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Gourmet
2020.09.08

ミネラル豊富なこれ、何だ?沖縄の島ごとに味わいの違う8種を食べ比べ!

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青い空と青い海、風に揺れる緑のサトウキビ畑は、沖縄を象徴する風景のひとつ。このサトウキビから作られる黒糖(こくとう)は、沖縄や奄美諸島の特産品。豊富なミネラルや独特のコクが魅力です。白いお砂糖とは違って、直接口に入れて豊かな風味を楽しむこともできます。体内で効率よくエネルギーになるため疲れた時にもぴったり。実はこの黒糖、塩みや苦み、甘みなどが島によって異なり、黒糖ツウになればコーヒー豆のように「○○島の黒糖が好き」なんてことにも。今回は沖縄の8つの島と、それぞれで作られる黒糖の違いをご紹介します。

※もうお分かりかと思いますが、クイズの答えは「黒糖」です!

黒糖の歴史

黒糖は南の島を代表するお土産としても知られ、沖縄では “ぬちぐすい(命の薬)” と呼ばれる食材のひとつ。原料となるサトウキビはニューギニア島近辺の島々が起源といわれ、沖縄や奄美諸島だけではなく世界の熱帯・亜熱帯地域で盛んに栽培されています。大河ドラマ『西郷どん』では、奄美大島の人々が薩摩藩によってサトウキビ栽培の収穫を搾取されるというシーンを記憶している方も多いでしょう。

沖縄は琉球王国時代の17世紀に中国福州から製糖法を取り入れ、1970年頃までは数百の黒糖工場があったといわれています。かつては県全域にあった黒糖工場も徐々に姿を消し、現在沖縄で県外へ出荷するために黒糖が作られているのは8つの島のみとなっています。

※ 琉球王国:1429年から1879年までの約450年間に渡り琉球諸島を中心に存在した王制の国

黒糖の作り方

サトウキビは12月から4月頃が一番糖分を溜め込んでいるといわれています。サトウキビは一旦刈り取ると劣化していくので、この時期に毎日作れる分だけを刈り取ります。刈り取って裁断したサトウキビから糖汁を搾り、不純物を取り除き、煮詰めて冷やしたものが黒糖です。

©沖縄観光コンベンションビューロー

島によって味の異なる黒糖の奥深さ

サトウキビは品種改良が進められていて、それぞれの品種は栽培適地が微妙に異なります。例えば農林9号は沖縄県全域、農林25号は宮古地域、農林26号は大東島地域と、地域によって適した品種が細かく分類されています。ほったらかしでも丈夫に育ちそうなイメージのサトウキビですが、意外にも繊細。この品種や土壌の違いが、異なる味の黒糖を生み出すのです。

早速8つの島の黒糖を、島の景色を思い浮かべながら食べ比べてみました。

波照間島の黒糖

有人島で日本最南端に位置する波照間島(はてるまじま)は、南十字星が美しく見える島として知られています。石垣島から高速船で60分ほどでアクセスできますが、航路の半分ほどが外洋のため揺れが大きく天候によって運休するすることも多々あるので、石垣島(いしがきじま)からアクセスする離島の中では少し難易度が高いと言えます。

波照間島の黒糖は、他の島のものと比べると比較的小ぶりで白っぽい外見。優しい甘さで、塩みとビター感がしっかりしています。

与那国島の黒糖

石垣島から約127Km。石垣島よりも台湾のほうが近い日本最西端の地・与那国島(よなぐにじま)は、ドラマ『Dr.コトーの診療所』のロケ地として人気となったあの島です。日本在来馬8馬種のひとつで天然記念物に指定されている与那国馬(よなぐにうま)が有名です。

©沖縄観光コンベンションビューロー

石垣島からフェリーで約4時間。フェリーは新しくて綺麗なのに “ゲロ船” と呼ばれており、その航路がいかに過酷かがおわかりいただけるかと思います。当然行ったら帰ってこなきゃいけないし、往復耐えるのは過酷そのもの。往路で一緒になった旅人たちが励ましあいながら帰路に就くという話もよく聞きます(笑)
ですが、波照間島とは違って与那国島へは飛行機も飛んでいますのでご安心を。

