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Culture
2024.06.20

雨の日は好き? 嫌い? 南の島の大魔王だった私の場合【編集部スタッフが繋ぐ、日本文化の思い出】

この記事を書いた人

5月からスタートした「和樂web編集部スタッフがリレー形式で日本文化の思い出をつづるシリーズ」。

茶の湯と少女漫画の愛好家山見さんからバトンを受け取った第7回の担当は、鎌倉を愛し鎌倉に愛された(幻覚を見る)女、樽瀬川。お題は、「雨の日」。

前回の記事はこちら!
初恋は真壁くん、平安との出会いは「男女逆転」少女漫画【編集部スタッフが繋ぐ、日本文化の思い出】

雨の日に体調が悪くなるタイプです


雨の日は起き上がれなくなるので、最近は前日から漢方を飲んでいます。この体質のせいで学生時代も会社員時代も、本人も周りも苦労した思い出でいっぱいです。

SNSが発達した今でこそ同じように苦しんでいる人を見つけやすくなって、気圧の変化で体調不良になる体質の人がいるという認識も広がってきました。

しかし一昔前までは仮病だと思われて、学校の先生も仕事の上司も、家族もお医者さんもこの不調を理解してくれません。あまりの辛さに「全人類の自律神経がぶっ壊れてしまえば、雨が降ったらお休みできるのに……」なんて南の島の大魔王みたいな事を思っていました。

でも全人類の自律神経をぶっ壊す方法を編み出すより早く、和樂webに拾っていただいてライター業に就けたので、私は南の島の大魔王にならずに済みました。全人類は和樂webに感謝してください。

まぁ私の黒歴史はともかく、このいわゆる「気象病」。現代人特有かと思ったら大昔の人にもあったようで……古代ギリシャの医師ヒポクラテスも天候と病気の関係を研究していたり、中国最古の医書『黄帝内経(こうていだいけい)』にも気象病の記述があったりします。

日本でも卑弥呼がそういう体質だったから雨を当てられたので崇められ、女王になったのでは? という話もあったり。もしこれが本当なら雨の日を休みにするために女王になった卑弥呼さん(注・多分そうではない)に親しみがわきますね!

鎌倉の雨


とは言え、私は雨の日が大っ嫌いというわけではないんですよ。外に出る予定がない日に家でのんびりしながら聞く雨音とか最高じゃないですか。雨をモチーフにした音楽や絵画も好きです。

さすがにこんなトンチンカンな話でバトンを渡すのもなんなので、一つ鎌倉時代にからめた話を。

実は鎌倉時代の天気ってわかっているんですよ。というのも貴族の日記や鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡(あずまかがみ)』にその日の天気も記載されていたからです。さすがに雨の日で調子が悪い人の話は出てきませんが……(メンタルもフィジカルも強い人ばかり……というか、そうでないと生きられない時代ですからね)。

吾妻鏡では土砂降りの雨の中で戦をした話もあり、それが江戸時代に浮世絵になっているんですよ。三枚綴りでめちゃくちゃ迫力があるので私のお気に入りです。いつか生で見たいなぁ……。

勝川春亭『石橋山合戦』  「海老名源八」「梶原景時」「大庭景親」「俣野景久」・「佐々木高綱」 出展:ライデン国立民族学博物館

▼どんな戦だったかはこちらの記事をどうぞ
終わりではなく始まりだ!『吾妻鏡』で読む石橋山合戦【鎌倉殿の13人】

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バトンを渡すのは、旅行業界から編集プロダクションへ転職した旅行系ライター黒田直美さん! テーマは「かえる」です! よろしくお願いします!

アイキャッチ画像:川瀬巴水『雨の牛堀』 出典:東京富士美術館