2018年秋にフランス・パリで開催された「FUROSHIKI PARIS」の報告展として、「FUROSHIKI TOKYO展」が2019年10月~11月にかけて東京・日本橋で開催されています。
これに先立って都内の博物館で行われた風呂敷ワークショップに参加し、毎日のお買い物や災害時にも役立つ風呂敷の活用法を教えていただきました!
パリから凱旋した特集展示「FUROSHIKI TOKYO」
2018年11月、東京都とパリ市の文化交流事業「パリ東京文化タンデム2018」の一環として「FUROSHIKI PARIS」が、パリの中心部で開催されました。開催期間中、パリ市庁舎前には赤い唐草模様の巨大風呂敷包みが出現。
これは展示パビリオンで、室内では日仏のアーティストがデザインしたオリジナル風呂敷が展示されました。市庁舎壁面の石像や銅像も風呂敷包みを贈られ、女神の像が風呂敷バッグを小脇に抱えるなど、市庁舎一帯に、ちょっとおもしろ過ぎる光景が広がりました……
バゲットやワインボトルを風呂敷で包むワークショップも開催されて人気に。パビリオン来場者は約2万人、「FUROSHIKI PARIS」全体では約8万6千人の方が参加し、イベントは盛況のうちに幕を閉じました。
その「FUROSHIKI PARIS」が東京に凱旋しました。 2019年10月~11月にかけて東京・日本橋で行われている「NIHONBASHI MEGURU FES」(日本橋めぐるフェス)のプログラムの一環として行われる「FUROSHIKI TOKYO展」では、日本橋周辺の有名なモニュメントが風呂敷に包まれるんです! 日本橋三越本店のライオン像も、福徳神社の狛犬も、この期間、唐草模様の風呂敷とコラボします。
メイン会場となる日本橋の江戸桜通り地下歩道では、草間彌生さん、ジャン ポール・ゴルチエさん、北野武さん、香取慎吾さんほか、日仏の著名アーティストがデザインした風呂敷の展示や、「FUROSHIKI PARIS」の報告動画を見ることができます。
究極のエコグッズ! 風呂敷の活用術を教わります
日本橋で行われる展示に先立ち、「江戸東京博物館」と「江戸東京たてもの園」の2つの博物館を会場に、2019年7月~9月にかけて行われた「FUROSHIKI TOKYO展」では、ポップアップイベントとして風呂敷ワークショップが開かれました。風呂敷について深い知識をお持ちの先生が風呂敷の包み方を直接教えてくれると聞いてこのイベントに参加! バッグとして使える包み方や、災害時にも役立つ利用法、エアコンの冷え過ぎ対策など、デイリーに使える風呂敷の包み方・活用術を教えていただきました。
風呂敷ワークショップの講師は、京都の老舗3社が担当。創業118年を数える風呂敷・袱紗(ふくさ)のメーカー、宮井株式会社 企画開発室室長の小山祥明さん、伝統的な友禅染めの技法で現代のライフスタイルに合ったものづくりに取り組む、株式会社岡重 営業・販売促進・広報の宮田亜矢子さん、先進的なデザインの風呂敷にも挑戦する風呂敷専門メーカー、山田繊維株式会社 むす美 広報・アートディレクターの山田悦子さん。なんだかとても心強い布陣です。
お買い物で使いたい「しずくバッグ」
まずはべーシックなバッグから。「しずくバッグ」は、買い物をする時に繰り返し使えるエコバッグとして活用できます。小さめの風呂敷で作れば手持ちバッグに、大きめのものなら肩に掛けることもできますよ。
基本的に風呂敷の結び方は、両端を交差させる結びを2回繰り返す“真結び”(固結び、本結び)と、端を単独で結ぶ“一重結び”(止め結び、ひとつ結び)の2つだけ。「しずくバッグ」も、この2つの結び方を組み合わせて仕上げます。
では、「しずくバッグ」の作り方を小山さんに教えていただきましょう。
【1】風呂敷を三角形に折ります。最終的にバッグの柄として見せたい面を内側にします。
【2】底辺の2つの角を、それぞれ一重結びします。
小 このとき先端から結び目までを長めにすれば、バッグの中に入れられる物は少なくなりますが、形はよりしっかり安定します。中身によって大きさを調整できるのがいいところですね。
【3】風呂敷を広げて、両端の結び目を内側に折りこみます。
【4】三角形の頂点を真結びします。これで完成!
