2017年12月17日まで、出光美術館で「書の流儀II -美の継承と創意」が開催中です。
書の鑑賞力を高める工夫いっぱいの展覧会
「石山切」は、大阪の石山本願寺に伝わった「本願寺三十六人家集」の一部で、冊子の断簡。「伊勢集」と「貴之集下」の2種類があるのですが、ふたつの書の表情は対照的ともいえるほど異なっています。壮麗で堅実な伝統美を誇る「伊勢集」に対し、流麗さを主張するなかにどこか清新な趣が光る「貴之集下」。今回の展覧会では、このふたつの「石山切」の魅力の特質を探るコーナーも設けられ、書そのものの面白さに深く迫る内容に。書道の教科書でもおなじみの、小野道風、西行、紀貴之などの筆として伝わる名筆も展示。「鶴は千年、亀は万年、我れは天年」という仙厓の味わい深い書も。初心者からプロまで楽しめます。
平安王朝の装飾美を結集したきらびやかな料紙に注目が集まりがちな「石山切」ですが、今回は書そのものを楽しんでみて。藤原定信 「石山切 貴之集下」 平安時代 出光美術館蔵
名筆の代表格。間近に見ることは、鑑賞力だけでなく、実技力も高める。伝 紀貴之 「高野切第一種」 平安時代 重要文化財 出光美術館蔵