わたしは食文化ジャーナリストとして日本各地の食の取材を行っている。ラグジュアリーホテルが続々とオープンする沖縄。レストランの料理に使われる食材へのこだわりも目を見張るものがあると聞いて、現地を訪ねた。
沖縄・読谷村「ジ・ウザテラス ビーチクラブヴィラズ」
サトウキビ畑が広がるのどかな田園風景と大海原に抱かれた絶好のロケーション。
ビーチに面したホテルは全室プライベートプール付きのヴィラスタイル。海辺で暮らすような極上のリゾートステイが満喫できる。
「ホテルメイド」の野菜を使ったディナー
レストラン「ファインダイニング」では、東シナ海を美しく染めるサンセットを望みながら、洗練された空間でイタリアンベースのコンチネンタル料理が味わえるのも魅力。
德永久仁彦料理長による沖縄ならではの野菜、魚介、肉の巧みなマリアージュが堪能できる。
たとえば「アカジンミーバイのソテー 読谷オクラのソース ウニの旨みを添えて」。
地元・都屋漁港で水揚げされた新鮮なアカジンミーバイ(スジアラ)のとろりとした旨みを、南国の陽射しを浴びて育った濃厚な味わいのオクラが豊かに引き立てる。
「黒毛和牛テンダーロインの備長炭焼き レモンとフーチバ―のソース」は、ジューシーでしっとりした牛肉の風味を、フーチバー(よもぎ)のほろ苦さが鮮やかに引き締めた逸品だ。
左「ツムブリのシトラスマリネ アワビに巻いて ブドウとトマトのジュレ」、右「紅新大根のポタージュ カリカリスーチカ(豚肉の塩漬け)のスティックを添えて」
目にも舌にも鮮やかな印象を残す、極上のメニューの数々を支えているのは、「ホテルメイドの野菜たち」。なんとジ・ウザテラス ビーチクラブヴィラズは自家農園「OUR FARM」を有しているのだ。
農薬や化学肥料は不使用。自家農園「OUR FARM」
その名のとおりホテルに隣接した農園では、年間を通して、じつにさまざまな植物が栽培されている。
沖縄ならではのゴーヤー、オクラなどをはじめとするさまざまな野菜、バナナやパパイヤなど亜熱帯のフルーツ、ハーブ……。すべて農薬や化学肥料は使わずに育てた新鮮な野菜やフルーツは、ファインダイニングやカフェ、バー&ラウンジのメニューに用いられているのだ。
カフェで提供されている「ゴーヤーブリーズ」。ゴーヤーとグレープフルーツを絞り、沖縄で採れたハチミツをプラス
バー&ラウンジでは、「アワファームカクテル グリーン&オレンジ」を提供。レモングラスをはじめOUR FARMのフレッシュハーブをたっぷり使い、モヒートミント&メロンリキュール、カンパリ&ココナツシロップで南国らしさを演出したカクテルだ
OUR FARMを訪ねると、畑には一面の緑が広がっていた。南風に揺られているのはなんと小麦! 「クラフトビールの原料として使っているんですよ」と説明するのはスタッフの比嘉幹彦さん。ベテランの農園を管理するのは、比嘉さんはじめ、農園の専任スタッフだ。「読谷村は、沖縄県内でも農業が盛んな村なんですよ」と比嘉さん。
農園内のハウスに入ると、沖縄ならではの彩り豊かな野菜、ハーブやフルーツが目に飛び込んでくる。ゴーヤー、赤オクラ、ハンダマ、ピパーチ、バナナ、パパイヤ・・・…。
沖縄の野菜だけではない。トマト、レタスからなんとアスパラガスも!「意外かもしれませんが、トウモロコシも育てています。沖縄の強い日差しの中で育つと、本土で育ったものとは味が違ってくるんですよ。味がくっきりします。お客さまにも好評です」