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2019.05.24

東京・渋谷の戸栗美術館、太田記念美術館、東急百貨店本店の、3施設連携企画は見逃せない!

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2019年夏、東京・渋谷区にある「戸栗美術館」(松濤)、「太田記念美術館」(原宿)で、展覧会名も共通した連携企画展「青のある暮らし」が開催されます。


歌川貞秀「長崎丸山之図」 太田記念美術館

夏にふさわしい画期的取り組み! 
渋谷区の3施設が連携した特別企画

戸栗美術館は陶磁器、太田記念美術館は浮世絵と、それぞれが専門とする所蔵品から、「青」を切り口にした展示が行われるほか、相互入館割引や講演会の共同開催など楽しみもいっぱい。さらに、東急百貨店本店との連携企画もあり、渋谷エリアのアートシーンは涼しげな青い色に染め上げられそうな勢いです。


「染付 蛸唐草文 引手」 伊万里 江戸時代(18世紀前半) 長7.7×6.3㎝ 戸栗美術館所蔵 食器が大半を占める伊万里焼だが、18世紀には暮らしを豊かに彩るものがつくられていた。

そこで、戸栗美術館の「青のある暮らし ―江戸を染める伊万里焼―」(7月2日~9月22日)と、太田記念美術館の「青のある暮らし ―着物・器・雑貨」(7月2日~28日)で紹介される注目すべき「青」の作品と、東急百貨店本店の連携メニューなど、ユニークな取り組みの3施設連携企画の詳細をご紹介します。


「染付 網目文 手鉢」 伊万里 江戸時代(18世紀後半) 口径21.0㎝ 戸栗美術館所蔵 浮世絵にはしばしば手鉢が描かれているが、料理を盛り付けるほか、水を張って盃洗とした例もある。

やきもので楽しむ「青」の展覧会
「青のある暮らし ―江戸を染める伊万里焼―」戸栗美術館(松濤)

染織技術が向上した江戸時代は、藍染めが庶民の間に広まり、人々は暮らしの中で、浅葱(あさぎ)、縹(はなだ)、濃)藍(こいあい)など、濃淡さまざまな「青」を身にまとっていました。

同じく江戸時代に大きく発展した佐賀・有田の窯業に目を向けると、17世紀初めに誕生した日本初の国産磁器である伊万里焼の主力となっていたのは、白い素地に掛けられた透明な釉薬に柔らかくにじむ青色の文様を表した染付(そめつけ)。

染付とは藍染めにちなんだ呼び名で、時代ごとにその表現には工夫が凝らされ、青の趣を変化させながら発展していきました。


「染付 白抜蛸唐草文 蓋付碗」 伊万里 江戸時代(18世紀前半) 口径12.6㎝ 戸栗美術館所蔵 食文化が花開いた18世紀には、食事のスタイルに合わせた様々な食器が登場。蓋付碗でも、蓋の形状はさまざまで、遊び心をくすぐるうつわがつくられた。

伊万里焼は、時代の流行を敏感にキャッチし、つねに新しいものを取り入れ続けてきた焼き物で、18世紀には需要・消費層の拡大や食文化の発展などにともない、染付の食器を中心に生産量が増加しています。

また、このころから、襖の引手や将棋駒など、本来磁器以外の金属や木材などでつくられていた暮らしの道具を模した伊万里焼が登場。染付の伊万里焼は、江戸の生活を彩った青色の一翼をにない、暮らしを豊かにしていったのです。

そんな江戸の暮らしのシンボルカラーであった「青色」の伊万里焼のかずかずは、今の暮らしに取り入れてみたいものばかり。涼しげでいて、落ち着きと華やかさも兼ね備えたニュアンス溢れる青色の美しさを堪能したいものです。


「染付 蛸唐草文 箸立」 伊万里 江戸時代(19世紀) 高11.2㎝ 戸栗美術館所蔵 箸立は、大皿料理を囲む際に欠かせないもの。七宝繋ぎの透彫りをした本作もそうした宴席で使われたものと考えられる。

戸栗美術館「青のある暮らし ―江戸を染める伊万里焼―」

会期 2019年7月2日(火)~9月22日(日)
住所 東京都渋谷区松濤1-11-3
開館時間 10:00~17:00(金曜は20:00まで 入館は閉館の30分前まで)
休館日 第4週を除く月曜(7月15日、8月12日、9月16日は開館)、7月16日(火)、8月13日(火)、9月17日(火) ※毎月第4月曜(7月22日、8月26日)はフリートークデーとして開館。
入館料 一般1,000円

【3施設連携企画 特典】

太田記念美術館の半券提示で入館料200円割引。東急百貨店本店発行の割引券の提示で200円割引(1枚につき1名有効、いずれも他の割引との併用不可)
戸栗美術館 公式サイト


「染付 東海道五十三次文 皿」 伊万里 江戸時代(19世紀) 口径55.7㎝ 戸栗美術館所蔵 大皿料理の流行に伴ってつくられるようになった大皿には、歌川広重「東海道五十三次」を双六状に表した本作のように、さまざまな意匠が凝らされていた。


歌川国貞(三代豊国)「今様三十二相 すゞしさう」 太田記念美術館

浮世絵で楽しむ「青」の展覧会
「青のある暮らし ―着物・器・雑貨」太田記念美術館(原宿)

空や海の美しさをイメージさせる「青」という色彩は、江戸時代の人々を魅了し、暮らしのそばにあるさまざまなものを涼やかに彩りました。
そんな青が印象的に用いられた浮世絵を鑑賞すると、着物や食器、雑貨などに使われた身近な青の魅力が浮かび上がってきます。


葛飾北斎「冨嶽三十六景 東都浅草本願寺」 太田記念美術館

太田記念美術館「青のある暮らし ―着物・器・雑貨」

会期 2019年7月2日(火)~28日(日)
住所 東京都渋谷区神宮前1-10-10

【3施設連携企画 特典】

戸栗美術館の半券提示で入館料100円割引。東急百貨店本店発行の割引券の提示で100円割引(1枚につき1名有効、いずれも他の割引との併用不可)
太田記念美術館 公式サイト


月岡芳年「風俗三十二相 かいたさう 嘉永年間おかみさんの風俗」 太田記念美術館

東急百貨店本店【3施設連携企画 特典】


麻布茶房「ブルーライチ」780円(税込)
●店内の飲食店「丸福珈琲店」(3階)、「麻布茶房」(5階)、「珈琲店トップ」(8階)にて、1,000円(税込)以上注文した方に戸栗美術館と太田記念美術館の連携企画展「青のある暮らし」の割引券のプレゼントがあるほか、7月2日~31日の期間に「青のある暮らし」展とコラボした涼しいメニューが登場。

左/珈琲店トップ「青いクリームソーダ」750円(税込)、右/丸福珈琲店「青のクリームソーダ」850円(税込) 

●8階 工芸品売場(前坂晴天堂)では6月27日~7月31日、「青のある暮らし」にちなんで染付の古伊万里を中心とした展示即売会を開催。

東急百貨店本店 公式サイト


歌川広重「名所江戸百景 神田紺屋町」 太田記念美術館

書いた人

昭和のころからファッション雑誌の編集に携わり、重ねたキャリアだけは相当なもの。長らく渋谷の隣駅(池尻大橋)近くに住んでいたが、諸事情により実家(福岡県飯塚市)に戻る。以後もライターの仕事に携わることができ、現在2拠点生活中。LCCの安さに毎回驚きながら、初めて住んでみた人形町・日本橋エリアでの生活が楽しくて仕方がない!