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Culture
2019.10.04

ピューロランドから始める歌舞伎入門! サンリオキャラクターが演じる「KAWAII KABUKI」がアツい【東京】

この記事を書いた人

サンリオピューロランド(以下、ピューロランド)とは、本格的なショーやパレードを作り、多数のアーティストとのコラボ企画や、「インスタ映え」するスポットの多さでも最近人気の、サンリオが誇る室内型テーマパークです。近年は海外からも大人気!東南アジアを中心に数多くの観光客が訪れています。

2018年から、人気のミュージカルショーに「KAWAII KABUKI~ハローキティ一座の桃太郎~」(以下、KAWAII KABUKI)が仲間入り!松竹株式会社(以下、松竹)が監修した観客参加型本格派エンターテインメントショーです。

歌舞伎未経験でも楽しめる! 「KAWAII KABUKI」を観に行こう

脚本・演出はスーパー歌舞伎でおなじみの扉座・横内謙介さん。声の出演には中村獅童さん、映像出演には若手実力派・坂東巳之助さんが参加、豪華な取り合わせです。また所作指導には市川笑三郎さんが加わっています。

歌舞伎独特のお化粧「隈取り」(くまどり)を施したポムポムプリンやバッドばつ丸がとってもキュートです!「茨木」「むきみ」など、実際に歌舞伎で使われている隈取りをモチーフにしている本格派。サンリオによる松竹の「歌舞伎にゃんバサダー」、「かぶきにゃんたろう」も大抜擢! 映像出演中です。オスの三毛というとても珍しい猫ちゃんですよ。

そうは言っても若い子のものでしょう……と思われた方! 実はこの「KAWAII KABUKI」は松竹・ピューロランドが総力を挙げてカブキ×カワイイを追求した、歌舞伎入門としても大変優秀な作品です。

歌舞伎を観に行ってみたいけど、いきなりは不安という方や、子どもに触れさせてあげたいけれども敷居が高い、と思われる親御さんにもぴったりですよ!

「KAWAII KABUKI」あらすじ

ピューロランドに誕生したハローキティ一座。

一座のこけら落とし公演「桃太郎」の上演から物語はスタートします。
鬼はバッドばつ丸、その鬼に立ち向かう正義の武者を、シナモロール・ポムポムプリン・ディアダニエルが演じます。

鬼達との戦いに三武将は悪戦苦闘するも、ハローキティ座頭演じる桃太郎の登場で無事に劇中劇は幕を閉じます。しかしその公演が終わった後、一変して劇場中の電気が火花を散らして停電に。やっと明かりが戻ると、目の前に現れたのは、一座の誰も見覚えの無い鬼。突如現れた見知らぬ鬼の姿に劇場裏は大パニック!

果たして、この鬼の正体は一体誰なのでしょうか?(公式サイトより)

お子さまも安心!大人は感心!?歌舞伎のお約束レクチャータイム


入場すると歌舞伎揚げのパッケージ……もとい、歌舞伎の「定式幕」が!この幕が使えるのも松竹監修ならではというところでしょうか。

今回のミュージカルショーにはピューロランドのこだわりがいっぱい!ただキャラクターが「歌舞伎っぽい何か」を演じるのではなく、長年歌舞伎を上演してきた松竹による本格的な指導を受けています。歌舞伎俳優の市川笑三郎さんによる所作指導もそのひとつ。

もちろん、誰にでも楽しんでもらいたい! というピューロランドの精神もしっかり発揮。そのひとつが公演開始前に行われるレクチャータイムです。

劇場のドアがしまると、「黒衣」(くろご)衣裳のキャストさんが登場。ハローキティたちにかける声と拍手の練習をしてくれます。実はこの説明に、歌舞伎のお約束事項がさりげなく盛り込まれているのですよ。

・「見得」=歌舞伎の演技のひとつで、ポーズを決めてストップ。今でいうところのカメラ目線でしょうか。気持ちが盛り上がっていることを表します。
・「ツケ」=見得の時や、戦っている時にする、バタバタ、バッタリという効果音。動きを強調しています。
・「附け打ち」=ツケを打つこと、またはそれを打つ人。舞台向かって右手に登場して、舞台の動きに合わせて板に2本の棒を打ち付けます。

この「附け打ち」は実は大変な技術のいるお仕事。実際にピューロランドスタッフが、歌舞伎で附け打ちを行っている方に指導していただいたそうです。

・「大向こう」=「〇〇屋!」という歌舞伎独特の「かけ声」、「キティ!」「日本一!」といったかけ声をかけて良いよ、と説明があります。

実際の歌舞伎公演ではなかなか声を掛けられませんが、「こういうものがある」とお子さまも理解できる仕組みになっています!

