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2026.02.19

「面取り」はしなくていい? 目からウロコの「風呂吹き大根」「筑前煮」「さばの味噌煮」【和食料理人・野崎洋光さんが提案!2】

私たちがずっと正しいと思い込んでいた家庭での和食づくりのコツの多くは、プロが用いることによってこそ生きるものや、家庭での調理器具が今ほど進歩していない昔ながらのもの。 和食料理人・野崎洋光さんに最新アイディアをうかがった本誌のバックナンバーから、和食の定番「風呂吹き大根」「筑前煮」「さばの味噌煮」の、目からウロコのレシピをご紹介します。

『和樂』2010年10月号の特集より。〝面取り〟は不要!「筑前煮」の鶏は最後に!「さばの味噌煮」はことこと煮る必要なし!と、超明快な野崎洋光さんのレシピが大好評でした。

×野菜を煮るときは面取りをする→〇面取りしなくても煮崩れません

野菜の下ごしらえの中で、かたくなに守られているもののひとつが面取りです。

料理番組や料理本で、煮物をつくる際に野菜の角が立ったままだと煮崩れしやすいので必ず面取りをするように指導されていますが、これは正しくありません。
グツグツと沸騰した汁の中で長い時間煮込むと、面取りをしていても煮崩れてしまいます。
要は、湯気がほのかにたつ80~90℃の温度で煮ること。そうすると、面取りをしなくても煮崩れはしません。

面取りをする目的は、盛り付けのときに角があると、箸があたって形がこわれるから。
それを防ぐために料理屋さんで行うのですが、家庭料理では、そんな面倒なことはしなくていいのです。

また、現在は圧力鍋のように、火を使う時間は短くても、味がしみこみやすく、煮崩れしにくい便利な調理器があります。
新しく優れた機能をもった調理器を使いこなすと、料理はもっと手軽に、おいしくつくることができますよ。

「風呂吹き大根」の簡単レシピ

材料(2~4人前)
大根(厚さ3㎝の輪切り)4個、白味噌200g、卵黄1個分、みりん・酒 各大さじ1、ねぎ適量
[下ゆで]水2カップ、米大さじ1
[煮汁] 水2.5カップ、薄口醬油・塩 各小さじ1、昆布5㎝角1枚
●つくり方
1. 大根は皮をむき、片面に十字の切り込みを入れておく。
2. 圧力鍋に下ゆでの材料を入れて大根を並べ、ふたをして強火にかける。
3. 圧力表示ピンが上がったら、ごく弱火にして5分加圧。火を止めて放置し、鍋の圧力が抜けたら大根を取り出し、水にさらす。
4. 圧力鍋を洗ってから、鍋底に昆布を敷き、煮汁の材料と大根を入れ強火にかける。
5. 圧力表示ピンが上がったらごく弱火にして2分加圧。火を止めて放置し、鍋の圧力が抜けたら大根を取り出し、盛り付ける。
6. 白味噌200g、卵黄1個分、みりん・酒各大さじ1を鍋に入れ、火にかけてよく練ってから冷まし、すりつぶしたねぎ適量を混ぜ合わせたねぎ味噌を大根にかける。

×筑前煮はまず鶏から炒める→〇鶏は最後に入れる

筑前煮をいただいたとき、鶏肉がかたくパサパサになっていることがよくありませんか?
ほとんどの人は、まず鶏肉を炒めて、野菜を加えて炒めてから水を加えて煮込むという順番で筑前煮をつくっていると思います。実際にどのレシピにもそのように書いてありますからね。

最初に炒める理由として、鶏肉の味を出すという説明がありますが、その効果は大して期待できません。
鶏肉と野菜では火が通る時間が違い、鶏肉のほうが早く、野菜のほうが遅いのですから、順序が逆。鶏肉がまずくなるのも仕方ありません。

そこでおすすめしたいのが、鶏に熱湯をかけ、野菜は下ゆでして〝霜降り〟状態にしておいて、野菜、鶏肉の順に煮汁で煮る方法です。
こうすると鶏肉がふっくら仕上がり、従来の筑前煮とはまったく違った食感になります。

また、それぞれの材料からうまみが出るので、当然、だしは不要。
鶏肉と野菜が渾然一体となった味わいは、炒めて煮込むより強く感じられるでしょう。
油で炒めないのでヘルシーなよさもあります。これなら、料理もうんと楽になるのでは?