与那国島は低地に水田、台地にサトウキビ畑があります。与那国島の黒糖は甘さは控えめで、塩みは割と強め。シャリっとした食感。

西表島の黒糖

西表島(いりおもてじま)は石垣島から高速船で約40分。石垣島よりも面積が大きく、島の約90%が亜熱帯の原生林に覆わたジャングルです。イリオモテヤマネコをはじめ、15の国指定天然記念物の貴重な生息地です。

マングローブの森をSUPやカヌーで冒険するアクティビティが人気

西表島の黒糖は、塩みやビター感よりも、しっかりした甘みと強いコクが感じられます。

小浜島の黒糖

小浜島(こはまじま)は石垣島から高速船で約25分。朝のNHK連続ドラマ小説『ちゅらさん』の舞台としても有名。リゾートホテルがあり石垣島からアクセスしやすい点でも、竹富島と並び旅人に人気ののどかな島です。

小浜島の農道でよく見かけるヤギ

小浜島の黒糖は、口に入れた感じは他の黒糖に比べて少ししっとり柔らかめ。甘さとビター感が絶妙!

多良間島の黒糖

宮古島と石垣島のほぼ中央に位置する多良間島(たらまじま)は、隆起サンゴ礁からなる平らな島。山もなく、海へ流れ出る川もないため、海の透明度はピカイチ!

島の中央部にサトウキビ畑が多く、比較的潮風の影響を受けないためか他の島ほど塩みは感じません。形は長方形で割と固め。しっかり甘い!

粟国島の黒糖

粟国島(あぐにじま)は那覇市の泊港(通称:とまりん)からフェリーで約2時間、慶良間諸島の北、沖縄本島の西に位置する離島です。粟国島の黒糖は8島の中では最も昔ながらの製造方法で作られる伝統的な黒糖です。ホロホロというか、サラサラと口の中で溶け、クセがなくバランスのいい感じ。

伊江島の黒糖

伊江島(いえじま)は本部(もとぶ)半島の本部港からフェリーで30分。沖縄北部を訪れた方にはお馴染みの “伊江島タッチュー” というとんがり山がある島です。2011(平成23)年から製造が始まった新しい産地で、波照間島と同じように白っぽい外見。塩みを強く感じます。

伊平屋島の黒糖

伊平屋島(いへやじま)は本部半島の運天港からフェリーで80分、沖縄県の最も北に位置する離島です。伊平屋島の黒糖は、サラッとした伊江島の黒糖と比べるとビターで歯ごたえのある感じ。甘さも控えめでオトナな感じの味です。

沖縄本島で作られる黒糖

沖縄本島で作られている黒糖もあります。糸満市の農水苑「虹」で完全無農薬&無化学肥料作られる「珊瑚黒糖」は、全ての工程が手作業。大量生産はできず、1日に作られるのは30Kgのみの希少な自然栽培純黒糖です。県外向けに出荷はしていませんが、観光客ならタイミングがあえば国際通りの黒糖屋さんで入手することができます。

開封した瞬間の豊かな香りにビックリ!一般的な黒糖がチョコレートとするなら、この珊瑚黒糖は生チョコ。口に含むとホロホロっと崩れ、豊かな風味が口いっぱいに広がります。

普段の生活に取り入れたい黒糖

カリウムやカルシウムなどのミネラルが豊富な黒糖。普段の生活に取り入れたい “ぬちぐすい” です。島によって、「これは、疲れている時に食べたい」、「こっちはコーヒーと一緒にいただきたい」、「これは料理に使えそう」というように、その日の気分や用途で使い分けながら楽しめます。

人によって味の感じ方には違いがありますので、今回はあくまでも私個人の印象ですが、「黒糖 食べ比べ」などで検索すると他の人の感想を知ることができて興味深いですよ。

機会があれば、ぜひ8つの島の黒糖を食べ比べてみてください。

書いた人

生まれも育ちも大阪のコテコテ関西人です。ホテル・旅行・ハードルの低い和文化体験を中心にご紹介してまいります。普段は取材や旅行で飛び回っていますが、一番気持ちのいい季節に限って着物部屋に引きこもって大量の着物の虫干しに追われるという、ちょっぴり悲しい休日を過ごしております。