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Culture

2024.08.30

立川のステージに新しい歌舞伎が華開く! 市川中車、中村壱太郎が語る「立川立飛歌舞伎」

東京・立川で不動産業を営み、地域社会に貢献している立飛グループが創立100周年の記念事業として歌舞伎特別公演を開催します。新作に挑むこの公演への意気込みを出演する歌舞伎俳優とともに語りました。

大好評が導いた2度目の歌舞伎公演

『義経千本桜 忠信篇』の『道行初音旅』の静御前(中村壱太郎・右)と『川連法眼館』の横川禅司覚範実は能登守教経(市川中車・左)。

村山正道(中央)立飛ホールディングス 代表取締役社長。1973年立飛企業に入社。経理部長や常務取締役等を経て、2010年に代表取締役社長に。’12年、グループ再編に伴い現職に就任。昭和記念公園と富士山が一望できる「ソラノホテル」のインフィニティプールにて。

編集部:立飛グループが立川で文化芸術の公演を開催することには、どのような展望があるのでしょうか?

村山:世界的に歴史を振り返ると、産業が盛んな街がたくさんありますが、生き残るのは芸術文化がある街です。立川が芸術文化とスポーツの街だと世界から認められるような街になってほしいと思っています。歌舞伎は日本の本物の文化ですので、それが立川で実現したことが大きな一歩ですね。

出演者の名前のカラフルな幟が入り口に立てられた立川ステージガーデン。

編集部:昨年は『義経千本桜』が上演されました。初回として印象に残っていることをお聞かせください。

村山:歌舞伎は、立川の地域の方の反応が今まででいちばんすごかったですね。終演後にご覧になった方からの喜びの声を直接聞くことができたんです。大相撲の巡業と同様に、歌舞伎もぜひ定着させたいと思います。なぜなら私は地域の子供たちに本物のアスリートのプレーを見せたり、日本の文化に触れさせたりしたいという思いから芸術・文化・スポーツへの取り組みを始めたからです。昨年は立川にある女子校の演劇部の皆さんを毎日8人ずつご案内して「とても感動しました」と喜んでいただけました。

中車:遠いイメージだった立川とのご縁が近いものになりました。歌舞伎座よりも大きなキャパシティを埋め尽くしたお客様の熱い気持ちも感じ取れたので、第1回として華開いたという思いがありました。今年も社長がそれを繫げて、文化の復興として本気でいてくださるので自分もその一端を担えてうれしかったです。

壱太郎:古典作品で立川ステージガーデン初の歌舞伎として素敵なスタートを切らせていただきました。僕は(市川)團子くんとの解説で〝たっぴくん〟と〝たっぴちゃん〟と共演し、そこに地域というものを感じながら発信でき、一緒に舞台をつくったという実感ももてました。

市川團子さん(右)と中村壱太郎さんが(左)上演前に登場し、立飛グループのイメージキャラクターのたっぴくんとたっぴちゃんとともに演目の解説をした。

村山:壱太郎さんと團子さんの解説は、皆さん喜んでいて、受けていました。おふたりがユーモアを交えて話してくださったのがよかったです。

歌舞伎の魅力が詰まった新しい演目は必見

編集部:2024年の立川立飛歌舞伎の見どころについて教えてください。

中車:舞台作品というものは起承転結があって完結して終わるものだと思いますが、歌舞伎には通し狂言の名場面だけを上演することがあって〝これですっきりした〟という終わり方でないことも多々あります。
『御所五郎蔵』にもその印象がありますが、今回は木ノ下裕一さんが補綴され、藤間勘十郎さんが演出されて、新版として上演するので、今までとは違う魅力のある作品として楽しんでいただけるのではないかと思います。この演目には愛之助さんがなさる五郎蔵と私が演じる土右衛門が子分たちと花道にずらりと並ぶ名場面がありますので、立川ステージガーデンほどの大劇場だと見応えがあります。音の響きも、ここにしかない感覚がありました。『御所五郎蔵』にも花道で言う台詞があるのでそれも楽しんでいただけるのではないでしょうか。

壱太郎:今年出演される(片岡)愛之助兄さんも、中車のお兄さんも、僕も、初役で『御所五郎蔵』に挑みます。だれも見たことのないものを立川で初めてご覧いただくというのが大きなトピックだと思います。木ノ下裕一さんが主宰している木ノ下歌舞伎も歌舞伎が芸術として、文化として浸透されることに取り組んでいらっしゃるので、途中で終わってしまったと思われそうなところもわかりやすくされると思います。
〝新しい『御所五郎蔵』は面白かった〟と思っていただけたらいいですね。また、芝居があって舞踊があるというのも歌舞伎の大きな2本柱です。もうひとつの『玉藻前立飛錦栄』は舞踊作品で、こちらも藤間御宗家がつくってくださっています。何役もの早替りと宙乗りの演出も含めてスペクタクルな作品になると思います。人生初の宙乗りですし、地域にゆかりのある要素もあると聞いておりますので、今回はより地域とお芝居が密着になりますね。

編集部:本公演に対する意気込みを。

村山:立川でしかできない歌舞伎というものを日本の文化を残すという期待を込めて楽しみにしています。

中車:今年は立飛さんの100周年なので、われわれが出演できることへのありがたさと心からお祝い申し上げます。この歩みこそが歴史になっていくと思いますので、ぜひ劇場でご覧ください。

壱太郎:立川ステージガーデンという空間ならではの臨場感を皆さんとともに味わえるように、一生懸命勤めます。

撮影/石田 航 ヘア&メーク/林 摩規子 構成/山下シオン

立飛グループ創立100周年記念事業「立川立飛歌舞伎特別公演」

一、口上・解説
二、曽我綉俠御所染より『新版 御所五郎蔵』
三、『玉藻前立飛錦栄』髙尾山薬王院鐘供養の場

【日時】11月21日〜24日 13時開演
【会場】立川ステージガーデン
【出演者】片岡愛之助、中村壱太郎、大谷廣松、中村歌之助、市川九團次、市川笑也、中村亀鶴、市川中車
【チケットお取り扱い】
日本アーティストチケットセンター 03・5305・4545(平日10時〜18時)
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/tachikawa-kabuki/
チケットホン松竹 0570・000・489 または03・6475・0888(10時〜17時)
チケットWeb松竹 https://www1.ticket-web-shochiku.com/t/

※本記事は『和樂』2024年10,11月号の転載です

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和樂web編集部

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