朝起きるのが辛い季節となりましたね。もうずーっと布団の中にいたい。そんな時に思わず出る言葉。
クイズの答えは「億劫=おっくう」でした。
意味とかけ離れた字を書きますが、実はこの『おっくう』の語源は仏教語に由来。仏教では「おっこう」と読み、「劫」はサンスクリット語でとてつもなく長い時間のことを指します。
そこに「億」がつくのですから、想像もできないような果てしない時間となりますね。「劫」を使った『未来永劫(みらいえいごう』という言葉も、永久や果てしない永さを強調した言葉です。
膨大な時間がかかることから、だんだん「面倒くさい」や「気が乗らない」という意味になり、現在のような使われ方をするようになったのだとか。
落語の「寿限無」にも登場する「劫」
生まれたばかりの我が子の名づけに悩んだ男が、寺の和尚さんに頼んで長命で、食べるものに困らない縁起の良い名前を付けてほしいと頼む「寿限無」という有名な落語があります。
「鶴」や「亀」など長生きとされる生き物の名前を出しますが、そんな平凡な名前ではダメだと、次から次へと注文をつけ、最後には呼べなくなるような長い名前になってしまうというオチになります。その名前が
寿限無寿限無、五劫の擦り切れ、海砂利水魚の水行末雲来末風来末、食う寝るところに住むところ、やぶら小路のぶら小路、パイポパイポパイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助
この中に出てくる「五劫の擦り切れ」がまさに、億劫の「劫」のことです。和尚さんの説明は、
「劫」というのはな、時を表す言葉じゃ。あるところに十里四方もある大岩があってな、そこへ三千年に一度、天人が天下りして、着ている「羽衣」という薄い着物でその岩をサラリ...と擦るのじゃ。こうして三千年に一度サラリとやられた岩が擦り切れて無くなってしまうまでの時間を「一劫」というのじゃ。それが五つで「五劫」。「五劫の擦り切れ」とはすなわち果てが無いのも同然じゃ。
三千年に一度とは気が遠くなるような時間の長さですが、時代時代によって時間の感覚は異なっているのかもしれません。
今年はコロナ禍で多くの人が今までに経験したことのない時間軸を体感しています。年が明けたばかりと思っていたのに、もう一年が終わろうとしているというように。家にいることが多く、なんだか出かけることも億劫になってしまった今日この頃。
しかしはるか古代の歴史から考えれば、この一年の出来事もほんの一瞬でもあり、ここはくじけず未来を見つめて、一歩ずつ進んでいきたいものです。年末に向けて、掃除でも始めましょう!
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アイキャッチ画像:メトロポリタン美術館