「しずくバッグ」応用編
「しずくバッグ」の手順【3】以降をちょっとアレンジすれば、しっかり蓋ができるバッグに応用できます。
「しずくバッグ」の【3】の手順の後、三角形の頂点同士を結び、底辺の一重結びのキワまで引っ張ると密封した袋状になります。そこから再度、持ち手として頂点の先端を真結びします。
災害時にも役立ちます!「すいか包み」
もうひとつ、丸っこいものを包むのに適した結び方を。名付けて「すいか包み」。
【1】風呂敷を広げ、隣り合った2つの角の先端を真結びします。
【2】反対側も同様に真結びします。
【3】包むものを風呂敷の中におさめてから、一方の結び目を、もう一方の結び目の下にくぐらせて、完成!
小さな風呂敷で作れば小物を入れるハンドバッグに。大きい風呂敷で作れば、その名の通りすいかがすっぽり入るような仕様になります。
この「すいか包み」、撥水加工された風呂敷やビニールシートなどを使えば、災害時の水の運搬にも活用できるとか。これは覚えておいておいた方がよさそうです!
包むだけじゃないんです、エアコン対策にも◎
続いて、宮田さんが「すいか包み」の応用技を教えてくださいました。
手順【2】の、真結びが2つできたところから、風呂敷を背負うようにして、結び目の下にできた輪に腕を通すと、なんと、カーディガンのように着ることができるんです。エアコンによる冷え過ぎ対策にうってつけです。
さらに、そのカーディガンの上部を引っ張って頭を隠すようにすれば、急に雨が降ってきた時のレインコートにもなり、災害時には上から落ちてくるゴミを避けることができます。
風呂敷を1枚持っていれば、バッグにも、エアコン対策にも、雨避けにも使えるんですね。
それにしても……この風呂敷の柄、おしゃれです。カーディガンにした時に洋服との相性もよく、コーディネートの一部としてしっくりきます。
宮 これは昔の羽織の裏地の柄を復刻した風呂敷なんですよ。こういう昔の図案を取り入れられるのも風呂敷の楽しみのひとつです。
着物を着るのはハードルが高いけれど、風呂敷をこんな風に“着る”ことで気軽に和柄のコーディネートが実現できるのは素敵ですね。
もっと自由にオリジナルな使い方を見つける楽しみ
山田繊維株式会社の山田さんは、お客様から独自の活用法を教えてもらうことがあると言います。
山 雨の日に自転車に乗ると、レインコートを着ていても足元やスカートが濡れてしまう。だから、撥水加工してある風呂敷を巻くんですって、お客様が教えてくれたんです。
山 一枚の布をどう使うか、どう暮らしに役立てるかを考えるのは楽しいですよ。四角い布という最小限のものを最大限に活かす日本人の知恵は継承したいものです。発想の柔軟さは、日本人にもともと備わっているものじゃないかと思います。「あ、この柄かわいい!」とか、興味の入り口はなんでもOK。インテリアの一部として使ったり、自由に身近なものとして活用していくうちにいろいろ発見することがあるんじゃないでしょうか。自分らしい風呂敷の使い方を見つけると、どんどんはまっていきますよ。
エコバッグとして繰り返し使えて、包んだり運んだり巻いたり、工夫次第で用途も多彩な風呂敷。まさにサステナブルなアイテムで、これからいっそう注目が集まるのではないでしょうか。
「FUROSHIKI TOKYO展」で風呂敷の包み方を体験しよう
風呂敷ワークショップは、「NIHONBASHI MEGURU FES」(日本橋めぐるフェス)でも開催されます。包み方を学べる体験コーナーも常設されていますので、ぜひ会場で包み方を覚えて、風呂敷を活用してください。
「FUROSHIKI TOKYO展」 概要
会場:東京・日本橋(江戸桜通り地下歩道、日本橋周辺)
会期:2019年10月11日~11月4日
風呂敷体験コーナー:期間中の10時~19時開設
風呂敷ワークショップ・デモンストレーション開催日:10月14日を除く、期間中の土日祝日
※ワークショップの時間等は公式サイトでご確認ください。
公式サイト
会場:江戸東京博物館
会期:2019年7月23日~8月25日
開館時間:9時30分~17時30分
休館日:月曜日(月曜が祝日または振替休日の場合はその翌日)、年末年始
公式サイト
会場:江戸東京たてもの園
会期:2019年7月23日~9月29日
開園時間:
4月~9月 9時30分~17時30分
10月~3月 9時30分~16時30分
休館日:月曜日(月曜が祝日または振替休日の場合はその翌日)、年末年始
公式サイト