先日、日本気象協会から2019年のソメイヨシノの開花予想日が発表されました。予報によると、東京都心では3月20日頃の開花が見込まれており、暖冬の影響もあって例年よりもかなり早いようです。
そんな中、美術館や博物館でも桜の開花タイミングに合わせるように、全国各地で桜にちなんだ展覧会や記念イベントが開催される予定です。せっかくなので、桜を愛でつつ、日本美術の粋を集めた「桜」にちなんだ美術展もあわせて楽しみたいですよね。
そこで、INTOJAPAN編集部では2019年春に開催される「桜」や「お花見」にちなんだ展覧会を全国の美術館・博物館から探して取材し「美術館で楽しめるお花見特集」としてまとめてみました。
それでは早速見ていきましょう!
オススメ展覧会1 「春・さくら、咲クヤat百段階段」(ホテル雅叙園東京)
さくらの名所でもある目黒川沿いに佇むホテル雅叙園東京。ホテルの前にも沢山のさくらが植えられ、満開になると本当にきれいに映えますね。
さくらが満開になる時期に、ちょうど「百段階段」で日本の伝統工芸や伝統芸能をはじめとする様々なジャンルの「春」や「さくら」が体感できるアート作品を味わえる展覧会「春・さくら、咲クヤat百段階段」がスタートします。その展示会場でも特にオススメなのが、絢爛豪華な「漁樵の間」と、礒部草丘の日本画を配した「草丘の間」です。
百段階段の中でも一番きらびやかな雰囲気の「漁樵の間」
まず、「漁樵の間」には、松竹株式会社および松竹衣裳株式会社の協力のもと、貴重な歌舞伎衣裳を特別展示。桜の花をモチーフとした花魁衣裳「三浦屋揚巻」他、「身替座禅」や「京鹿子娘道成寺」など、桜にまつわる衣裳を展示します。
一方、礒部草丘の日本画を配した「草丘の間」では、国内外で活躍する様々なジャンルの作家の作品が並びます。前期(3/28~4/7)は、国際園芸博覧会において日本国政府屋内展示のチーフデザイナーや統括プロデューサーを歴任するフラワーアーティスト村松文彦氏による作品を展示。後期(4/8~4/21)は、欧米の支部でも華道教室を開催するなど、多彩な活動で知られる一葉式いけ花の家元 粕谷尚弘氏によるいけばなを展示。さらに、佐賀県有田で作家活動を続ける陶芸家 島本悠次氏の磁器作品、静岡・浅草・六本木にて「抹茶書Ⓡ」や「インターナショナル書道教室」など、日本の伝統文化の継承に努めている松蘭氏による抹茶を使った書なども展示されます。
展示を見終わったあとは、そのまま帰らずに、是非ホテル内を散策してみてはいかがでしょうか? 特におすすめなのが、この春リニューアルされたカフェラウンジです。
昼間と夜でかなりイメージが変わるカフェ・ラウンジの様子。
昼はゴージャスな「アフタヌーンティー」がオススメ!
昼間は喫茶タイム、夜は軽食とお酒も楽しめる「パンドラ」では、特に夕方以降が圧巻。ライトアップされた滝のある中庭を眺めながらゆっくりお酒を飲んでくつろぐと至福の時間が待っています! 是非、展示と併せて楽しんでみてくださいね。
豪快な滝の音が気持ちいい庭園を眺めながら、ゆったりくつろぐことができます。
展覧会名 「春・さくら、咲クヤat百段階段」
場所 ホテル雅叙園東京
会期 2019年3月28日(木)~4月21日(日)
公式サイト
オススメ展覧会2 「春爛漫!桜咲く錦絵 ―日本橋・江戸桜通りへようこそ― 2019」(貨幣博物館)
2005年に若木が植えられ「江戸桜通り」と命名された貨幣博物館沿いの通りの桜は、それから10数年経過して大きく成長。今では東京都心の穴場的なお花見の名所になっています。
そこで、この「江戸桜通り」沿いにある貨幣博物館では、2017年から毎年お花見の季節に桜が描かれた明治期を中心とした浮世絵(錦絵)を紹介する展覧会を開催。
デジタルアートや夜間ライトアップ展示が美しい「日本橋桜フェスティバル」や、三越日本橋本店での「日本橋桜祭り」など貨幣博物館の近隣で開催される桜イベントと一緒に回ってみるのもいいですね。また、貨幣博物館の充実した常設展示もおすすめです!
