九州国立博物館で11月26日まで開催中の特別展「新・桃山展 – 大航海時代の日本美術」。桃山時代の泰斗、狩野永徳が描いた舞うかのような力強い巨木を鑑賞できる機会です。
身をよじるかのように檜が左右に枝をしならせ、観る者に迫ってくる。
檜図屛風 狩野永徳 国宝 天正18年(1590) 紙本金地着色 四曲一双 各170.0×230.4cm 東京国立博物館 展示期間:展示中~11月26日
作者の狩野永徳は、桃山時代に活躍した狩野派の4代目。織田信長や豊臣秀吉ら天下人に仕え、安土城、聚楽第などの障壁画を手がけた。
本作は秀吉が皇族の八条宮智仁親王のために、天正18年(1590)に造営した御殿の襖絵であったと考えられている。大画面に檜の巨木を近接させる構図、勢いのある筆致は、永徳が、豪放で派手好きな為政者の好みを反映して編み出した「大画様式」の特徴をよく表している。絢爛たる桃山時代の美を創造した永徳の到達点を見ることができる。