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2020.09.13

不動産会社に入社したはずが、ホテルの総支配人に!その意外なきっかけとは? 9月開業「ノーガホテル 秋葉原 東京」 

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人生、何が進路を変えるかわからない。「ノーガホテル 秋葉原 東京」総支配人、中村泰士(なかむら・やすし)さんの場合は、「あること」がキャリアを大きく変えた――。

大学卒業後、野村不動産に入社し、商業施設や賃貸マンションの開発を手掛けていた中村さん。2015年、同社が初めてホテル事業に参入するにあたり、同事業部へ異動に。そして、2020年9月1日開業の「ノーガホテル 秋葉原 東京」で新しいスタートを切った。

手探りからはじめた、新しいホテルブランドづくり

「ノーガホテル 秋葉原 東京」はJR秋葉原駅からなら徒歩6分。周囲には電気店、メイドカフェといった、ザ・アキハバラな店が並んで街のただ中にある。エントランスを入るとそのままレストランのバー・スペースに。カウンター席は1人でもフラッと立ち寄れる気軽さがある。吹抜けになって開放的な空間にはにぎやかな音楽が。ホテルのレセプションは階段をあがって2階。秋葉原という街がもつ個性を詰めこんだ「音楽とアートと食」が「ノーガホテル 秋葉原 東京」の滞在の核となる。

ホテルエントランス。洗練された空間が見え隠れ。想像しづらいが、すぐ隣は秋葉原の雑踏だ 写真提供=ノーガホテル 秋葉原 東京

2階レセプション。館内には新進気鋭の作家によるアートがあちこちに。左手壁面はIKKI KOBAYASHI氏の「CONNECT」 写真提供=ノーガホテル 秋葉原 東京

1号店は2018年11月に上野にオープン。ブランドは生まれて2年余りと新しい。そして中村さんは、現在37歳。ホテルの総支配人としては若い(特に日本では)。総支配人になるには、スタッフとしての実務経験を経ることが一般的だから、異例の人事である。「まさか自分が総支配人になるとは考えてもいませんでした」と笑う中村さん。予想外の展開のようだが、彼こそが「ノーガホテル」立ち上げの張本人。いまから5年前、中村さんを含む3人によるゼロからのホテルづくりがはじまったのだ。

「半分冗談だったとは思うのですが、ホテル事業部への異動の理由のひとつに『ワインに精通しているから』と言われまして……」。進路を変えた「あること」とはズバリ、お酒。その名刺には「日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート」、同「SAKE DIPLOMA」と刻まれている。上野、秋葉原ともに充実のドリンクメニューを見れば、納得だ。ワインリストに著名な高級銘柄がリストアップされているわけではないけれど、初めて見るエチケット(ラベル)と、初めて口にする産地の味に酒好きはうなる。もちろん、セレクトは現場の担当者だが、自らが楽しんで選んだことがダイレクトに伝わってくる。それはなにもドリンクやフードメニューに限らず、館内のアートやオリジナルのアメニティ―、備品のひとつひとつに息づく。中村さんらが「足」で探した結果だ。

街を丸ごと知ってもらいたい。地域との協力で「ここ」でしかできない体験を

音楽が滞在のキモとなる「ノーガホテル秋葉原 東京」では、デラックスツインの客室に異なる高品質オーディオを導入。そのひとつは、関東ローカルの人にはオノデン坊やの軽快なCMソングでおなじみの、地元、秋葉原の老舗家電量販店「オノデン」の推薦によるもの。「ノーガ」ではホテルを形づくるうえで、地域の人々とのつながりが欠かせない。ブランド立ち上げと、秋葉原出店のときを合わせると600軒超にものぼる近隣の商店、飲食店などをまわったというから、リサーチに掛ける労力がハンパない。

デラックスツインルーム。広さは35㎡ 写真提供=ノーガホテル 秋葉原 東京

左)高品質スピーカーの一例。1977年製の希少なヴィンテージスピーカー 右)1Fラウンジのスピーカーはキャビネットにビルトイン。タグチクラフテックによる世界にひとつのスピーカー 写真提供=ノーガホテル 秋葉原 東京

「1号店の上野をつくるときには、飛び込みでの訪問も多かったので、フレンドリーに受け入れてくれる方がいる一方で、最初はなかなか会ってくれず、話すことさえままならない職人気質の方もいらっしゃいました」。諦めずに何度も顔を合わせて、信頼を得ていくのが野村不動産のDNAということか。「台東区は江戸時代から400年続くモノづくりの文化があり、伝統的な技術があると同時に、蔵前のように新しいデザイナーが次々と移り住んでいる場所も増えて、伝統と現代のライフスタイルが融合している店舗が多い。かつて私も台東区に住んでいましたが、こんなお店があったのか!と発見が多かった。身近な場所に宝物がたくさんあることに気づかされました」

