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西陣

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京都随一の職人の町「西陣」のディープな町家巡りが楽しい!素敵な町家カフェも!

平安の昔から織物の町として栄えた西陣には、美しい格子戸をもつ京町家(きょうまちや)が今も数多く残っています。そんな“町家の町”で、あの路地この通りの町家を体験してきました。景勝地や神社仏閣とはまた違う、普段着の京都美に出合えるおすすめの町家をご紹介します。

町家って楽しい! 京の建築文化にどっぷり浸る町家巡り

西陣西陣、紋屋町の三上家辻子(みかみけずし)。辻子とは小さな路地のこと。かつてこの地で織物商を営んでいた三上家が、今もこの路地を大切に守っている。路地に並ぶ長屋の町家は、昔、織物職人たちの住居だった。

繊細な格子戸と鈍色の瓦屋根をもつ美しい町家建築。なかでも、商人や庶民が暮らす“職住一体型”の京町家には、美しく暮らす天才である京都人の、知恵と美意識が詰まっています。そんな京町家が多く残っているのが、織物の町・西陣。この町での散策は、「町家を知る・町家で買う・町家で食べる」の3本立て(おまけのカフェ&ショップも!)で、町家尽くしといたしましょう。

西陣

今回ご紹介するのは…
西陣くらしの美術館「冨田屋」
隠れた名店「職人.com」
築90年の店舗兼工房「かみ添」
行列必至の手打ち蕎麦屋「かね井」
京町家を改装したカフェ・ショップ3軒


町家を知る
西陣くらしの美術館「冨田屋」文化財の京町家をじっくり見学

西陣

西陣の中心をなす今出川大宮(いまでがわおおみや)は、かつて“千両ヶ辻(せんりょうがつじ)”と呼ばれ、1日で千両の絹が動いたとされる町。冨田屋は、明治18年、この界隈に建てられた老舗呉服商です。店と住居で構成される明治期の「表屋造(おもてやづくり)」様式を伝える文化財として、平成11年、国の登録有形文化財に指定され、住居部分では今も家族が暮らしています。

西陣西陣・千両ヶ辻の老舗呉服店「冨田屋」。明治18年に建てられた職住一体型の京町家を、“西陣 くらしの美術館”として公開。「ミセ」と呼ばれる店舗部分の座敷から、緑に濡れた坪庭を見る。

京町家といえば、間口が狭く奥が深い「うなぎの寝床」形式が典型ですが、大店(おおだな)の場合は、店舗と奥の住居棟を庭でつなぐ様式「表屋造」が多く見られました。こちらではその表屋造の京町家を見学できます。「町家は、文化や知恵を伝える建築です」と話すのは、13代当主の田中峰子さん。建物を案内しながら、京町家での暮らしぶりや季節の行事を教えてくださいました。

西陣左/井戸、打ち水などに使われる。右/冨田屋には全部で6つの庭があり、屋内のどこにいても自然を目にすることができる。

西陣左/棕櫚竹(しゅろちく)と石燈籠(いしどうろう)を配した坪庭。右/坪庭の露地下駄。

「この家には庭が6つあります。小さな庭を各所に配することで、細長く薄暗い屋内の隅々にまで、光と風を取り込んでいるのですね。夏は、それぞれの庭に打ち水をすることで気流が生まれ、庭から庭へと風が流れる。室内に涼を運ぶ工夫です」(田中さん)

西陣離れへ続く廊下。床板は長さ10mもの赤松、天井は屋形舟の形…と普請道楽(建物道楽)ぶりがうかがえる。

さらに「離れ」へ続く廊下へ向かうと、なんと天井が屋形舟の形! 聞けば、舟に乗って特別な空間へ誘われるイメージで設計されたそうで、床板は長さ10mの赤松。継ぎ目がないことにびっくりです。

西陣神様が祀られている漆塗りの「寶蔵(たからのくら)」。「神様とともに暮らすという意識が、美しい暮らしの原点」と話す田中さん。

「この家を建てた冨田屋10代目当主は、自ら山へ入り、廊下や床柱に使う木を選んだと聞いています。そういった“西陣の普請道楽”たちが、町家を通じて京の文化を守り、発信してきたのですね」(田中さん)

