渋谷駅ハチ公口から徒歩約15分の場所にある戸栗美術館。2018年9月22日まで「古伊万里植物図鑑展」を開催中です。この展覧会では、植物をモチーフにした伊万里焼、約80点を展示。江戸末期に刊行された日本最初の彩色植物図鑑「本草図譜」を参考に作品を紹介しているので、図鑑をめくっていくように楽しむことができる構成になっています。
作品とモチーフとが結びつきやすいように、植物ごとにパネルが設けられている
古伊万里ってなんだ?
古伊万里は、江戸時代に焼かれた古い伊万里焼のことです。そもそも伊万里焼は、有田でつくられた磁器を伊万里の港から出荷していたもの。つまりそもそもは、有田焼なのです。江戸時代、(現在の)佐賀県有田町で製造された古伊万里は、ヨーロッパ各地からの様々な要望に応えるため、雪のように白い素地となりました。純粋な白の素地に描かれた、鮮やかな色合いの絵付けが特徴です。
「色絵 龍文 菊花形鉢」伊万里 江戸時代(17世紀末〜18世紀初)口径26.5cm
必見は「染付 花唐草文 瓢形瓶」
第一展示室で一番最初に迎えてくれるのが、展覧会チラシのメインビジュアルにも使用されている「染付 花唐草文 瓢形瓶」。種が多いことから子孫繁栄のシンボルともいわれる瓢簞をモチーフにした瓶に、蔓が連綿と続く様から永遠の幸せを願う人々に愛されてきた花唐草文様が描かれた、幸せの象徴ともいえる作品です。
「染付 花唐草文 瓢形瓶」伊万里 江戸時代(17世紀末〜18世紀前半)高31.8cm
素地の白さと文様の藍青色のコントラストが美しく、くるくると細かく描かれた蔓が特徴的。
茗荷モチーフの小皿がかわいい!
茗荷を2つ重ねた形の小皿は、なかなか類品がない貴重な作品。よく見ると左上の部分に、ぽこぽこと小さな花が表されています。とても細やかな造形なので、じっくりと観察をして探してみてください。
「染付 茗荷形皿」伊万里 江戸時代(17世紀後半)口径10.0×6.8cm
楽しいガーデニングコーナーも
ひとつの器に複数の植物が描かれている作品たちが並ぶ、ガーデニングコーナー。様々な植物が、どこにどのように描かれているのか、探しながらみていくことができる楽しい展示です。
特別企画「やきもの展示解説入門編」
やきものって色々あってよく分からないな…という、やきもの初心者の方にオススメ、基礎から分かる解説を聞けるチャンス。展覧会期間中、8月3日〜5日、10日〜12日に実施しています。参加者の方には、伊万里焼の作り方から、鑑賞のポイントまでが分かる特製パンフレットのプレゼントも!
日時 8月3日〜5日、10日〜12日
※各日14時〜15時
都会の喧騒から少し離れた、閑静な住宅街にある戸栗美術館。落ち着いた雰囲気の中で、名品とよばれる品々と静かに向き合える美術館です。開催中の「古伊万里植物図鑑展」で、図鑑の植物と伊万里焼に表された植物を見比べて、江戸の人々は伊万里焼で何を表現したかったのか、じっくりと考えてみてはいかがでしょうか。
※通常、館内は撮影禁止。特別な許可を得て撮影をしています。
「古伊万里植物図鑑展」
会期 2018年7月4日〜9月22日
会場 戸栗美術館
公式サイト
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