日本文化の
入り口マガジン
1月24日(日)
物質とエネルギーは構造的には粒状であるように見えるし、人生もそうだが、しかし心はそうではない(シュレディンガー)
日本文化の入り口マガジン 和樂web
日本文化の入り口マガジン 和樂web
1月20日(水)

物質とエネルギーは構造的には粒状であるように見えるし、人生もそうだが、しかし心はそうではない(シュレディンガー)

読み物
Culture
2019.11.08

軍人将棋とは?ルールと遊び方・魅力を紹介。AIに勝てなくなってきた今こそやってみたい!

この記事を書いた人

日本の将棋は「駒数が減らない」という特性があるから、チェスに比べると打ち手のパターンが非常に多い。それだけ複雑なゲームということだ。

しかし、もはやAIに人間は勝てなくなった。

だからこそ、今の時点でもAIに勝てる将棋をどこかから発掘しなければならない。

少なくとも、我々が知っているあの将棋ではダメだ。そこで筆者が目をつけたのは「軍人将棋」である。

知る人ぞ知る軍人将棋。これなら人間のプレイヤーがAIに勝利できるはずだ!

道は六百八十里

軍人将棋は、製品によって多様な名称がある。今回筆者が入手したのは『大型行軍將基』(斎藤將棋駒製作所)というものだ。しかし、以下は「軍人将棋」と記述させていただきたい。この軍人将棋には、駒毎に階級が振り分けられている。少尉から大将まで、そしてタンクやヒコーキ、工兵、騎兵、軍旗、地雷、スパイが用意されている。もちろん、階級によって強さや動き方が異なる。たとえばタンクは大佐以下を駆逐できるが、将官とヒコーキと地雷には負ける。大将は最強だが、地雷とスパイに当たればやられてしまう。

特徴的なのは軍旗だ。これはすぐ後ろの駒と同じ強さになるものだが、その場から動くことができない。

早速やってみよう。軍人将棋は駒の初期配置をプレイヤーが決めるルールで、自陣内であれば何をどこに置いても構わない。その際、相手に駒の階級が分からないよう裏にする。筆者は手前のオレンジの駒で、対戦相手は黄色の駒。互いに駒が裏返しだから、本当は審判役をもうひとり手配しなければならない。しかしそれは面倒なので、今回は一度ぶつかった駒は表に返すという特別ルールでやってみる。

軍人将棋の盤の中央には突入口があり、どちらもここをくぐって攻勢をかけなければならない。最初に電撃戦を仕掛けたのは相手だった。筆者から見て右翼に、敵のタンクが突入。不覚にも、この方面には佐官以下の駒しか置いてない!

こうなると、敵戦車の無双状態である。そして敵は我が司令部に突入。しかし幸いにも、司令部の守りは大将に任せていた。敵戦車撃破!

喇叭の響

我が陣営の危機は、ひとまず去った。

これを契機に、筆者は反撃を開始。突入口に関係なく前進できるヒコーキで敵陣に殴り込み。加藤隼戦闘隊の出撃だ!だが、何という不運だろうか。攻撃を仕掛けた敵の駒は中将だった。敵に一矢報いることなく、ヒコーキは撃墜……。このように、相手の初期配置如何で序盤から一方的な展開になってしまうのが軍人将棋の恐ろしいところ。この段階で、筆者の軍勢はやられっぱなしで後がないように見える。だが、取られたのは下位の駒だけ。こちらには将官を始めとした上位の駒が残っている!

こうなると逆襲が可能になり、結果としてどちらもボロボロの状態になっていく。しかも今回のルールでは一度敵とぶつかったら駒を表にするから、早々に決め手を欠いてしまう事態が発生する。軍人将棋はチェスと同じで、引き分けになりがちなゲームなのだ。

敵はAI

軍人将棋の目玉の駒、それはやはり地雷だ。地雷は使い捨てで移動できないが、ヒコーキ以外の駒を爆破することができる。

これを突入口の手前に置けばどんな駒が来ても駆逐できるのでは、と考えてしまう。が、この位置に地雷と軍旗を置くのは禁止だ。

序盤の攻略法としては、中将と少将を最前線で戦わせるやり方が最も知られている。軍人将棋の勝利条件は敵の大将を撃破するか、敵司令部を占拠することである。だから大将を敵陣に入れるようなことはなかなかできない。

また、軍人将棋に必要なのはブラフをかけることだ。たとえばヒコーキは前方になら何マスでも進むことができるが、敢えて1マスのみの移動で済ませる。すると、相手はこの駒をヒコーキとは気づかない。

初期配置の自由とブラフを利かす要素があるお陰で、現代のAIに人間が勝てる可能性が発生している。

実のところ、軍人将棋のような不確定要素の多いゲームにAIを適応させる研究の話題はあまり聞かない。

もう少し軍人将棋の競技人口が多ければ、AIの開発も進められるのかもしれない。人間VS人工知能の軍人将棋の対局、これは女房を質に入れてでも見るべきだ!

書いた人

ノンフィクションライター、グラップリング選手、刀剣評論家。各メディアでテクノロジー、ガジェット、ライフハック、ナイフ評論、スタートアップビジネス等の記事を手がける。