Culture
2022.01.27

ひな祭りとは?なぜ祝日じゃないの?由来から縁起担ぎの食べ物まで3分ガイド!

この記事を書いた人
この記事に合いの手する人

この記事に合いの手する人

3月3日はひな祭り。女の子の健やかな成長を願うお祭りで、雛祭り、桃の節句とも呼ばれています。ここではそんなひな祭りについて、歴史や由来など3分でご説明します。

女の子のいない家庭でも、季節を感じながら楽しめる情報を盛り込みました。

ひな祭りって、華やかなイメージ♪ そう!年齢や、男女関係なくお祝いしたい!

ひな祭りは中国由来の邪気払い行事がルーツ

3月3日のひな祭りは、中国から伝わった「上巳(じょうし)の節句」という行事が原形といわれています。

節句とは、年に何回かある重要な節目となる日や行事のこと。中国では、季節の変わり目として節句を重要視しました。また、邪気が入りやすい時期とも考えられていたため、さまざまな邪気祓い行事を行っていたのです。

上巳の節句の「巳」は、十二支の巳(み)です。子(ね)、丑(うし)、寅(とら)……と続く十二支は、年に当てはめられるものというイメージが強いですが、実は月にも日にも十二支があります。

1カ月が30日で、十二支が12個。30÷12=2.5なので、同じ十二支は1カ月に2回か3回巡ってくることになります。

なるほど~

その中でも、3月に最初に巡ってくる巳の日を、特に、上巳と呼びます。そのため、3月3日の節句はひな祭り、桃の節句に加え、上巳の節句という呼び名もあります。また、3月最初の巳の日は毎年3日ではなく、年によって異なっていましたが、いつしか3日に固定されて今に至ります。

上巳の節句とも言うのですね!知らなかった!

江戸幕府の公式行事が女の子の行事になった

中国では、1年の中に多数の節句が設けられましたが、日本に伝来後、江戸幕府は5つを選び「五節句」としました。1月7日【人日(じんじつ)】、3月3日【上巳(じょうし)】、5月5日【端午(たんご)】、7月7日【七夕】、9月9日【重陽(ちょうよう)】です。3、5、7、9と奇数の数字が重なる日がほとんどなのは、奇数が縁起の良い数字と考えられていたからです。

五節供稚童講釈 16巻 山東京山 国立国会図書館デジタルコレクション

上巳の節句は江戸幕府の公式行事のひとつとなり、諸大名は江戸城に登城して、将軍に挨拶をしたそうです。

上巳の節句の中には、身代わりの人形を川に流す「上巳の祓(じょうしのはらい)」という風習がありました。これが日本では、貴族の女の子の人形遊びに変わったという話。この遊びは「ひいな遊び」と呼ばれ、のちに流さないひな人形となり、上巳の節句がひな人形を飾る女の子の祭りになったという説があります。

平安時代からの「ひいな遊び」や、いくつかの行事が合体したのですね。

なぜひな祭りは祝日じゃないの?

3月3日の桃の節句は女の子の日、5月5日の端午の節句は男の子の日、と認識している方も多いでしょう。なぜ5月5日は祝日なのに、3月3日はお休みじゃないの? と疑問に思うかもしれません。

それは「節句」と、祝日法で定められた「国民の休日」が別のものだから。詳細は以下の記事でご紹介しているので、ぜひ読んでみてください!

現代のこどもの日は徳川流!ひな祭りが祝日でない理由も紹介

ひな祭りの食べ物って?女の子のいない家庭は?

歴史を知ると、ひな祭りの楽しみ方も違ってくるものです。最後に、お待ちかねの食べ物の話です。

まず、ひな祭りの食べ物としては、菱餅がおなじみです。

繁殖力が強い菱(植物)の実を模すことで、子孫繁栄や長寿の願いを込めたものといわれています。色は上から、魔除けの赤、清浄・純白の白、邪気を払う薬草ことヨモギの緑の3色です。

菱餅の色って、こんな意味があったとは!

そのほか、ひなあられやちらし寿司も定番です。

「ひなあられは菱餅を食べやすく砕いたものが原形」「ちらし寿司はさまざまな食材を使うことから食に困らない願いを込めた」など、ルーツを調べるのも楽しいものです。

ハマグリのお吸い物も、一緒に食べるといいと言われますよね♪

最近は、女の子のいない家庭でも、カラフルなちらし寿司を作ったり、SNS投稿をしたりするなど、楽しみ方は多様化。お酒好きの方なら、桃の花びらを浮かべた「桃花酒」を飲む風習にあやかり、白酒(みりんに蒸米、米麹を混ぜて造る酒)や甘酒など、お好きなお酒もどうぞ。自由な発想で季節の行事を楽しみましょう。

アイキャッチ画像
『雛人形』 一竜斎国盛 国立国会図書館デジタルコレクション

参考文献
デジタル版『世界大百科事典』
デジタル版『小学館 全文全訳古語辞典』
デジタル版『デジタル大辞泉』
『日本の七十二候を味わう楽しむ―旧暦で知る、自然の彩り、和の心』(王様文庫)

書いた人

出版社勤務後、編プロ「ミトシロ書房」創業。著書に『入りにくいけど素敵な店』『似ている動物「見分け方」事典』など。民謡、盆踊り、俗信、食文化など、人の営みや祈りを感じさせるものが好き。四柱推命・易占を行い、わりと当たる。

この記事に合いの手する人

幼い頃より舞台芸術に親しみながら育つ。一時勘違いして舞台女優を目指すが、挫折。育児雑誌や外国人向け雑誌、古民家保存雑誌などに参加。能、狂言、文楽、歌舞伎、上方落語をこよなく愛す。ずっと浮世離れしていると言われ続けていて、多分一生直らないと諦めている。