展覧会名 「春爛漫!桜咲く錦絵―日本橋・江戸桜通りへようこそ―2019」
場所 貨幣博物館
会期 2019年3月12日(火)~4月14日(日)
公式サイト
オススメ展覧会3 「博物館でお花見を」(東京国立博物館)
毎年恒例となった、桜の季節に開催される東京国立博物館での人気イベントが今年も開催されます。まず注目したいのは、各展示室でイベント期間中にあわせて「桜」にちなんだ作品展示が楽しめること。
国宝 花下遊楽図屏風 狩野長信筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵
本館2室(国宝室) 3月12日(火)~4月7日(日)
本館では、国宝「花下遊楽図屏風」をはじめとして、桜を描いた絵画や、桜をモチーフにした工芸品、サクラ材の仏像など、桜に関連した様々な作品が展示されます。下記に挙げた「月に桜花図鐔」などは非常に小さな作品なので、作品がどこに展示してあるのか迷ってしまいそうなものですが、そこは大丈夫。該当作品には、桜マークが付いているのですぐに見つかるはず。ぜひ、展示室であなただけの“お気に入りの桜”を見つけてみてください。
色絵桜樹図皿 鍋島 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵 本館8室
展示中~4月21日(日)
月に桜花図鐔 加納夏雄作 江戸~明治時代・19世紀 クインシー・A.ショー氏寄贈
東京国立博物館蔵 本館13室 展示中~5月12日(日)
打掛 鶸色縮緬地桜風景模様 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵 本館10室
展示中~4月21日(日)
また、「博物館でお花見を」では、広大な本館展示室を楽しく回るために毎年好評のスタンプラリーも実施。「桜」にちなんだ本館内に多数展示されている作品の中から、5つのポイントでスタンプ台が設置されています。専用のラリー用紙に5つ全部スタンプが集まったらオリジナル缶バッジがもらえます。ぜひチャレンジしてみてください!(※2019年バージョンは数に限りがあります。お早めに!)
展示室で桜の作品を見たあとは、庭園でゆったりとお花見はいかがでしょうか。3月12日(火)~5月19日(日)まで期間限定で開放される本館裏の日本庭園では、ソメイヨシノ以外にも早咲き・遅咲きと10種類以上の桜が楽しめます。
特に、夜間延長開館日である4月13日(土)までの毎週金・土曜日は、19:30までライトアップが楽しめます。池の畔に臨時で出展された「桜カフェ」のコーヒーを飲みながら色とりどりの桜を存分に味わうのも楽しそうですよね。
イベント名 「博物館でお花見を」
場所 東京国立博物館
会期 2019年3月12日(火)~4月7日(日)
公式サイト
オススメ展覧会4 「第7回 郷さくら美術館 桜花賞展」(郷さくら美術館)
毎年お花見の季節にあわせて開催されているコンペティション形式の展覧会「郷さくら美術館 桜花賞展」は今年で7回目の開催となりました。今年度も、各方面から推薦され、今後の活躍が期待される若手日本画家31名が出品。ソメイヨシノやしだれ桜、幻想的な夜桜など、各作家の個性が反映された様々な桜の姿を見比べながら作品を味わうことができます。
編集部では展覧会の2日目に作品を見てきましたが、どの作品も作家の個性が遺憾なく発揮され、燃えるような「赤」が印象的な作品から、しっとりした夜桜の控えめな美しさが印象的だった作品まで力作揃いでした。
奨励賞 島本純江「桜舞」2018年
奨励賞 高宮城延枝「春の辺り」2018年
郷さくら美術館 桜花賞優秀賞 中内共路「明日への道」
2018年 紙本彩色 112×145.5cm
郷さくら美術館 桜花賞大賞 加藤清香「名もなき花」
2018年 紙本彩色 112.2×145.7cm
同時開催される「桜百景vol.17」では、中島千波、西田俊英など、日本画の人気現代作家たちによって描かれた「桜」をモチーフとした同館のコレクションをたっぷり楽しむことができます。入館料もわずかワンコインと非常にお得な郷さくら美術館。展示期間中、館内ではずっと「満開」な桜の競演を心ゆくまで楽しんでみてくださいね。
また、同じ目黒川に面した近隣の美術館同士であるホテル雅叙園東京と郷さくら美術館とで、この春に初めて提携割引が行われます。相互に入場優待が予定されているので、ぜひセットで回ってお花見を2倍楽しんじゃいましょう!
