革新と永遠性──相反する要素を巧みに調和させ、時代を映すモダンデザインを創造してきた「カルティエ」。女優の小雪さんが纏うハイジュエリーもまた、大胆でありながら均衡を重んじ、華やかでいて品格を失わない、メゾン独自の魅力にあふれています。そうした「カルティエ」ならではのスタイルと美意識は、受け継がれて現代へ。研ぎ澄まされたデザインと卓越したサヴォアフェールが鮮やかに呼応する、モダンハイジュエリーの“粋”をひもときます。
CARTIER
アール・デコを再解釈した節度のあるノーブルな華やぎ

ヨーロッパの王侯貴族に愛されてきた鮮明なロイヤルブルーのサファイアとダイヤモンドによる、気品に満ちた色彩の調和。直線と曲線で構成されたモダンかつ優美な意匠は、アール・デコを現代的に再解釈して生まれたもの。時計は小さいながらも視認性が高く、機能的にも秀逸。ハイジュエリーウォッチ[サファイア計9.34ct×ダイヤモンド計約9.11ct×WG、クオーツ]参考価格¥171,600,000(カルティエ)※イヤリングとのセット販売
自然界の神秘を映し出す繊細で軽やかな色彩の調和

「ヤシの木」のモチーフを幾何学的に様式化した「カルティエ」らしいネックレスとリング。ペールトーンのグリーンからブルーの、圧倒的な透明度を誇るサファイアが繊細な煌めきを放つ。軽やかな色彩のコンビネーションが現代的。イヤリング[ダイヤモンド計約7.21ct×WG]参考価格¥58,608,000・ネックレス[サファイア計45.40ct×ダイヤモンド計約20.14ct×WG]参考価格¥240,240,000・リング[サファイア計10.60ct×ダイヤモンド計約3.72ct×WG]参考価格¥71,940,000(カルティエ)※ネックレスとリングはセット販売 ドレス/スタイリスト私物
選び抜かれた宝石をひときわ輝かせるデザインと技の共鳴
独自の様式を進化させ、“均衡の美学”を礎に、技で永遠の美を紡いで
「カルティエ」の様式を語るうえで、まず知っておきたいのは、その造形が研ぎ澄まされたラインによって構築されているという事実です。冴えた輪郭、むだのないフォルム、緻密に計算されたプロポーション。そうした要素が精妙に響き合うことで、「カルティエ」のジュエリーはひと目でそれとわかる気品と、凜とした緊張感を宿しているのです。それに加えて目を見張るのが、対比を生かす直感ともいえるセンス。対称と非対称、直線と曲線、静と動、疎と密──相反する要素を巧みに取り入れながら、端正な均衡へと導いていく。その卓越した構成力こそが、「カルティエ」の稀有な才能といえるでしょう。
また、そのクリエイションが時代を超えてなお新鮮に映るのは、つねに外の世界に目を向けてきたからにほかなりません。18世紀のフランス装飾芸術に学んだ優美なガーランド・スタイルは、やがてアール・デコへと連なるモダンな様式へと進化。さらにイスラム美術やインド、アジアの文様や色彩、素材への深い理解が、そのクリエイションを一層豊かなものへと導きました。「カルティエ」は異文化に宿る秩序を見極め、それらを自らの美意識に沿って組み替えることで、現代的な美へと昇華させてきたのです。そうした能力があればこそ、多様な文化さえも独自のスタイルに。それは、今日まで続くモダンハイジュエリーの礎となっています。
そして、そのデザインを具現化してきたのが、創業から受け継がれるサヴォアフェール(匠の技)です。トップジュエラーのアトリエにおいて、技術とは技巧を誇るためではなく、デザインの魅力を余すところなく再現するためのもの。精緻な手仕事があってこそ、ジュエリーは身につけて真価を発揮する、宝飾芸術へと高められます。さらに言えば、表からは見えない部分にこだわる姿勢もまた、「カルティエ」のものづくりを支える大切な思想のひとつ。デザインとサヴォアフェールが深く呼応するとき、革新は一過性の流行で終わることなく、永遠のものに。それを真に理解しているからこそ、「カルティエ」は特別な存在であり続けているのです。
幾何学的なオープンワークを鮮烈に彩る深紅のルビー

メッシュ構造のネックレスにセットされたダイヤモンドは、「フィルクトー(ナイフエッジ)」と呼ばれる高度な技巧によって肌から浮かび上がって見える。先端に視線を集めるデザインに、深く澄んだルビーが躍動感と華やぎをもたらす。ネックレス[ルビー計約13.58ct×ダイヤモンド計約24.85ct×WG]参考価格¥530,640,000・イヤリング[ルビー計2.15ct×ダイヤモンド計約2.70ct×WG]参考価格¥69,960,000(カルティエ)※ネックレスとイヤリングはセット販売
グリプティックの技で際立つ珪化木の有機的な美しさ

2頭の象のモチーフは、「カルティエ」が擁するグリプティック(宝石彫刻)のアトリエによるもの。その素材には樹木が数千万年かけて化石化した、マグノリアウッドとピーナッツウッドと呼ばれる珪化木が用いられている。無機的と有機的、幾何学的意匠と写実的モチーフ、さらに色彩のコントラストが極めて独創的な、唯一無二の作品。ネックレス[マグノリアウッド×ピーナッツウッド×スピネル計65.67ct×ダイヤモンド計約8.83ct×WG]参考商品(カルティエ)
ラインと輝きがリズムを刻む幾何学的デザイン
視覚の錯覚が躍動感を生む連なる曲線が優美な意匠

連なる曲線の幅や角度を調整し、視覚的錯覚を生むことでラインが動いているかのように見える、巧妙なデザイン。ネックレスとイヤリングの先端には、直線で構成されたエメラルドカットの宝石が煌めく。この線と輝きの対比こそ、「カルティエ」のスタイルを形づくる“バランスの美学”そのもの。ネックレスのペンダントトップを飾るサファイアは、希少性の高いロイヤルブルー。鮮明な色に加え、内包物がほぼなく、圧倒的な透明度を誇る。ネックレス[サファイア計5.92ct×ダイヤモンド計約19.93ct×WG]参考価格¥198,000,000・イヤリング[サファイア計0.95ct×ダイヤモンド計約3.30ct×WG]参考価格¥53,592,000(カルティエ)※ネックレスとイヤリングはセット販売
パズルのように配した輝きがモダンなハーモニーを奏でて

宝石のカットとフォルム、色彩の対比で遊んだ、メゾン伝統のデザインコードを宿す輝き。イヤリング[エメラルド計6.88ct×ダイヤモンド計約2.61ct×PT]参考価格¥102,300,000・リング[エメラルド計4.29ct×ダイヤモンド計約2.76ct×PT]参考価格¥91,080,000・ブレスレット[ダイヤモンド計約13.57ct×WG]参考価格¥19,536,000(カルティエ)※イヤリングとリングはセット販売 ドレス/スタイリスト私物
カルティエ公式サイト
https://www.cartier.com
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撮影/戸田嘉昭(静物)、下村一喜(人物)
スタイリスト/押田比呂美
ヘア/hiro TSUKUI(Perle)
メーク/三澤公幸(Perle)
ネイル/井上由美(Hands-On)
文/福田詞子(英国宝石学協会 FGA) 構成/吉川 純(和樂)
※文中のPTはプラチナ、WGはホワイトゴールド、ctはカラットを表します。
※この特集での価格表記は、すべて税込価格です。
※本記事は『和樂』2026年6・7月号の転載です。