Culture

2024.11.16

輪島の人々と「ブルネロ クチネリ ジャパン」が祈りを捧げた「キリコ祭り」

2024年8月23日。この日は、輪島の人々にとって特別な行事が開かれました。「ブルネロ クチネリ ジャパン」も参加した「キリコ祭り」の様子と、輪島の人々の想いをお届けします。

大祭の成功を祈りスタッフ43名で現地を訪れる

毎年、夏から秋にかけて石川県・能登地方各地で開催される「キリコ祭り」。五穀豊穣や大漁などを祈願しながら、大型の切子灯籠(きりことうろう)「キリコ」が神輿の先導役として担ぎ出され、町を練り歩く大きなお祭りです。なかでもこの日行われた「輪島大祭(わじまたいさい)」は、雅な総輪島塗のキリコが巡行することで知られ、太鼓の響きや笛の音、担ぎ手のかけ声に包まれる様子が、町に熱気を与えます。

キリコ祭りは江戸時代から開かれ、平成27(2015)年に日本遺産に認定。これまでは毎年200以上の祭りが行われていましたが、震災の影響で開催を見送らざるを得なかった地域も。しかしながら輪島では開催を決意。通常は市内にある4神社による祭礼ですが、今回は1300年の歴史がある重蔵(じゅうぞう)神社を中心に、規模を縮小しながらも、鎮魂の思いを込めて祭りを開くこととなりました。

左/神社が所有する山車(だし)をしまっていた蔵も、震災により全壊。右/重蔵神社の境内の草むしりを行う。ここからキリコや神輿が出発する。

7月に行われた輪島塗のイベントをきっかけに、キリコ祭りの開催を知った「ブルネロ クチネリ ジャパン」。代表取締役社長の宮川(みやかわ)ダビデさんの英断により、スタッフ43名が、この大祭にボランティアとして参加することとなりました。重蔵神社もまた、震災で建物が全壊している状況。祭りが開催される前の日中は、神社内の草むしりと瓦礫の撤去作業を敢行することに。神輿とキリコが出発し、帰着する神聖な場所として、少しでも美しい姿となるよう、スタッフたちにも気合いが入ります。

左/キリコ祭り当日は、最高気温35℃を記録する猛暑に。暑さ対策をしながら、ボランティアに挑む。右/集めた瓦礫は、木、金属、瓦に分類。自費解体すると災害ゴミとして認められ、市に収集してもらえるのだそう。

ボランティアに参加した43名の「ブルネロ クチネリ ジャパン」スタッフ。この日のための、おそろいのビブスを着て。

夕暮れからは輪島の人々と触れ合い、祭りを盛り上げる

夕方、日がだんだん暮れるころから、キリコ祭りの本番が始まります。重蔵神社が所有する神輿は、なんと重さ2t以上という、全国でも屈指の大神輿。担ぎ手が不足したため、輪島の人々に交ざり「ブルネロ クチネリ ジャパン」スタッフも参加しました。通常、女性は担げない神輿ですが、今回は可能だったため女性スタッフも挑戦。いつもとは違う華やかな活気を感じたという町の人の言葉が、印象深く残ります。

天気予報では雨だったにもかかわらず、祭り当日は晴天に恵まれた。震災前は輪島の人々が楽しんでいたという袖ヶ浜(そでがはま)海水浴場には、夕日が美しく沈み、静けさをたたえていた。

キリコは地区ごとに参加する。今回は、通常の3分の1ほどの数の9基が巡行した。

左/祭りの最後には大きな打ち上げ花火が上がり、歓声に包まれた。右/重量のある大神輿は、交代しながら担いで町を練り歩く。

キリコは、町内を回ることで厄を集め、最後に神社にたどり着くことで祓い清められるといわれています。今回の祭りの開催にあたり、反対意見も、もちろんあったとか。しかしながら祭りとは、賑わい、祝うだけのものではないという思いも。震災で亡くなられた方々に鎮魂の祈りを捧げ、そして輪島の伝統を伝えていく。太鼓や笛の音が響く中、輪島の人々と触れ合い、ともに1日も早い復興を願う、「ブルネロ クチネリ ジャパン」にとっても、忘れられない日となりました。

左/神輿とキリコの巡行前には神事が行われる。中央は、禰宜(ねぎ)の能門亜由子(のとあゆこ)さん。右/「ブルネロ クチネリ ジャパン」主催でオペラ歌手のロベルト・ディ・カンディドさんのステージも、日中に開催。イタリアオペラの名曲や、日本の童謡を熱唱。

問い合わせ
ブルネロ クチネリ ジャパン
03-5276-8300
www.brunellocucinelli.com

能登半島地震、並びに能登豪雨により被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。皆さまの安全と被災地の1日も早い復興を祈念いたします。
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和樂web編集部


※本記事は『和樂』12,1月号月号の転載です。
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