格式の高い門跡寺院のため通常非公開の「聖護院」
「聖護院」と聞くと、聖護院大根や聖護院八つ橋が思い出されます。
それほど有名な寺院でありながら、通常非公開のため、その全貌を知ることが難しかった「聖護院」がこの秋特別公開されていて、歴史や美術、仏像好きな人の心をとらえています。
上/宸殿・孔雀之間の金碧障壁画は狩野永納筆。孔雀は害虫や毒虫を食べることから、身の回りの災いや心の迷いを取り除くといわれ尊重されてきた。
門跡寺院「聖護院」の歴史
「聖護院」は、奈良時代の修験者・役行者を宗祖とする本山修験宗の総本山で、その名は寛治4(1090)年に白河上皇が熊野に御幸した際に護持僧(ごじそう)を務めた増誉(ぞうよ)大僧正へ「聖体護持」から二字をとった「聖護院」を与えられたことにさかのぼります。
以後、代々の皇族や摂関家が門主(住職)を務める門跡(もんぜき)寺院となり、天明の大火によって御所が罹災したときには光格天皇の仮皇居として用いられました。
その格式の高さは宸殿の障壁画からも見て取れ、大玄関から上段の間まで続く金碧障壁画130面は、狩野山楽(かのうさんらく)の子・永納(えいのう)と、狩野探幽(たんゆう)の養子・益信(ますのぶ)によるもの。花鳥や賢人、雄大な自然が描かれています。
また、明治初期の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の折に廃寺となった末寺から本尊を預かった多くの不動明王像や、後水尾天皇が女院のために建てた優美で繊細な書院といった文化財は、門跡寺院ならではの歴史を物語る貴重なもの。12月18日まで行われている特別公開の機会に、ぜひ拝観してみたいものです。
下/上段の間は謁見(えっけん)の間とも呼ばれ、見るからに格式の高い雰囲気が漂っている。
光格天皇仮御所 狩野派障壁画130面
本山修験宗総本山 聖護院 特別公開
公開期間/2016年9月10日(土)~12月18日(日)
公開内容/大玄関、宸殿、狩野永納・狩野益信筆 宸殿障壁画、本堂、本尊 不動明王像(重文)、書院(重文)
拝観休止日/10月13日~16日、11月5日・28日・29日
拝観時間/9時30分~16時(最終受付)
住所/京都市左京区聖護院中町15 地図
問い合わせ先/聖護院、京都春秋
写真は寺院内に多く安置された不動明王像のひとつで、重要文化財に指定されている。特別公開でぜひ拝観してみたい。