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特集 美味しい!美味しい!あんこ銘菓店GP!
握りたてのあんを示す指の跡!
求肥(ぎゅうひ)が入る小ぶりな餅菓子は上から、丹波大納言(たんばだいなごん)を使ったつぶあん、備中白小豆(びちゅうしろあずき)の白あん、抹茶を練り込んだ抹茶あん、備中小豆のこしあん、ごまを練り込んだごまあん。あんの香りが濃い!
「お菓子は、あんが美味しくなかったらあきまへんやろ」とは17代目主人の久保昌也(まさや)さん。
「菊壽堂義信(きくじゅどうよしのぶ)」は江戸後期から続く上生菓子店。品のいい茶席菓子をつくる店として知られています。船場(せんば)に創業し、戦後現在の場所に移転。久保さんの祖父(15代目)はこれを機に家族だけの経営に転向し、代々、主人があん炊きを担うように。
「つぶあんは1升、こしあんは1升5合。うちの1回に炊く小豆の量です。よそに比べたらつぶは10分の1、こしは20分の1の量」。量が少ない=上質な小豆をひと粒ひと粒、手をかけて扱うというわけ。あん炊きは1日に1回。「菓子屋が大きくなったらあかん」と売り切れ次第店を閉める徹底ぶりです。
「高麗餅(こうらいもち)」はそんな自慢のあんを、上生菓子を注文してから待つ間に店頭で食べてもらうために15代目が考えたお菓子。指の節を使ってほどこされる模様は、つくりたてを示す証。あんの角がピンと立ち、水気が感じられるうちにいただきましょう。
小豆の風味がしっかり主張されたつぶあんに驚き、さらさらとのどを通るこしあんに感動。中に入るトロットロの求肥も味わいに弾みをつけて、次々と口に入ってしまいます。
店のある高麗橋と贔屓の歌舞伎役者初代松本白鷗の屋号・高麗屋をかけて「高麗餅」!
店舗情報
菊壽堂義信 きくじゅどうよしのぶ
住所:大阪府大阪市中央区高麗橋2-3-1
電話:06-6231-3814
営業時間:10時~16時30分(売り切れ次第終了)
休み:土曜・日曜・祝日
撮影/石井宏明 構成/藤田 優、後藤淳美(本誌)※本記事は雑誌『和樂(2019-2020年12・1月号)』の転載です。