最後に、黒衣が拍子木を打ち、本編開始。この拍子木が歌舞伎が始まる合図です!

実際に歌舞伎を観に行ったとき「あれ、これKAWAII KABUKIで見たところだ!」とひらめける作りになっていますよ。

公演はハローキティの口上から。歌舞伎の口上らしさをふんだんに盛り込みつつ、わかりやすくなっています!見事な口ぶりでお客さまに感謝を述べてくれますので、お見逃しなく。

カワイイのにちゃんとカブキ!隠された歌舞伎要素を要チェック

まずは劇中劇「桃太郎」がスタート。鬼役のバッドばつ丸が悪役ファッションで登場します。歌舞伎で悪役や人外の登場人物がつけるかつらにそっくりの長髪姿です。
バッドばつ丸の悪事を止めようと登場するポムポムプリン(犬)、ハローキティのボーイフレンド・ディアダニエル(猿)、シナモロール(雉)。プロジェクションマッピングで映し出された名前ともに、それぞれいっぱしの歌舞伎調に口上を述べます。

そして満を持して登場する座頭のハローキティ(桃太郎)。キティらしさもたっぷりに頼もしい姿を見せます。

衣裳にも歌舞伎独特の仕掛けが!

迫力のアクション・立ち廻りが始まりますが、ラストは鬼たちの角と、バッドばつ丸の悪役の衣裳にそれぞれお花が咲き、大団円にて幕切れとなります。

バッドばつ丸の衣裳の変化は早着替えじゃありません。「ぶっ返り」と呼ばれる、衣裳の上半分が下に降り、柄がぱっと変わる歌舞伎独特の仕掛けを使っています。

「ぶっ返り」は衣裳を着ている役の性格・性質が変わることを表現しているので、バッドばつ丸演じる鬼の改心にかけているところが心憎いですね。

歌舞伎の演出のひとつ「だんまり」も

劇中劇の幕が降りると、たった一人、鬼の角が花に変わらなかった出演者について、小道具係のシナモロールにバッドばつ丸が文句を言います。実はその鬼は本物! 正体がばれた鬼が暴れたおかげで、停電してしまいます。

ここでなんの説明もなく始まるのが「だんまり」と呼ばれる、観客からは見えているけれども、舞台上の人々は暗闇で手さぐりに動くという見せ場の手法。「だんまり」特有のコミカルさまで再現されています。

フィナーレも見逃せない

最後には、華やかなオリジナル衣裳でのフィナーレショーが始まります! 実はここも見逃せない「歌舞伎ポイント」。

ディアダニエルが出てくるとダンサーと三人、先端にモフモフのついた棒、通称「毛槍」と共にダンスをします。これは大名行列などで使われるもので、「歌舞伎舞踊」で使われる小道具。

ポムポムプリン、バッドばつ丸、シナモロールは歌舞伎独特の動き「飛び六方」を披露します。ポムポムプリンの着物には「ぷ」の字、バッドばつ丸には「×〇」、シナモロールはくるんとしたしっぽが着物の柄に入っていてとってもキュート。

最後に登場するハローキティは、舞鶴という、歌舞伎に登場する強い女の子のキャラクターの扮装をモチーフにしています。ぴんと張った大きな袖が特徴の、凛とした姿です。

また、着物の柄にも注目! なんとオリジナルデザインなのです。さらにハローキティは、象徴するアイテムである「りんご」の柄を金糸で織り、この衣裳のためだけのオリジナルの布地を制作し、使用。

座頭(歌舞伎における主演)にぴったりの立派な姿です。

サンリオキャラクターらしい「カワイイ」と歌舞伎の意匠を組み合わせた衣裳の華やかさは、勢ぞろいしたときには目をみはってしまいますよ!