◆冨田屋
住所 京都市上京区大宮通一条上ル
Tel 0754326701
営業時間 10:00~17:00※予約制
定休日 無休
※基本プラン(町家見学+京のしきたりを学ぶコース)2,000円。お茶席体験、着物体験などのオプションもあり。
公式サイト


町家で買う
隠れた名店「職人.com」で日本の手仕事をお買いもの

西陣

南部鉄器のフライパンや鋳物(いもの)のカトラリー、紀州の棕櫚(しゅろ)タワシに長崎・波佐見焼(はさみやき)のカラフルなうつわ。こちらは、職人がつくる美しい道具を日本中から見いだして販売するオンラインショップ。築90年ほどの隣り合う2軒の京町家を、ほとんど改装せずにショールーム兼住居にしています。

西陣

余白を広くゆったり展示した空間に、うっとり見惚れること数分間。運営者・櫻井慎也さんの、「日本建築の、引くことによって美しさが際立つという美意識が大好きなんです」という建築愛あふれるひとことで、ハッと我に返りました。確かに、この空間の清々しくも簡素な美しさは、茶室の空間美に通じるかもしれません。また、目の前にある手仕事の道具がどれも魅力的に見えるのは、町家が、それらの道具が使われるべき“生活空間”だからでしょう。

西陣日本の手仕事を扱うオンラインショップ「職人.com」の商品が並ぶ。杉皮を張った玄関庭の壁や、通りの気配をうっすら伝える格子窓など、町家は細部まで美しい。

「思想家の柳宗悦(やなぎむねよし)は、“民家は建物の中の民藝だ”と言ったそうです。町家も、天然の素材と職人の伝統技の集大成。町家自体が大きな民藝だと思います」(櫻井さん)

西陣南部鉄器の名作。「小笠原陸兆ふた付きミニパン」。目玉焼きやホットケーキに。直径14.5㎝、全長23㎝ 6,000円。

◆職人.com
住所 京都市上京区藤木町795-2
Tel 0754150023(土日祝を除く9時〜18時)
営業日/時間 火・水・木曜14時~17時(祝日・ゴールデンウィーク・お盆・年末年始除く)のみ営業。
公式サイト


町家で買う
築90年の店舗兼工房「かみ添」手摺りの唐紙の文房具をお土産に

西陣

西陣中心部の、格子戸が連なる風景もよいものですが、紫野の近くまで歩くと町家の佇まいも変わります。目ざす鞍馬口通(くらまぐちどおり)は、50mほどの通り沿いに、さまざまな表情の建物が並んでいるのがいい眺め。米屋を改装した蕎麦店「かね井」や銭湯を改装したカフェ「さらさ西陣」。その隣が古い理髪店を改装した「かみ添」です。

西陣

「かみ添」は、型押しの技術を用いて手摺りの唐紙をつくる職人・嘉戸浩さんの工房兼ショップ。広い土間には腰掛けや白タイルの水場があり、上を見あげれば斜めの欄間(らんま)に格天井(ごうてんじょう)。海外から見学にくる建築家もいるという珍しい町家の意匠を、そのまま生かしています。嘉戸さんが手を入れたのは、美しい唐紙を貼った壁と、通りを見渡せるようにとガラスを入れた間口くらい。

「長い間、ご近所さんに愛されてきた建物だと感じます」と話す嘉戸さんは、アメリカでグラフィックデザイナーとして活躍した後、京都の老舗唐紙工房で修業した唐紙師。胡粉(ごふん)で和紙を染め、雲母(きら)の粉末を使って版木で型押しする作業を、ひとりで行っています。

西陣ひとつずつ手折り、手貼りしてつくる唐紙のぽち袋。同柄3枚1,000円。

「北に大徳寺、東に裏千家会館があるので、お寺さんやお茶の先生、織物の職人さんなど、文化意識の高い人がぶらっと歩いている。そういう方が集まる場所なんです」(嘉戸さん)かと思えば、風呂桶を抱えて銭湯へ向かう人もいたりするから、西陣は奥深い。白い和紙に白い顔料で模様を摺ったポチ袋をゲットしました。

