讃岐うどんの郷として知られる香川県。瀬戸内独特の温暖な気候のせいか、勤勉で穏やかな人が多い香川県民を震撼させるうどん店があることをご存知でしょうか。
営業時間は月に1回たったの10分間。は?どゆこと?それで立ち行けるの?
噂では「10分うどん」を食べるためにスケジュールを組み、ピンポイントで県外から来店する人も少なくないとか。しかし我々にはあまりにも情報が少なすぎた。
様々な疑問が頭をもたげましたが、考えていても仕方ない。取材班(1名)は真相を解明すべく現地へと向かった。
ゆで時間より短い営業時間の謎
金比羅船船~で知られる金比羅宮のお膝元、琴平町。街のどこからでも金毘羅宮のおわす山を見ることができます。ときれいに始めたかったのですが。情報を頼りに「10分うどん」があるという場所に到着しました。
ココは?どうやらうどんの製麺所?お土産などを購入できる直売所もあるようです。
迎えてくれたのは大庄屋専務取締役の山地英登さんです。
– ここが「10分うどん」ですか?山地さんがうどんを打っているのでしょうか?
山地:場所は確かにここなんですけど打っているのは私じゃないんです。
– 店舗があるなら普通にうどん店もできますよね?
山地:それには理由がありまして……。
取材を進めると「10分うどん」の店長は製麺所で工場長を務める山下剛史さんという方らしい。え?工場長?どゆこと?
昼休みを削って10分だけのうどん店を開店
疑問が止まらない取材班(1名)は山下さんを直撃しました。
– 10分の営業時間ってどゆこと?(敬語、敬語!)
山下:普段は工場で讃岐うどんを一生懸命に作っています。18歳からうどん職人になりこの道一筋だったので、大庄屋のうどんを多くの人に味わってもらうことができないかと考えた結果、自分の昼休みを利用して手打ちうどんを提供することになりました。準備や片付けも含め、工場の仕事に支障をきたさない昼休みの時間内に収めるとなると、どうしても営業時間が10分になってしまうんです。
– そうだったんですか。だから営業も月に1日か2日なんですね。でもご自身の休み時間を削ってまでって、よほどのことですよね。
山下:やっぱり直にお客さんの声を聞くことが嬉しくて。
– ちなみに1日何食くらい提供されていますか?
山下:80食限定です。生地作りからうどん打ち、ゆがき、玉取りまで1人なので。
– ゆがくのにどのくらいかかります?
山下:季節にもよりますがだいたい18分くらい。
– え????ゆで時間より営業時間が短いの草、すみません、びっくりですね。
山下:あ、それよくツッコまれます(笑)
– 人を増やそうという考えはなかった?
山下:全ての工程を1人でやりたいんですよね。しかもうどんは打ちたて、茹でたてが一番美味しいんですよ。出来立てのうどんを提供したいので、やっぱり10分になっちゃいますね。
– こちらのうどんの特徴は?
山下:コシがありつつ、のどごしの良いうどんです。
– メニューもちょっと個性的ですよね。
山下:うどんは「冷たい」「釜出し」「あったかい」の3種から。どれも小(200円)、中(250円)、大(300円)、特大(400円)です。器とお箸はあります。出汁はなくてだし醤油と七味、ゆず酢のみ。生卵は1個50円です。自分で出汁を持参する人や、近所のスーパーでトッピングの天ぷらを買って持ってくるお客さんもいたりします。自由に楽しんでもらっています。ただし持ち帰りはお断りしています。
イエティ遭遇より激ムズ!営業日チェックは高難度
– 営業時間について教えて下さい。
山下:お昼の12:00~12:10です。10分。10分です、ピンポイントで狙って来てください。
– 難易度が高いですね~(笑)。営業日は決まっていますか?
山下:決まっていません。不定期です。
– マジ? イエティ見つけるくらい難しいやん!!
山下:すみません。大庄屋の本業は製麺と卸などの業務なので、製造するスケジュールが繁忙期によって変わってくるので。すみません。「ご麺なさい!」
– あっ、工場長!ちょっとふざけました?
山下:ふざけてません(笑)
– では営業日はどのように告知しているんですか?
山下:当日の予定は、1週間ほど前に僕のツイッター(@10pun_udon)で発信します。ぜひフォローしてそちらをチェックしてみてください!
– ツイッターを拝見しましたが、10分うどん以外にも色々面白いことに挑戦していらっしゃいますね。
山下:そうなんですよ。最近もうどんのUFOキャッチャーを作っちゃいました。1回100円で見事キャッチできたら、うどん1㎏をプレゼントしています。
– しんどい。笑いが止まらなくなってきました。
山下:これからも100円うどんと共に色々な楽しい企画やコラボなどにも積極的に「チャ麺ジ」いえチャレンジしていきたいなと思っています。
– 何気に小ネタ挟みがちですよね。
山下:ご麺なさい!
– 「10分うどん」の営業日に合わせて来県する方もいらっしゃるんですね。
山下:お遍路で香川に来られる方が「どうせなら営業日に」といらっしゃることもあります。
– 何度目かのチャレンジの末に、やっと食べられたという人も少なくないみたいですね。
山下:本当はたくさんの方に食べていただきたいのですが、どうかご理解ください。お客様の笑顔が見れるようこれからも頑張っていきます!
– うどんだけに“アツい”山下さんの志に心打たれた取材班(1名)なのでした。
疑問だらけの10分うどんの真相がお分かりいただけたでしょうか?10分間の営業時間の秘密は、自分の休み時間を削っても、美味しいうどんを届けたい、お客様の笑顔が見たいという工場長の熱い想いが生んだものでした。ぜひ興味があるかたはこの激ムズ、高難度の「10分うどん」にチャレンジしてみては?
大庄屋
HP: 大庄屋HP
工場長Twitter:(@10pun_udon)
住所:香川県仲多度郡琴平町1223-9
営業時間:12:00〜12:10(10分のみ)
定休日:不定休