくなりますよ。

火薬が包まれて膨らんでいる部分の上端

軽くねじって縒り、紙縒りの強度をあげる

 それから、45度に傾けて火を着ける。

着火する時は、先端を45度に傾けて

線香花火の持ち手を縒り直して強くし、先を45度に傾けた状態で火をつける。ちょっとしたことのようですが、これが意外に重要。特に、傾けて着火するのはマストです。まっすぐにおろしたまま着火するとすぐに火玉が落ちてしまいます。

国産線香花火復活の立役者、山縣商店

国産の線香花火「大江戸牡丹」を製造・販売している山縣商店は、創業1914年(大正13)の老舗の玩具問屋。
線香花火のほかにも、国産のものを中心に手持ち花火や打ち上げ花火など扱っています。

山縣商店では国産のものを中心に多くの手持ち花火を販売する

 手持ち花火はね、市場に出回っている80%くらいが国産。外国産のものと比べたら品質がまるで違います。長くもつし、種類もいろいろありますよ。

山縣商店のオリジナル花火も

180秒燃焼し続ける花火や10色に変化する花火、山縣商店オリジナルの、青色の火花が噴き出す「ジャパンブルー」花火など、店内にはバラエティに富んだ花火が並びます。

また、花火だけではなく、ブリキのおもちゃや、作り手が引退し在庫限りで終了となる「しょうのう舟」など、昭和を感じるおもちゃも販売。この先消えていってしまうかもしれない品々へのノスタルジックな気持ちがわき上がります。

ブリキ製の舟「ポンポン丸」

ショウノウのかけらを使って水上を進ませる「しょうのう舟」

国産線香花火「大江戸牡丹」はネットでも販売していますので、ぜひ「起承転結」の変化を実際に鑑賞してみてください。子どもやお孫さんへの手土産に購入する方が多いそうですが、大人も十分に楽しめる花火です。

東京・蔵前に店舗を構える山縣商店

山縣さんおすすめの手持ち花火や、ブリキのおもちゃが所狭しとディスプレイされている山縣商店の店舗も、訪れる価値ありですよ。



山縣商店 店舗情報
住所:東京都台東区蔵前2-2-2
電話:03-3862-3927
営業時間:平日9時~17時、土曜9時~昼頃(7月8月のみ)
定休日:日曜、7月8月以外の月の土曜
公式サイト
山縣商店オンラインショップ

線香花火は一生を表現!上手な着火方法や鑑賞ポイントを徹底解説
この記事をSNSでシェアする
この記事をSNSでシェアする