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2020.03.23

「鬼の妻には蛇が似合いでしょう」戦国美女・細川ガラシャが夫に放った一言の理由

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細川ガラシャは明智光秀を父に持ち、織田信長の策略により細川忠興と結婚した女性です。美女としても有名だったガラシャが、夫忠興に対し「鬼の妻には蛇が似合いでしょう」と言い放ったというエピソードが残されています。

なぜガラシャは、美しい我が身を蛇などに例えなければならなかったのでしょう。そこには忠興の妻に対する異常とも言える愛と、ガラシャの悲しい運命がありました。

政略結婚ながらも仲良く暮らした二人

絶世の美女として有名だった、明智光秀の娘玉(後のガラシャ)は、織田信長の命令によって細川忠興と結婚します。結婚当時、二人はお互い16才。もともと家族ぐるみの付き合いがあったことから玉・忠興夫妻は非常に仲が良く、結婚の翌年には長女が、続いて長男(忠隆)と次男(興秋)も生まれます。特に忠興は美しい妻を溺愛していたと言われています。

本能寺の変で運命が一変

幸せの最中にある二人を引き裂いたのが、玉の父明智光秀が織田信長に謀反を起こした「本能寺の変」です。光秀は玉の嫁ぎ先である細川家に援軍を頼んだものの、忠興と父藤孝はこれを拒否。光秀が戦死しただけでなく、明智一族も自害へと追い込まれました。

家族全員を失った玉も、本来なら殺されてしまうはずでした。しかし玉を溺愛していた忠興は、父藤孝の案によって玉を幽閉することに。幽閉は二年間にも及んだとされており、この間に玉は侍女の手ほどきによって、キリスト教への信仰を深めていきました。

妻を見ただけで打首に!忠興の異常な愛

幽閉が解かれて細川屋敷に戻った玉は、嫉妬深い忠興の監視により、屋敷から外へ出ることを許されませんでした。数多くの侍女を玉につけたのも、妻の行動を監視するためだったと言われています。

忠興は玉が男の視界に入ることすら嫌がりました。ある日、うっかり屋根から足を滑らせて庭に落ちた職人が玉の顔を見てしまったため、その男の首を斬ってしまいます。

忠興は男の首を玉の横に置きましたが、玉は顔色も変えずに食事をとりました。

この様子を見て忠興は「まるでお前は蛇のような女だな」と言い、それに対して玉が「鬼の妻には蛇が似合いでしょう」と言い放ったのだとか。数々の試練や苦しみに晒されてきた玉と忠興は、結婚当初の若く仲睦まじい夫婦から、鬼と蛇の夫婦へと姿を変えてしまったのです。

蛇となった玉に、キリスト教の光がさす

本能寺の変で家族を失っただけでなく、長男は忠興から勘当され、次男は戦死。家督を継いだ三男は身体が病弱で、玉はいつ心が壊れてもおかしくないような状況でした。自身を蛇とすることで、何とか苦しみに耐えていたのかもしれません。

そんな玉の心のよりどころとなったのが、当時禁教令が出されていたキリスト教です。玉は侍女を通じて洗礼を受け、ガラシャという洗礼名を授かります。当然忠興は激怒しました。夫に振り回され続けた玉は、キリスト教の洗礼を受けることで、ようやく自分の足で人生を進めるようになったのではないでしょうか。