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◆百段階段の半券呈示:郷さくら美術館入場料
通常価格より一律¥50引き
◆郷さくら美術館の半券呈示:
百段階段入場料一般¥1,600→¥1,100
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展覧会名 「第7回 郷さくら美術館 桜花賞展」
※同時開催:「桜百景vol.17」
場所 郷さくら美術館
会期 2019年3月2日(土)~5月26日(日)
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オススメ展覧会5 「コレクション展 美術館でお花見」(石川県立美術館)
桜の季節に先立って、いち早く来館者にあたたかい季節を体感してもらおうと、花をモチーフとした工芸作品が集められた石川県立美術館の特集展示。写実的な描写から、美しくデザイン化されたもの、現実には存在しないような花まで、さまざまな表現を紹介しています。
中憲一「爛漫」
たとえば、この中憲一「爛漫」を見てみましょう。満開の桜の花が見込みに描かれた平鉢ですが、写生に基づいた桜花が適度に省略され、花芯や舞い散る花びらに施された金彩が春のたけなわを感じさせます。
上田外茂治 友禅訪問着「蒼天の樹」
こちらの衣装も満開の桜があでやかな一品。デザイン化された桜が、少しずつヴァリエーションを加えながら衣装を覆いつくすように広がっています。
富本憲吉「染付藤文向付」
こちらは、民芸運動に参加していた著名な陶芸家・富本憲吉の作品。素早く最小限の筆数で描かれた藤文が、白地に青い染付のみで軽快に描かれています。写生から出発して対象を極限まで突きつめることで独自の文様を生み出した、富本ならではの表現を楽しめます。
その他にも、展示室では春の桜だけでなく、菜の花、藤、薔薇、牡丹、椿など、四季折々の花を同時に楽しむことができます。本格的なお花見シーズンの前に、作品に描かれたたくさんの花を味わうことで、春を先取りできる好企画です!
展覧会名 「コレクション展 美術館でお花見」
場所 石川県立美術館
会期 2019年2月15日(金)~3月21日(木)
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オススメ展覧会6 「春をおもう―東洋と西洋、それぞれの春―」(上原美術館)
河津桜の名所にほど近い伊豆・下田にある優美な美術館・上原美術館。2017年には建物が改修リニューアルされ、新たに「近代館」「仏教館」と2つの特徴ある展示室で季節に合わせた企画展が楽しめるようになりました。こちらの「近代館」で開催中の展覧会が、上原美術館の所蔵品から、春の訪れを感じさせる近代西洋絵画・日本画が特集されている「春をおもう―東洋と西洋、それぞれの春―」です。
近代館の展示室。アットホームなゆったりした空間で絵画作品を楽しめます。
上原美術館の特徴は、テーマに沿って集められた実力ある和洋の作家の作品を、混在して一つの展示室で楽しむことができること。日本画と西洋絵画が違和感なく隣同士に並んでいる展示シーンは他の美術館ではあまりお目にかかりませんよね。
本展でのオススメは「桜」の季節にぴったりな横山大観「夜桜」でしょうか。
横山大観「夜桜」
また、季節は若干過ぎてしまいましたが、ひときわ目を引いたのが、安井曾太郎の描いた下田市の名物でもある水仙をモチーフにした作品「ペルシャ壺と水仙」です。
安井曾太郎「ペルシャ壺と水仙」(部分図)
さて、近代館での特集を楽しんだら、伊豆半島の仏教美術を特集展示した「仏教館」も要注目です。入り口を入るとまず驚くのが多数の仏像が出迎えてくれる巨大な仏像ギャラリー。近現代につくられたあらゆる種類の仏像が展示され、仏教文化の奥深さを実感できます。こちらは全作品が撮影可能。
仏教館の巨大な仏像ギャラリーには多数の仏像が。しかも安置されている仏様には全て魂が入っており、普通にお祈りすることも可能。ご利益があるかも?!