◆かみ添
住所 京都市北区紫野東藤ノ森町11-1
Tel 0754328555
営業時間 12時~18時
定休日 月曜・臨時休あり
公式サイト


町家で食べる
心が落ち着く京町家で手打ち蕎麦に舌鼓「かね井」

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「かね井」は、築90年の町家を、店主が大工さんとともに改装して開いた蕎麦屋です。靴を脱いで上がり、座布団に座ってのんびり蕎麦を待っていると、今まで気づかなかった町家の顔が見えてきます。

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木の梁(はり)に木の柱。土壁や漆喰壁。竹に和紙にイグサの畳…それらがすべて、いい塩梅に年をとっているのです。自然の素材をふんだんに取り入れているだけでなく、生活空間として住み続けているから、木の熟れ方ひとつ、やっぱり違う。ほどよい緊張感と友人の家のようなくつろぎ感の中でいただく蕎麦の味。忘れられない思い出になりそうです。

西陣

こちらは、店主の兼井俊生さんが、国産の蕎麦の実を石臼で自家製粉し、十割で手打ちする蕎麦。香りよし味よし喉越しよし。少し並んででも食べたい。つゆや蕎麦湯も絶品です。

◆かね井
住所 京都市北区紫野東藤ノ森町11-1
Tel 0754418283
営業時間 11時30分~14時30分、17時~19時
※昼夜とも売り切れ次第閉店。昼で蕎麦が売り切れたら夜は休み。人気店ゆえ、当日事前に電話で確認すると安心。予約は不可。
定休日 月曜(祝日の場合は火曜。臨時休業あり)


ちょっと足をのばして…町家を改装した素敵なカフェ・ショップ3軒

京町家を改装したカフェやショップも多い西陣。その中から、大人がゆっくり楽しめる静かな空間を選びました。3軒とも、町家への愛情をもつ店主による住居兼店舗。居心地よくあたたかな空気に包まれています。

1「京西陣 菓匠 宗禅」
京都が誇る上技物あられが名物。織屋建を改装した店舗&カフェ

住居の奥に吹き抜けの土間を設け、織物工房としたのが「織屋建」の町家。築130年の織屋建を改装した「宗禅」は、今では見られなくなった“上技物あられ(紋様を施し、美しい形に焼き上げるあられ)”をつくることができる老舗菓匠です。

西陣

◆京西陣 菓匠 宗禅
住所 京都市上京区寺之内通浄福寺東角中猪熊町310-2
Tel 0754176670 
営業時間 10時~18時(茶房は10時30分~16時30分L.O.)
定休日 月・火曜(祝祭日は営業)
公式サイト

2「樹々丸」
庭にはかわいい山野草も並ぶ趣味のいい、町の植物屋

山野草や多肉植物・サボテンをメインとしたセンスのいい植物店。オリジナルの花器などと合わせた提案も。「格子のディテールや柱の仕上げなど、町家に残る職人技に惹かれる」という店主が、植物の育て方も丁寧に教えてくれます。

西陣

◆樹々丸
住所 京都市上京区今出川通小川東入上る北兼康町301-1
Tel 0754328607
営業時間 火〜金 12時〜16時、土・日 12時〜19時
定休日 月曜不定休、臨時休あり
公式サイト

3「古書と茶房 ことばのはおと」
小説、猫本、少女マンガ…読書できる町家カフェ

こちらでは庭のある築150年の町家で、古書とお茶を楽しむことができます。自由に読める古書は、小説やエッセイから建築、猫、鉄道、マンガと多彩。読書を愉しむカフェなので、会話はお静かに。

西陣
 
◆古書と茶房 ことばのはおと
住所 京都市上京区油小路通下長者町下る大黒屋町34
Tel 0754142050
営業時間 11時30分~19時00分(18時30分L.O)
定休日 月・火曜
公式サイト

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