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2月25日(木)
恋しという気持ちは目の前にないものに対しておこるもの。
(古今和歌集岩波文庫脚註より)
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読み物

画像で歴史クイズ!橋の上で戦うこの2人、誰と誰?実は有名なあのシーンなんです!【だれでもミュージアム】

この美術館の館長

橋の上で戦っている2人の武将。1人は薙刀(なぎなた)を持ち、もう1人は高下駄(たかげた)を履いて刀を抜いた状態で橋の欄干(らんかん)に乗っています。

この2人は、いったい誰? 何をしているのでしょう?

同じモチーフの別の作品

ごめんなさい、ちょっと意地悪してしまいました……。
こちらの鐔(つば)なら、一瞬にして分かる! というかたも多いのではないでしょうか。

この画題のもとになったエピソード

正解は、牛若丸(=源義経)と弁慶。2人が初めて出会って主従の絆を結んだという、有名な五条大橋のシーンです(五条大橋ではなく、別の橋が本来の舞台だったといわれますが)。
童話や絵本などで広く知られるお話で、1000本の太刀を集めようとしていた弁慶が最後の1本を奪おうと待ち構えていたところ、やってきた義経に逆襲されて家臣になった、というものです。

ただ、このエピソードの出どころと見られる『義経記(ぎけいき)』も創作の色が非常に濃いものであり、完全な史実のみを描いたものではないといわれています。
なお、『義経記』には橋の上での決闘はなく、弁慶が義経の家臣になるまでに3回の戦いがあったと書かれています。

遊び心満載!

さて、鐔のほうに目を戻してみましょう。

ちょっと分かりづらかった1枚目の鐔も、よく見てみると、それぞれの人物を示す特徴が見て取れます。
義経のほうが子どものときの牛若丸の姿ではなく、成長した武将として描かれているため、少し分かりづらいのですが、格好は伝えられている義経の姿そのものです。足元については高下駄で、ここは有名な伝承を受け継いでいるよう。

エピソードそのままではなく、アレンジを加えて描く、これもまた作者の遊び心が感じられて楽しいですね。

とはいえ、『義経記』の中の義経は、このときすでに大人の扱いを受ける「元服(げんぷく)」の儀式を終えています。
もしかしたら、もともとのエピソードをより忠実に描いているのは、こちらのほうなのかもしれません。

裏を見てみると……

2枚目の画像の鐔、こちらも実は遊び心に富んだ、おもしろい作品なのです。
ちょっと裏を覗いてみましょう。

天狗が木の上から2人を見ています。

義経は鞍馬山で天狗に武芸を教わったという伝承があります。この天狗が、教え子である義経を陰(裏)から手助けしている(見守っている?)、という設定なのですね。

「だれでもミュージアム」とは?

パブリックドメインの作品を使って、バーチャル上に自分だけの美術館をつくる「だれでもミュージアム」。和樂webでは、スタッフ一人ひとりが独自の視点で日本美術や工芸の魅力を探り、それぞれの美術館をキュレーションしています。「だれでもミュージアム」はwebメディアだけでなく、各SNSアカウントや音声コンテンツなど、さまざまな媒体のそれぞれのプラットフォームに合わせた手法で配信。アートの新しい楽しみ方を探ります。

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主要参考文献:『日本古典文学全集第31巻 義経記』小学館

この美術館の館長

人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。