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6,7月号2024.05.01発売

永遠のふたり 白洲次郎と正子

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2024.05.16

ニザ様LOVEから歌舞伎の沼へ【編集部スタッフが繋ぐ、日本文化の思い出】

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和樂web編集部スタッフがリレー形式で日本文化の思い出をつづるシリーズ! 第2回はあきみずさんからバトンを受け取った「かわらたに」が担当します。ついこの間、「この人天然だよな〜」と思っていた人から「天然ですよね」と言われて絶句してしまいました……。年相応の深みを増すことも無く、私の人生は続いていくのでしょう。

あきみずさんからのお題は、『わたし、カブいてます』で、「歌舞伎の話でもいいし、やらかしちゃった的な話でもいいですよー」とのことですが、やらかしちゃった話は、シリーズにしないと終わらないので(財布を落として、近所の犬が拾ってくれたとか)。歌舞伎の話で!!

▼第1回のあきみずさんの記事はコチラ
あの日の金魚は今も金魚か?【編集部スタッフが繋ぐ、日本文化の思い出】

奇跡の仁左衛門♡玉三郎コンビ

私を歌舞伎という魅惑の世界へ導いてくれたのは、ニザ様こと十五代目片岡仁左衛門! そして「歌舞伎ってなに?」というレベルの頃から、ニザ様と坂東玉三郎様コンビにハートを射抜かれて今に至ります。舞台から発せられる熱量がスゴくて、「ああ~いいものを観た!!」という気分にさせてもらえます。これは、もう理屈とかそんなものは吹っ飛んでしまうので、「カブく」ってこういうことかと誰もが実感すると思います。

それぞれが人間国宝という優れた技量をお持ちで、そして舞台姿が美しいという奇跡の歌舞伎俳優。パーフェクト×パーフェクトが組み合わさる相乗効果がハンパない!! このコンビのシネマ歌舞伎作品もあるので、是非実際に確かめてみてください!!

▼こちらの記事は必読!!
人間国宝の歌舞伎俳優 片岡仁左衛門、坂東玉三郎、この最強の黄金コンビが演じる、男と女の恋模様『廓文章 吉田屋』

花道にたたずむ姿に号泣

仁左衛門様のことを、いつから好きになったのだろう? 記憶をたぐり寄せてみると確か中学生か高校生の時に、舞台『はいからさんが通る』の招待券をもらって1人で観に行って……。そこで、当時片岡孝夫という名前の俳優と出会ったのでした! 少尉こと伊集院忍の役で、軍服姿が似合っていて、何より品があってとても素敵だったのです。歌舞伎俳優と知ったのは、この公演がきっかけでした。花村紅緒は水谷良重(2代目水谷八重子)が演じていたので、とてもレアな公演だったのだと思います。

こうして仁左衛門様をきっかけに歌舞伎を観劇するようになった私は、当時よくあったリーズナブルな初心者向け歌舞伎公演を観まくっていました。ただただ、美しさにうっとりして幸せに浸っていた若き日々。その後、結婚をして子育てに追われると、歌舞伎観劇は中断。一段落して復活すると、お名前が片岡仁左衛門に変わっていて、多少は人生経験を積んだ私の見方も変化して、演技に心を掴まれるようになったのです。

花道横の席をゲットした時、なんとそのすぐそばに立ち止まって演技をされたことがありました(この席を勧めてくれた案内のお姉さんに感謝)。心優しい任侠の男が、大切に育てた亡き親分の子どもを、実母から返して欲しいと懇願される。子どもの将来を考えて身を引くたたずまいに、涙が溢れてきました。またある時は、愛する人の裏切りを知った男が、殺害してあろうことかその首を懐に入れて、慈しむ演技の時も! ただの猟奇的な物語ではなく、心から愛していたからこその悲嘆が伝わってきて、号泣しました。物語に説得力を持たせる仁左衛門様の珠玉の演技で、これからもカブイていきたいです!!

次のバトンは、編集部のデキる男「安藤さん」。カメラも上手だし、英語も得意ってどんだけなんでもできるねん!って、関西のおばちゃんはいつもビックリしています。日本文学への熱量が高いので、若かりし日に読んだ本とか(あ、ゴメン、今も若いね!)、こだわりの作家とか……。「わたしがハマった日本文学」のお題でお願いします!

アイキャッチ:香蝶楼豊国「藤屋伊左衛門・扇屋夕ぎり・吉田屋喜左衛門」 国立国会図書館デジタルコレクションより