「筑前煮」の簡単レシピ

材料(4人前)
鶏もも肉200g、 さといも4個、 ごぼう1本、 にんじん1本、れんこん10cm分、しいたけ8枚、こんにゃく1枚、絹さや12枚
[煮汁]水2カップ、醤油・みりん各50ml、砂糖25g
●つくり方
1. 鶏もも肉はひと口大に切り、熱湯をかけておく。
2. さといもは皮をむいてひと口大、にんじんとれんこんは皮をむいて乱切り、ごぼうは皮をむいて厚めの斜め切り、しいたけは軸を取って半分に切る。以上を軽く下ゆでして水気を切っておく。
3. こんにゃくはスプーンでちぎって、鍋に水と一緒に入れてから火をつけ、3分ゆでて水気を切っておく。
4. 煮汁の材料を鍋に入れ、しいたけ以外の2の野菜とこんにゃくを煮る。
5. 野菜に火が通ったら、鶏もも肉、しいたけを加え、あくを取りながら煮詰め、鶏に火が通ったら完成。
6. 器に盛り、ゆでた絹さやを散らす。

×さばの味噌煮は味噌の煮汁でことこと煮る→〇少量の煮汁でさばにさっと火を通す

煮物というと、弱火でゆっくり火を通すことが重要だと思われがちですが、これは前世紀の遺物といっていいものです。
現在はガスやIHのコンロが普及し、物流が発展したおかげで、どこに住んでいても新鮮な食材が手に入ります。
昔のように、火加減に注意しながら長く煮込む必要はなくなり、短時間でさっと火を通すだけでいいように状況が変わっています。
また、魚や肉などに含まれる蛋白質は火を通すと固まり、味が入りにくいのです。

さばの味噌煮をつくる場合は、従来のように味噌味の煮汁で煮込むのではなく、さっと火を通して煮詰めた煮汁をかけていただく。
こうすると、さばはふっくらとして、味わいも段違いになります。

ただし、魚や肉を煮る際には秘訣があります。
それは、塩をふってから熱湯をかけ、霜降りにしておくこと。
このひと手間をかけることで雑味はなくなり、素材の味わいを封じ込めることができるのです。
野菜も熱湯に通しておくと同様の効果が得られます。霜降りはいわゆるプロの技ですが、家庭でもぜひ試してみてください。

「さばの味噌煮」の簡単レシピ

材料 (2人前)
さば2切れ、塩小さじ1、 長ねぎ (青い部分)適量、しょうが(薄切り)1片分、酢小さじ1
[煮汁]酒・水 各0.5カップ、砂糖大さじ1.5、味噌20g、昆布6cm角1枚
●つくり方
1. さばは皮に十字の切り目を入れ、塩をふってから20~30分おいた後、熱湯にさっとくぐらせて氷水に取って霜降りにし、汚れや水気を取っておく。
2. 小さめの鍋に味噌以外の煮汁の材料と長ねぎを入れる。 昆布の上にさばを置き、 強火にかける。煮立ったらあくを取り、中火にして味噌の半量を溶かして煮立てる。
3. 煮汁の量が減ったら、残りの味噌を溶き入れて煮詰め、とろみがついてきたらしょうがと酢を回し入れて火を止める。少量の煮汁でさばにさっと火を通す。

野崎洋光 のざきひろみつ

和食料理人。東京グランドホテル、八芳園を経て「とく山」の料理長に就任。西麻布の「分とく山」ほかグループ5店舗の総料理長を経て、2023年に勇退。伝統を重んじながら、独創的な個性のある料理で日本料理界に新しい風を吹き込み、各種メディアで活躍中。「本格おうち和食」をInstagramYouTubeでも発信中!

※本記事は雑誌『和樂(2010年10月号)』を再編集した転載です。
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和樂web編集部

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