近年、各地で町おこしの一環としてつくった「ゆるキャラ」が、増え続けていると聞きます。生き物を擬人化することは、はるか昔の「鳥獣人物戯画」以来なじみ深い手法ですが、自由で斬新な創造性を競い合っていた浮世絵師たちにとってもデフォルメは得意技。まさにキャラづくりの達人でした。中でもユニークなキャラクターを多数残しているのが歌川国芳です。大好きだった猫はもとより、金魚や鬼灯、蝙蝠、雀から道具や化物まで、あらゆるものを擬人化した濃いキャラを描いて人気を博しています。
浮世絵ファン絶賛! 面白キャラクター大集合
キセルを片手にプハァ〜
猫と並んで国芳が得意としたのが、この金魚のキャラクターでした!
「金魚づくし 玉や玉や」中判錦絵 天保時代(1830~1844年)後期ごろ 東京国立博物館蔵 Image: TNM Image Archives
かんざしの花火や両国くしの橋まで
化粧道具を擬人化したシリーズのひとつ。このようにユニークなアレンジは、国芳の独壇場。
「道外化粧のたわむれ 花火」団扇絵 天保14(1843)年ごろ ギャラリー紅屋蔵
手にもっているのは団子じゃなくて花束!
国芳の手にかかれば、鬼灯さえもキャラとなって動き出す。
「ほふつき尽 みそぎ」中判錦絵 弘化時代(1844~1848年)ごろ 公文教育研究会蔵
小人島を訪れた大力の朝比奈!
「ガリバー旅行記」を思い出させる絵は、大名と見世物小屋の小競り合いから着想し、狭量な大名が見世物小屋の大男に見下されている様子を表しているとか。
「朝比奈小人嶋遊」大判錦絵3枚続 弘化4(1847)年ごろ
ギャラリー紅屋蔵
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