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長崎に残る中国文化の名残を感じる、寺町通り
江戸時代の長崎には黄檗宗(おうばくしゅう)の寺院が立ち並び、崇福寺(そうふくじ)のほかに、興福寺(こうふくじ)、福済寺(ふくさいじ)と「福」の字がつく三福寺(さんぷくじ)は、唐寺と呼ばれた当時の中国風の建物に伝え、長崎らしい趣を漂わせています。
そのうち、興福寺の創建は1620年。中国・南京出身者が媽姐堂と仏殿を建てたことから、南京寺とも呼ばれます。この興福寺が日本で最初の唐寺で、日本黄檗宗発祥の地なのです。
第2代住職・黙子如定(もくすにょじょう)が建立した本堂・大雄宝殿(だいゆうほうでん)は、日本における中国南方建築の代表作。黙子如定は眼鏡橋を架けたことでも有名です。
さらに、第4代住職に就任した隠元は、中国から招かれた高僧で、インゲン豆や野菜、果物のほか、印鑑や木魚、煎茶や普茶(ふちゃ)料理などを中国からもたらし、日本文化に多大なる影響を与えました。
三福寺めぐりとともに訪れたいのが、寛永11(1634)年に黙子如定が架設した眼鏡橋。アーチ型の中国明様式の石橋として最初の例であるこの橋は、川面に映る影が眼鏡のように見えることからこの名前がついたといわれ、東京「日本橋」、山口「錦帯橋」とともに日本三名橋に数えられます。
名所情報
興福寺 こうふくじ
住所:長崎県長崎市寺町4-32
電話:095-822-1076
拝観時間:7時~17時
休み:なし
拝観料:300円
公式サイト:http://kofukuji.com/
撮影/佐藤敏和 ※本記事は雑誌『和樂(2023年8・9月号)』の転載です。