個性豊かな国宝と出合う長崎の旅へ、さあでかけましょう! 全6回シリーズの第1回は「大浦天主堂」です。
「信徒発見」で世界的にも有名になった、
現存最古のキリスト教の建築物「大浦天主堂」
天をさす尖塔と白い漆喰(しっくい)の壁が美しい「大浦天主堂」は、幕府によるキリスト教禁教令が続いていた江戸時代の末期に創建。設計はフューレ神父とその後を受け継いだプティジャン神父のふたりのフランス人で、天草(あまくさ 熊本県)の棟梁(とうりょう)・小山秀之進が建てました。当時の人々は「フランス寺」と呼び、建築中から多くの見物人が訪ねて来ていたといいます。
大浦天主堂の正式名称は「日本二十六聖殉教者聖堂」。豊臣秀吉のキリスト教徒追放令によって処刑された人々に捧げられた教会でした。
創建して間もなくのことです、プティジャン神父のもとに、「サンタ・マリアのお像はどこ?」と尋ねる人たちが訪れました。彼らこそ、浦上地区に住む潜伏キリシタン。禁教とされた250年の時を経て、なお信仰を守り通した人たちがいたことはローマ教皇に伝えられ、キリスト教における奇跡「信徒発見」として世界に発信されました。
そんな大浦天主堂は今も、気高くも楚々とした風情をたたえています。その姿から、国宝にふさわしい重要な建造物であることがひしひしと感じられます。
国宝情報
大浦天主堂 おおうらてんしゅどう
キリスト教関連施設として初めての国宝で、現存最古の建造物。世界的に有名なカトリックの奇跡「信徒発見」の地。元治元(1864)年創建、明治8(1875)年および12(1879)年に改築。
住所:長崎県長崎市南山手町5-3
電話:095-823-2628
拝観時間:8時30分~18時(最終入場は17時30分。冬季の最終入場は17時)
休み:なし(教会行事により休館する場合があります)
拝観料:大人1000円/中高生400円/小学生300円
公式サイト:https://nagasaki-oura-church.jp/
撮影/佐藤敏和 ※本記事は雑誌『和樂(2023年8・9月号)』の転載です。