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2019.10.22

フォトスポット満載!熊本「河原町繊維問屋街」ってどんな場所?歴史やおすすめのお店を紹介

この記事を書いた人

熊本の市街地から少し離れた場所に、かつて繊維問屋街として栄えていた地域がある。SNSの普及によって、今やその場所が写真好きの方々にとってフォトスポットになっているらしい。昔と今、どのような背景を持ってこの土地は変化していったのだろうか?
河原町繊維問屋街で古物商のお店「モラトリアム」を営み、問屋街の管理組合にも参加している中村佳子さんにお話を伺った。

お話を伺った「モラトリアム」店主の中村佳子さん

河原町繊維問屋街が出来上がるまで

まず、繊維問屋街の歴史についてお話いただいた。

時代や国を錯覚しそうな空気感が魅力

中村:この場所は終戦前から、小さな商店が軒を連ねる一画でしたが、昭和33(1958)年3月に長六の大火と言われている大きな火事があり、それから半年後の9月に繊維問屋街ができました。当時は二階を住居にし、一階はシャッターで区画が分けられた店が連なっていました。その後繊維問屋をやめた場所にお住いの方もいらっしゃいます。

中村:現在は卸問屋として営業されているお店は少なくなりましたが、問屋街建設当時から60年以上営業を続けておられる店舗もあり、歴史を感じることができます。

河原町繊維問屋街のリノベーション

繊維問屋街は一旦栄えたのちシャッター街となるが、その後リノベーションされていく。15年ほど前から始まった。

中村:立地もいいし建物も面白いし、改装は自分たちで行うので、お持ちの物件を貸して欲しいと、空き家の大家さん達に掛け合ったところ、多くの大家さんがその要望に賛同し貸し出してくれるようになりました。こうするうちに、だんだんとリノベーションされた商店街になっていきました。今でも1コマ、2コマとコマ単位で大家さんが管理し、貸し出しています。

現在、問屋街の建物では、20軒弱の店舗やアトリエ、事務所が稼働しているそう。独特な立地ならではのユニークなお店も多い。
「BOW」の井上さんのように、自身で作ったものを販売する店や、会員制のサロン、そして今回お話を伺っている「モラトリアム」の店主、中村さんは古物商を営む。

「モラトリアム」の店内。レトロなアイテムで溢れている

中村:ただ店を開けていても人は来ません。あと、建物の状態もまちまちなので、手直ししていくことも大変ではあります。

状態を保つことに手間はかかるが、街や建物自体に歴史があり、この空間に入り込むと時代を錯覚するような感覚がある。
「昭和30年代の建物で稼働している場所はすごく珍しいので、建物を撮りに来る方も多いです」と中村さんが話す通り、雰囲気を味わうだけでも足を運ぶ価値がありそうだ。

中村:人通りには全く頼れる立地ではないので、それぞれのお店がお客様に足を運んでもらうために工夫をしています。なので、各店ごとに固定のお客様がいて、そのお店めがけて来店する、というパターンが多いです。

どのようにこのエリアは管理されているの?

取材の依頼をした際に、窓口になっていただいたのが「モラトリアム」店主の中村さんだった。

中村:近年SNSの普及もあり、写真を撮りに来られる方も多いので、2019年は試験的にメディア窓口にもなるインスタグラムを運用しています。

問屋街の皆で手入れし育てている植物のある場所。3年前の火事の後、少しづつ緑を増やしていき、毎日水やりをしながら立ち話をし交流を深めている

古物商を営む中村さんは、仕入れで週1日ほどは休むが、それ以外はお店を開けている。仕入れ日が決まっていないため不定休となり、インスタグラム、フェイスブックで週の休みをお知らせしている。

「モラトリアム」ってどんな店?

一足踏み入れる、というより入らなくても入り口からすでに品物で溢れている。

中村:もともと10年ちょっと前は絵を描いていて、アトリエショップでした。当初は自分が描いた絵を販売していましたが、古物商の免許をとり、古物を仕入れ並べ始めたところで古物がメインのお店になりました。

ネット、SNSからの訪問者が多く、熊本県内から来店される方は半分ほどで、他は遠方や海外からのお客様が多い。

中村:近所だからといって用事のある品揃えでもないので。興味がなければ何もいらないラインナップです。何かを集めている方がいらっしゃいます。福岡や台湾の方が多いです。インスタグラムを見て、日本語は話せないけど、古いおもちゃを集めている、といったアジア圏の方が多い。

店主中村さんのおすすめは?

アイス、お菓子など様々な紙パッケージを取り扱う

中村:戦前からのチラシとか紙ものが豊富です。食品パッケージ、戦前のアイスのパッケージなど。捨てられ、燃やされ、濡れとか破れなどを乗り越えてここにあるので、凄くラッキーアイテムですよね。自分よりも年上です。

あらゆる収集家がこの店に訪れる。アイテムごとにコレクターがいるようだ。

中村:お客様は各自ご覧になるところが決まっています。紙をご覧になる方は紙。おもちゃならおもちゃ。まんべんなくみるというよりも、用事があって探しにいらっしゃる方が多い。二階は古書、漫画があるのでそれを探しにくる方は二階にずっと、長い時間いらっしゃいます。

この日は仕入れたばかりの昭和30年代のメンコが豊富にあった。今は充実しているけどなくなったら終わりの一点もの

経年と共に風情が変わる魅力の場所

それぞれ商店を営みながらも、この建物、街を保つために協力して管理、運営をしている。

中村:ここ10年の間でも街の様子は変わりました。建物の具合も経年と共に、今年、来年、再来年でも変わってきます。2019年の街はこんな感じです。今の感じは今だけ。1年経てば経年を感じ、味が増して様子は変わります。年と共に風情がちがう、それがまた魅力なんです。

「建物を撮られる方にはおすすめの場所です」と最後にお話いただきました。
古い建物がお好きな方には是非足を運んでいただきたい場所です。
タイムスリップしたかのようなこの街の中で、モラトリアムを楽しみませんか?

(尚、お住いの方・営業中の店舗さまへご配慮いただき、撮影マナーを守ってお楽しみください。3名以上での撮影ご希望の方はkawaramachisenitonyakumiai@gmail.comまでご連絡をお願いします)

河原町繊維問屋街 基本情報

住所: 〒860-0023 熊本県熊本市中央区河原町
インスタグラム:
https://www.instagram.com/kawaramachisenitonyakumiai/

モラトリアム 店舗情報

住所: 〒860-0023 熊本県熊本市中央区河原町中央区 2番地 旧繊維問屋街通路内
営業時間:13:00~18:00
(不定休のため随時インスタグラムとフェイスブックで休業日をお知らせしています)
インスタグラム:
https://www.instagram.com/moratorium2012/
フェイスブック:
https://ja-jp.facebook.com/moratorium2012/

撮影/田中慎一朗

書いた人

商品の企画やらデザインやら相談やらを受けている他、おもいでのはとばコレクションを運営している。そんな経歴上、絵を描くことが得意と見られがちだが、新聞記者の最終面接で敗戦した過去を引きずる。人、場所、ものに興味があって、繋げることを企てる。 http://omoide-no-hatoba.com