2019年下半期のNHK連続テレビ小説『スカーレット』で注目を集める、滋賀県甲賀市信楽。細い路地には窯元が軒を連ね、道端に火鉢やたぬきの焼きものが置かれ、焼きものの里らしいのどかな風景に出会うことができます。今回はそんな信楽の街を歩き、出会った5つの見どころをご紹介します。
1.火祭りで有名な「紫香楽一宮 新宮神社」
はるか昔、信楽の地には日本の首都がありました。天平14年(742年)、国家安寧を願って大仏建立を行うため、聖武天皇により紫香楽宮(しがらきのみや)が造営されました。しかし、山火事や地震のため思うように造営が進まず、結局4年余りで平城宮へと再び遷都されたのです。
この紫香楽宮が造営される以前、霊亀元年(715年)奈良時代に創建されたといわれるのが「紫香楽一宮 新宮神社(しんぐうじんじゃ)」です。
この神社で行われる行事のひとつ、毎年7月に行われる「火祭り」は『スカーレット』にも登場したことで一躍注目を集めました。愛宕山山頂に祀られている火の神、土の神、陶祖神に松明を奉納し、感謝するとともに鎮火(火伏せ)もあわせて願い、陶器業界の守護・繁栄を祈るお祭りです。
紫香楽一宮 新宮神社
住所:〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野1151-1
Webサイト:http://www.shinguujinja.org/
2.丸熊陶業のロケ地「山文製陶所」
丸熊陶業のロケ地になった場所は「山文製陶所(やまぶんせいとうじょ)」。明治26年創業、明治時代の主製品である海鼠釉(なまこゆう)の火鉢などはじめ、約120年の歴史を重ねてきた窯元です。
ちなみに、『スカーレット』の主人公、川原喜美子のモデルは陶芸家・神山清子さん。彼女は明治7年創業の近江化学陶器に就職されたといわれることから、丸熊陶業のモデルは、近江化学陶器ではないかと推測できます。また、芸術家・岡本太郎さんと近江化学陶器には、繋がりがあります。西川貴教さん演じるジョージ富士川は、岡本太郎さんがモデルであることから、今後の展開でこの関係も描かれていくのではと考えられます。
株式会社 山文製陶所
住所:〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野938-1
Webサイト: https://yamabun-shigaraki.jp/
2.カフェレストラン「陶園」
散策に疲れたら、カフェレストラン「陶園(とうえん)」で休憩を。1階のカフェレストランは、棚を飾る焼きものを眺めながら近江牛の定食をはじめとしたお食事、コーヒーなど喫茶を楽しめます。2階のギャラリーでは焼きものをを中心に作品展示が行われています。
住所: 〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野883-1
Instagram: https://www.instagram.com/gallery__toen/
4.可憐で使いやすい焼きもの「器のしごと」
信楽には、このエリアで活動する焼きもの作家のお店も数多くあります。注目作家のひとり、村上直子さんのお店「器のしごと」に訪れました。
もともと車の整備場だった場所の一部をDIYしたこちらの店舗。什器やコーディネートに、アンティークがお好きな村上さんのセンスが光ります。
村上さんが陶芸家を志すきっかけとなったできごとは、大阪の印刷会社に勤務していた頃。信楽の陶芸教室に参加したことを機に、陶芸に目覚めたんだそう。その後、信楽窯業技術試験場などでの修行を経て、株式会社羅工房の陶芸部門に8年在籍、独立にいたりました。
村上さんのつくる器は、料理を盛り付けたときに、器と料理がひとつの作品にみえるような、シンプルで使いやすいデザイン。粉引に白い化粧をほどこしたカップや鉄粉をつかった皿など、どんな料理にも合わせやすい色と質感が特徴です。
モチーフは蓮の実や花など植物を可憐にアレンジしたものが多く、その独特の世界観はInstagramでも大人気。都内の百貨店やイベントでの販売も大好評なんだとか。お気に入りの一品をさがしに、信楽に訪れた際にはぜひお立ち寄りを。
器のしごと
住所: 〒529-1804 滋賀県甲賀市信楽町勅旨
ブログ: https://utsuwalog.exblog.jp/
Instagram: https://www.instagram.com/utsuwa_no_shigoto/
5.陶人形とアクセサリー「陶房準」
最後にご紹介するのは、陶人形作家・葛原準子さんの工房「陶房準(とうぼう じゅん)」。信楽の窯元散策路の中腹に位置する工房は、広々とした空間に、葛原さんのつくった人形やアクセサリーが展示されています。
葛原さんが独学でつくられる人形は、ふくよかな表情と、着物のやわらかい表現が特徴。展示空間の傍に、葛原さんの作業スペースがありました。
ひとつひとつ、命を吹き込むようにていねいに細部を描いていきます。
作品は、雛人形や五月人形、干支にちなんだ人形など、日本の季節行事に欠かせないものが多く、子どもや孫の誕生祝いに贈り物として購入される方も多いんだとか。
陶人形のほかに、焼きものを宝石のようにあしらった、ジュエリーブランド「Juno」も展開。葛原さんは「アクセサリーは、釉薬の美しさを身近に感じてもらいたくてスタートしたんです。ときめきを大切に、使う人に愛される作品を心がけています」と語ります。信楽のお土産に、購入されてみてはいかがでしょう。
住所: 〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野1423-10
Webサイト: http://www.tohbo-jun.jp/ / www.ceramicist-jun.com/