音楽も注目ポイント

また、今回作中の音楽は日本伝統の「邦楽」をオリジナルで制作。親しみやすいメロディながら、自然と三味線や笛の音が耳に残る、素敵な音楽です。こちらもお聞き逃しなく!

サンリオキャラクターの「カワイイ」を手放すことなく、本格的な日本の伝統芸能と、日本のポップカルチャーの融合を追求したこの作品。サンリオピューロランドでしかできない、ピューロランドだからできた「KAWAII KABUKI」です。

ところで、まぎれた鬼は一体何が目的だったのか。ハローキティ一座の行く末は? サンリオの企業理念「みんな仲良く」を体現するエンディングは、ぜひ上演劇場「メルヘンシアター」で直接ご覧くださいね!

声の出演に中村獅童、映像出演に坂東巳之助! 歌舞伎俳優の多才さにびっくり!?

ハローキティ一座に紛れ込む鬼・鬼ゴロウの声は中村獅童さんが演じています。「あらしのよるに」のガブ役など、声優経験も豊富。「ピンポン」で一躍脚光を浴び、最近では「いだてん〜東京オリムピック噺〜」の金栗家のお兄ちゃん役でもおなじみですね。渋い声が鬼役にぴったり!鬼ゆえの乱暴さや悩みをダイナミックかつ繊細に演じられています。

ボーカロイド・初音ミクとも共演した「超歌舞伎」などでも、若い世代にもよく知られている獅童さん。ハローキティやディアダニエル、サンリオキャラクターズとの掛け合いもしっくり馴染む声の演技には、歌舞伎俳優さんが演じているの?ときっとびっくりされることでしょう。

また、「かぶきにゃんたろう」と共演している「遊び人の源さん」役には坂東巳之助さん。平成生まれという若さながら、確かな実力と正統派な出で立ちで、様々な演目に出演しています。

スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』ではロロノア・ゾロ、ボン・クレー、スクアードの三役を演じ大きな話題を呼びました。さらに新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」では、うずまきナルト役を演じました。

映画「東京喰種」にも出演するなど、活躍の場を広げている巳之助さん。にゃんたろうとの掛け合いも息ぴったりです!

「遊び人の源さん」とは一体何者なのか!?こちらもどうぞ、お楽しみに。

もし歌舞伎を観に行きたいと思われたら、このお二人が出ている演目にしてみるのもおすすめです。「あっ鬼ゴロウの声がする!」「源さんだ!」と、その多才ぶりに驚くこと間違いなしですよ。

ポップカルチャーという「日本文化の入り口」に!2020年に向けて

ピューロランドでは毎日、たくさんのショーが行われています。小さい子も楽しめるアトラクションもあり、「KAWAII KABUKI」を堪能したあとにめぐるのも楽しいですよ!

2020年を控え、インバウンド需要も拡大。「日本文化の入り口」として、皆さんに楽しんでもらえる作品を、と「KAWAII KABUKI」は制作されたそうです。

「日本文化の入り口マガジン」を自負する和樂web、このコメントに大変シンパシーを感じ嬉しく思います。

余談ですが、この原稿を書いている間、ライターの家に甥っ子・姪っ子(小学生たち)が来ていました。昨年「KAWAII KABUKI」を見ているので、ちょっと話を振ったら、「覚えているよ」「面白かった」「あのシーン結構意外だった」などなど、彼らなりに感じたことがちゃんと残っていました。

サンリオの企業理念は「みんな仲良く」。子どもも大人も楽しめる、KAWAII KABUKIが歌舞伎と「仲良く」なるきっかけになるかもしれませんよ。ぜひ、ピューロランドでその入り口を開けてみてください♪

今すぐ観れる!松竹とコラボ「KAWAII KABUKI~ハローキティ一座の桃太郎~」は毎日上演中

公演情報

KAWAII KABUKI~ハローキティ一座の桃太郎~
※公演時間は日によって違うので、公式HP参照のこと
ピューロランド公式ページ
©2017, 2019 SANRIO/SHOCHIKU ©1976, 1993, 1996, 1999, 2001, 2019 SANRIO CO., LTD.

書いた人

歌舞伎を着物で観つつ和菓子を食べ茶を点て過ごす日々。実はTOEIC910点だが、あまり活用していない。旅行とコスメと本が好き。ラグビーとプロレスで叫んでいることもある。今日も漫画は面白い。