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2022.08.09

大奥の御中臈とは?将軍の側室になる条件やエピソード・呼び方も解説

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将軍の後継ぎをもうけるために大勢の女性が集められ、寵愛を競いあっていたというイメージがある江戸城の大奥。しかし実際には、将軍だからといって女性を選び放題というわけではなかったようです。

えっ、そうなの?

大奥の絶対的トップは御台所

大奥は将軍の後継ぎを生み育てる後宮でもありましたが、その主は将軍の正室である御台所(みだいどころ)でした。
その他の女性たちはみな、将軍と御台所に仕えて働く奥女中です。

将軍が「夜のお相手」に指名できるのは、基本的には自分の身の回りの世話をしてくれる御中臈(おちゅうろう)という役職の女性だけ。……といっても厳密ではなく、他の役職の女性に手をつけて、御中臈に召し上げるパターンもあったようですが。

御台所といえばこの方たち↓↓↓


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選ばれし側室候補たち

大奥で働く奥女中たちを統括するのが御年寄(おとしより)。御中臈はその次の次くらいに位置する役職で、将軍つきと御台所つきに分かれています。
御年寄たちはそれぞれに息のかかった女性を御中臈として将軍に送り込むわけで。夜の相手といっても、浮かれた雰囲気ばかりではありません。

御年寄が縁戚の娘を大奥に雇い入れて、年頃になったら振袖を着せて庭を歩かせ……。それを将軍が眺めて、気に入ったら御中臈へということもあったとか(そう思って絵を見ると、後ろの女性たちの目が怖い!)
『千代田之大奥 お庭あるき』著者:楊洲周延(国立国会図書館デジタルコレクションより)
もはや戦場だ……。

将軍と夜を過ごしても、側室にはなれない

御中臈が将軍と夜を共にするのは、恋愛ではなくあくまでも仕事のうち。ひとつ布団のなかで将軍におねだりなどしないようにと、御中臈と過ごす夜は寝室に見張りもつけられていました。

御中臈は男子を生むと「御部屋様」、女子を生むと「御腹様」と呼ばれ、大奥内に個室が与えられ側室として認められました。子どもを生むとまず「御腹様」と呼ばれ、部屋と身分を与えられて「御部屋様」と呼ばれたという説もあります。
ただ側室になれば即、権力が手に入ったというわけでもなく、子どもが成長して次の将軍になってからやっと、といったところ。

大奥の出世コースでも「ゴール」に近い位置にいる御中臈と御部屋様だけれど、その現実はなかなか厳しかったよう
『奥奉公出世双六』著者:国貞改二代豊国(国立国会図書館デジタルコレクションより)
こちらの双六、詳しくは↓↓↓の記事でどうぞ!


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たとえ将軍の子どもを生んだとしても……

江戸時代の随筆集『甲子夜話』には、妊娠中の側室を診察した医師から聞いたという、こんなエピソードが収録されています。

妊娠中の側室を診察するときは側室が上座にいて、医師はしきい越しに下座から脈をとります。ただしこれはあくまでも、お腹にいる将軍の子どもに敬意を払ってのこと。出産後は側室が下座、医者が上座にチェンジしたそう。
医師はそのことに「感心した」というのです。

産後のあの大変な中で……。

古今東西、権力者に愛された女性が国を傾けたという例は枚挙にいとまがありません。
将軍に愛されても、調子に乗るな。乗せられるな。
もしかしたらそれは、将軍の側に仕えた女性たちが自らに課した、大奥の戒めでもあったのかもしれません。

アイキャッチ:『千代田之大奥 入浴』著者:楊洲周延(国立国会図書館デジタルコレクションより)

参考書籍:
大奥学 事始め(NHK出版)
図説大奥の世界(河出書房新社)
別冊歴史読本 江戸城大奥ガイドブック(新人物往来社)
御殿女中(青蛙房)

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