みんなが憧れた!人気職業ランキング
江戸は職人の街。机や箪笥など木工家具を作る指物師など、自宅で作業をする居職(いじょく)と、大工など現場に出向いて作業する出職(でしょく)に大別され、それぞれがその技術をもって江戸の生活を支えていました。
こちらの『諸職人大番附』では、そんな職人の重要さや格式を鑑みた形で順位がつけられています。大関の番匠大工と刀鍛冶は、ともに花形的存在でした。番匠大工とは、いわゆる家大工のこと。建築はさまざまな技術が集約される、当時もっとも複雑で最大級の生産物だったため、大工は諸職の司(しょしょくのつかさ)とも呼ばれて、各技術者を統括する立場にあったようです。
一方の刀鍛冶は、武士の必需品である刀を作る仕事。支配階級の身分を象徴物に携わるということで、世間から一目置かれていたのだそう。
そして、行司欄には、天秤師や物差造など、重さや長さを測る計測器を手掛ける職人や、朝廷の正装である衣冠装束を作る装束師、支配階級において重要視されている武具の職人が並んでいます。
また、同じく職業絡みのものとして、儲かる仕事ランキングも作成されていました。
当時経済の要でもあった米を扱う米屋、そして現在の銀行のような役割を果たしていた両替屋が、大関の座を獲得。以下、海外製品を扱う唐物屋、材木屋、酒屋、炭屋など、衣食住といったライフラインに繋がる職業が多く名を連ねています。
江戸時代の良い女房&悪い女房とは?
そして、こんなユニークな番付も。男性が求める良い妻と悪い妻を東西に分けて格付けした番付です。
良き妻とされているのは、「子をもうける女房」「夫に従順であること」「貞節をわきまえていること」「子供のしつけがしっかりできること」が上位を締めています。一方で「子をもうけない女房」「嫉妬深い」「針仕事ができない」「昼まで朝飯の片づけをしない(=だらしがない)」のが悪妻なのだそう。特に「子供が産めない」というのは、家を追い出されても仕方ないようなほどの罪とされていたようです。
そんな現代では考えられないような男尊女卑の様子も垣間見れるランキングですが、これはあくまで男性目線で作られた理想像。右端に「この番付を家に一枚貼っておくと家内和合、家繁盛する」と謳われていることから、実際にここに格付けされている通りにふるまっていた女性は少なかったのかもしれません。