そして、ホールを抜けて企画展示室へ入ると、現在開催中の企画展「下田の古刹-太梅寺の寺宝」を観ることができます。地元・下田市の名刹「太梅寺」に伝わる寺宝や文物を特集した展示室では、歴代住職が大切に守り抜いてきた書跡や経典、仏画の数々を最新鋭のライティング設備が整った気持ち良い展示空間で観られます。
研究や啓蒙活動のため伊豆半島を駆け巡っているベテラン学芸員・田島さんが熱心に解説してくれました。
よく手入れされた美術館の中庭。天気が良い日は遠くに天城山も見えるとのだとか。
伊豆半島はちょうど河津・下田の「河津桜」や伊豆高原名物・ソメイヨシノの「桜並木」など、桜が満開の季節を迎えています。下田市の山間にある小さな美術館ですが、設備・所蔵品は一流の上原美術館。非常に気持ちの良い展示空間でゆったり美術鑑賞を楽しめます。ぜひ桜を愛でた後は、美術館で春を感じてみてください。
展覧会名 「春をおもう―東洋と西洋、それぞれの春―」
場所 上原美術館
会期 2018年12月15日(土)~2019年3月31日(日)
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オススメ展覧会7 「美術館の春まつり」(東京国立近代美術館)
東京における屈指のお花見の名所として知られる皇居エリア。桜の開花シーズンになると、皇居に面した前庭からも桜が楽しめるだけでなく、所蔵作品展「MOMATコレクション」の一部の作品を「お花見仕様」に入れ替えた「美術館の春まつり」というイベントが開催されます。
イベントの主役はもちろん美術作品。川合玉堂「行く春」、松林桂月「春宵花影図」など桜がテーマの人気作品が続々登場します。原則写真撮影OKなので、是非お気に入りの作品を思い出に持ち帰ってみましょう。
川合玉堂「行く春」左隻 1916年 重要文化財
松林桂月「春宵花影図」1939年
跡見玉枝「桜花図巻」(部分)1934年
そして、「美術館の春まつり」で用意されているのは美しい美術作品だけではありません!「花より団子」ではないですが、ちゃんとお弁当やお酒も用意されています。
こちらは昨年の様子です。前庭には専用の床几台が設置され、暖かな春の日差しの中お弁当やお酒を頂くことができます。美術館に併設されているレストラン、「ラー・エ・ミクニ」の季節限定の特製弁当は本当に美味しいのでオススメです!(昨年編集部で実食済み)
ラー・エ・ミクニの特製弁当。アートファンなら一度は食べておきたい逸品です!(※メニュー内容は変更する可能性あり)
同時期に開催中の企画展もおすすめです。
日本におけるグラフィックデザインの先駆者として名高い杉浦非水を特集した企画展「イメージコレクター・杉浦非水展」(2/9~5/26)はいかがでしょうか。彼が生前手がけたポスターや雑誌の表紙デザイン、装丁の仕事に加え、非水が創作のために日常的に素材を蒐集していた海外雑誌やスクラップブックなどを特集しています。
また、1930年代の日本にいち早くシュルレアリスムを紹介し、前衛美術運動の旗手として知られる福沢一郎の多彩な画業を振り返る企画展「福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ」(3/12~5/26)も力が入った展覧会です。「美術館の春まつり」とぜひ一緒に楽しんでみてください。
イベント名 「美術館の春まつり」
場所 東京国立近代美術館
会期 2019年3月19日(火)~4月7日(日)
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オススメ展覧会8 竹内敏信写真展「日本の桜」NIPPON-NO SAKURA(フジフイルムスクエア)
年間実に80展以上の企画展を開催している(しかも入場料無料!)六本木ミッドタウン内のフジフイルムスクエア。このお花見シーズンに楽しめる企画展が、全国各地を縦断して長年桜の花を撮り続けてきた桜写真の名手・竹内敏信の珠玉の作品がたっぷり味わえる展覧会「日本の桜」です。
撮影:竹内敏信(愛媛県久万町、現久万高原町)
日本の風景写真家の第一人者である竹内敏信は、風景写真家として日本の原風景を求めて”北は北海道、南は八重山諸島まで四季を問わず撮影旅を続けてきました。なかでも、「春になると、毎年毎年、まるで病気になったように桜を求めて旅をしてきた。“桜力”というか“桜霊力”が宿ってしまったのではなかろうか」と竹内は春の「桜」を撮影するのを楽しみにしていました。
今回の写真展では、岡崎市美術館への作品寄贈を機に、今までに発刊した数多い写真集「櫻」「櫻暦」「『山櫻」「一本櫻百本」などから選ばれた作品に、未発表作、新作を追加して展示する予定です。
展覧会名 竹内敏信写真展「日本の桜」NIPPON-NO SAKURA
場所 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
会期 2019年3月15日(金)~4月3日(水)
公式サイト
オススメ展覧会9 「茶道具で花見」(野村美術館)
野村證券や旧大和銀行を創立した実業家・野村徳七(得庵 とくあん)が集めた茶道具や書画、能面、能装束などの美術品を展示している京都・洛北にある野村美術館。2018年秋には開館35周年を迎えた歴史あるミュージアムです。
本店では、同館が所蔵する数々の茶道具の名品の中から、四季の「花」があしらわれた作品を特集展示した展覧会。あでやかな花鳥画でお花見を楽しむ企画はよくありますが、陶磁器、それも”茶道具”の中に描かれた「桜」をはじめとする花々を楽しむ企画はなかなか珍しいのではないでしょうか?