上野、秋葉原両方のゲストルームに導入されているオリジナルのハンガーや洋服ブラシ、アメニティボックスなどは、地域コラボレーターSyuRo(シュロ)が手掛ける。オーナー兼デザイナーの宇南山加子さんは台東区生まれ。自らがつくりたいものを日本の伝統と職人の技、あるいは福祉作業所の人たちの力を借りて作り上げる情熱とクオリティには中村さんはいつも驚かされ、刺激を受けているそうだ。

SyuRoとのコラボのアメニティボックスとハンガー。アメニティボックスのゴールドは秋葉原のきらびやかなイメージで。ルームウェアはアトモスフェールジャポン 右の写真提供=ノーガホテル 秋葉原 東京

野村不動産ではマンション販売時のモデルルームをつくる際、商店、飲食店など街をくまなく巡って、街の魅力を発掘してきた。「街をよく知ってもらってから、マンションを購入していただきたいとの思いから、業界に先駆けて、弊社が約20年前にはじめました。ある時、街を知ってもらうこと、その最たるものがホテルじゃないかと気付いて。ホテルづくりは街づくりそのもの。そこから、『地域と深くつながること。そこから生まれる素敵な経験』というブランドコンセプトに発展したんです」

「お客様に直接関われるものに携わりたかったので、そういう意味ではホテルは希望をかなえた現場です」と中村泰士さん。2階レセプション奥のネオンメッセージアートは日本で活動するオーストラリア人アーティスト、ジェシー・ホーガン氏作

「ノーガホテル」が考える、日本のおもてなし

ノーガホテル 秋葉原の宿泊部門のスタッフは、経験者と新人メンバーの混成チームだ。平均年齢は20代後半~30代前半といったところ。ターゲットも30代~40代を想定している。若いチームだが、ベテラン勢には外資系5つ星クラスのホテルでの勤務経験もあり、ベーシックなサービスの部分は彼らが支えながら、「ノーガホテル」独自のフレンドリーなもてなしを取り入れている。

「滞在を通して知った地域の店舗に行ってみたいというゲストは多いですね。スタッフに時間的な余裕があるときであれば、ゲストと一緒に店舗へ行ってご案内することもあります。海外からのゲストも多いですから、レンタル自転車で街をまわるようであれば途中まで同行することもあります。日本の交通ルールに不慣れな方もいらっしゃるので喜ばれます。臨機応変に対応することが私たちのようなホテルでは大切だと考えています。1対1のコミュニケーションを深めますから、ゲストからのコメントも個人宛にくることがほとんどなんですよ」

左)テラス照明は日本有数のネオン工場、島田ネオンで修業したWAKUさんの作品 右)上野=エンジ、秋葉原=グリーンで熱戦を楽しんで。TISTOU(ティストウー)によるオリジナルフットボールテーブル 写真提供=ノーガホテル 秋葉原 東京

先回りして相手の要望を察し対応することが日本的「もてなし」といわれることも多いが、ノーガホテルのようなライフスタイルホテルでは、相手に寄り添うことでゲストとスタッフとの間に親しみが生まれ、地域の人々との距離も近づけることになるだろう。「私自身も旅行が好きなので、旅に出たら『その土地でしか体験できないこと』にトライしたいと思います。そして、それが一生、忘れられない瞬間になったらうれしいですね」と中村さん。「ノーガホテル 秋葉原 東京」でも地域のコラボレーターを招いてのワークショップが開かれる予定だ。

館内には、こんな緑にあふれたリラックススペースも。写真提供=ノーガホテル 秋葉原 東京

オープン記念! モニタープランのご案内

NOHGA HOTEL AKIHABARA TOKYO
和楽webをご覧の方にオープン記念のお得なモニター宿泊プラン(1日5組限定)をご用意いただきました。是非、NOHGA HOTELにてステイケーション、ワーケーションなど、秋葉原でのステイを体験してみて!
【ご予約方法】
①以下へアクセス
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 PASS: nohgainvite
③紹介先欄に『和楽web』と記載ください。

※ご宿泊の感想をトリップアドバイザーやFacebook、Instagram等での口コミ投稿、または、ホテル公式SNS(Facebook、Instagram)のフォローのご協力をお願いいたします。

NOHGA HOTEL 秋葉原 東京 基本情報

ホテル名: NOHGA HOTEL AKIHABARA TOKYO(ノーガホテル アキハバラ トウキョウ)
住所: 東京都千代田区外神田3丁目10-11
公式webサイト: https://nohgahotel.com/akihabara/

書いた人

日本美術や伝統芸能(特に沖縄の歌や祭り)、建築、デザイン、ライフスタイルホテルからブラック・ミュージックまで!? クロス・ジャンルで世の中を楽しむ取材を続ける。相棒は、オリンパスOM-D E-M5 Mark III。独学で三線を練習するも、道はケワシイ。島唄の名人と言われた、神=登川誠仁師と生前、お目にかかれたことが心の支え。