CATEGORY

最新号紹介

10,11月号2024.08.30発売

大人だけが知っている!「静寂の京都」

閉じる
Art
2017.08.23

絹谷幸二氏の作品が京都に集結!新作、初公開が目白押し『絹谷幸二 色彩とイメージの旅 』展

この記事を書いた人

京都国立近代美術館で絹谷芸術を堪能

2017年8月22日(火)から、京都国立近代美術館で『絹谷幸二 色彩とイメージの旅』が開催されます。
KINUTANI01
日本の美術界において、第一線で活躍をしている作家・絹谷幸二さん。今回の展覧会では、初期から現在までの代表作に加え、素描や陶芸、ガラス作品に至るまでを展示し、その多彩な活動の全貌に迫っています。また、本展のために制作した、京都を題材としている新作や、展覧会初公開作品なども出品。絹谷芸術をたっぷりと堪能できる、またとない機会になっています。

絹谷幸二さんのことを少しだけ

絹谷幸二さん撮影/海田悠

1966年に東京藝術大学美術学部油画科を卒業後、同大学院の壁画科へ進学し、アフレスコの研究に専念していた絹谷幸二さん。アフレスコの講義のために1970年に来日した、ブルーノ・サエッティとの出会いをきっかけに、翌年イタリアへ留学。そのままヴェネツィア・アカデミアに入学し、サエッティのもとでアフレスコ古典画法、現代アフレスコの研究に取り組みました。

帰国後は、アフレスコ技法による、色彩豊かでエネルギーに満ち溢れた画面によって、独自の画風を確立。劇画の要素を絵画表現へと取り込んだことで、日本の画壇に新風を吹き込み、新しい絵画ジャンルを切り開いたのです。

現在に至るまで、国内で数々の個展を開催しています。近年では、2001年に日本芸術院会員に任命され、2014年には文化功労者に選出されるなど、今後の活躍も期待されています。

本展の見どころはここ!

1.代表作が感動の初対面

スクリーンショット 2017-08-18 10.08.17左/『アンジェラと蒼い空Ⅰ』1976年 右/『アンジェラと蒼い空Ⅱ』1976年 東京国立近代美術館蔵

絹谷さんの代表作の1つ、『アンジェラと蒼い空Ⅱ』はこれまでも多くの展覧会で紹介されてきました。しかし、この作品に先立って描かれた『アンジェラと蒼い空Ⅰ』と並んで展示されるのは、今回が初めてのことです。

2.国宝を描いた作品を展覧会初公開

スクリーンショット 2017-08-18 10.10.34『無著・世親』2013年

子どもの頃から興福寺周辺を遊び場としていた絹谷さんは、国宝『無著・世親立像』に当時から心を惹かれていました。そんな思い入れの深い尊像を描くことに挑戦した本作は、その制作過程をテレビで放映されたこともあり、ご存知の方も多いかと思います。しかし、大切に保管されていたため、展覧会に出品されるのは初めてとなります。

注目の展示作品をご紹介

アンセルモ氏の肖像『アンセルモ氏の肖像』1973年 東京国立近代美術館蔵

第17回安井賞を受賞した作品『アンセルモ氏の肖像』。当時31歳であり、受賞の最年少記録を更新。若手の登竜門であったこの作品を機に絹谷幸二という名が日本中に知れ渡りました。

蒼の間隙『蒼の間隙』1966年

蒼のシリーズ『蒼の間隙』。複雑な家庭環境で育った絹谷さんは、少年時代から無常観を持っていました。「自分を包む世界には何一つ確固としてものはないという漠然とした不安感」を表現した作品をこの時期に多く描いていたのです。

蒼天富嶽龍宝図『蒼天富嶽龍宝図』2008年

これまでの風景画には、故郷奈良を描いたものや富士山へ挑戦したシリーズ、留学先のヴェネツィアを描いたものなどがあります。それらは基本的に実際の景色を基に構成された作品が多いのです。

羅漢唄う『羅漢唄う』1980年 富山県美術館蔵

幼少時代に興福寺や春日大社、奈良国立博物館があるエリアを庭のようにして遊んでいたため、仏像や神像がモチーフとして絵画に登場することはごく自然のことでした。仏教に対する深い教養を持つ絹谷さんが描くと、現代社会へ警鐘を鳴らすとともに、立ち止まって考えることの大切さを説いているようにも感じられます。

動く絹谷ワールドが登場!

絵画だけでなく、陶芸、ガラス、立体と、分野を横断しながら制作を続けている絹谷さんは、近年表現の方法として映像を取り入れています。本展では、映像作家・榎本二郎さんの協力を得て、絹谷さんの色彩豊かな作品を映像をつかい、新たな一面を表現。3面スクリーンに映し出される本映像では、絹谷作品のモチーフたちが縦横無尽に駆け巡り、平面作品とは一味も二味も違う壮大なスケールの作品になっています。

絹谷幸二-色彩とイメージの旅-

喝破『喝破』2015年

日本美術界に様々な新風を巻き起こし、活躍をし続ける絹谷幸二さん。その全てが集結していると言っても、過言ではない展覧会になっています。京都国立近代美術館で絹谷芸術を堪能しませんか?

公式サイト