確かに、茶の湯では、「侘び茶」に代表されるように派手すぎる意匠は好まれませんでした。しかし、茶道具の中に散りばめられた「花」のモチーフを丹念に探していくと、思いのほか大胆なデザインが見つかったり、花が描かれていたりすることがわかります。
本展では、前期はお花見の季節に合わせて「春の花」が中心に取り上げられます。展示替えを挟んだ後期展示では「秋の花」を特集した展示に変わる予定です。
まずは、蒔絵や染付で「満開」の桜が表現された3点をご紹介。派手な色使いこそありませんが、作品全体にうまく馴染むような形で桜の意匠が施されています。
佐野長寛作花陰漆絵食籠 展示期間:3/9-4/21
柳桜蒔絵棗 展示期間:3/9-4/21
古染付桜川水指 展示期間:3/9-4/21
また、満開の桜だけでなく、紅葉もセットで描かれた茶道具としては同館で最も人気のある京焼の名手・仁阿弥道八の名作「雲錦手四方鉢」が見逃せません。「尾形乾山、野々村仁清の再来」と称された道八が、琳派的な意匠を施した春と秋の風景美をうつわに描きこんだ傑作です。
仁阿弥道八作 雲錦手四方鉢 展示期間:4/23-6/9
茶道具の中に意匠化された様々な花を愛でながら、茶の湯の奥深さ、懐の広さをじっくり感じられる好展示となりそう。茶道具を楽しんだ後は、季節の和菓子と、香り高い抹茶がいただける呈茶席(ていちゃせき)にも立ち寄ってみましょう。和菓子がなくなり次第終了となりますので、ぜひお早めに!
展覧会名 「茶道具で花見」
場所 野村美術館
会期 【前期】2019年3月9日(土)~4月21日(日)
【後期】2019年4月23日(火)~6月9日(日)
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オススメ展覧会10 「花・Flower・華-四季を彩る-」(山種美術館)
ほぼ隔年ペースで定期的に開催されている山種美術館の春の人気企画展「花・Flower・華」展。桜が満開となる時期にスタートする本展では、同館の豊富な所蔵品から、桜をテーマとした作品はもちろん梅、牡丹、百合、朝顔、菊、水仙、椿など、春夏秋冬各季節の代表的な花々が描かれた、近代・現代日本画を季節順に見て回ることができます。
例えば、「桜」をテーマとした作品をいくつか見てみましょう。
奥田元宋 「奥入瀬(春)」 1987(昭和62)年 紙本・彩色
東山魁夷とともに日展で大活躍した奥田元宋の大作「奥入瀬(春)」では、渓流の緑の中に、控えめにところどころで桜が満開になっていますね。
横山大観 「山桜」 1934(昭和9)年 絹本・彩色 山種美術館
こちらは横山大観が描いた満開の山桜です。
上村松園 「桜可里」 1926-29(昭和元-4)年頃 絹本・彩色 山種美術館
桜を愛でる女性像を描いた上村松園の作品も登場します。
また、山種美術館は展示作品とともに解説パネルや音声ガイドが非常に充実しているのが特徴。本展では、花言葉や花の特徴、作品や花への想いを語った画家の言葉など、豊富な解説が用意されています。日本画に描かれた花の魅力を読み解くための心強いガイドになりそう。お花見の季節を過ぎても、色とりどりの花をしっかり楽しめる展覧会です。
展覧会名 「【山種美術館 広尾開館10周年記念特別展】花・Flower・華-四季を彩る-」
場所 山種美術館
会期 2019年4月6日(土)~6月2日(日)
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美術館の桜と実際の桜を見比べる楽しみ
桜の開花タイミングに合わせて、美術作品を通してお花見を楽しむことができる美術館・博物館での「お花見」展示。絵画だけではなく、茶道具、陶磁器、漆工芸、衣装など、桜があしらわれたバラエティ豊かな美術作品を楽しむことができます。
また、最近では展示を観た後の楽しみとして、併設の庭園で実際に桜を愛でたり、お弁当を食べることができたりと様々な工夫を凝らして来館者を楽しませてくれる美術館・博物館も増えてきました。せっかくなので、展示だけではなく、同時開催されているイベントや、近隣のグルメなどもチェックして思い切り楽しんでみてくださいね!
文/齋藤久嗣