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2023.12.20

金沢から届いた【加能ガニ】は、ひと手間でこんなに美味しく食べられる!

別格のごちそう、金沢の加能ガニ(オスのズワイガニ)。ゆでガニを取り寄せるなら、冷凍ではなく〝冷蔵〟がみずみずしくて美味。さらに美味しさを引き出すコツを教わりました。

前回までの記事はこちら。
金沢の名料亭「日本料理 銭屋」で極上の加能ガニを食す!
金沢・近江町市場で【加能ガニ・香箱ガニ】を買う! 取り寄せる!

教えてくれる人 
東京・四谷「うぶか」店主・加藤邦彦さん

国内のあらゆる地域でとれるカニを扱い、年間を通して甲殻類のフルコースを提供する加藤さん。加藤さんから見た「加能ガニ」に代表されるズワイガニの魅力は、「まずは見た目の美しさ。それに加えて身もミソもバランスよく美味しい。身、ミソ、殻から出る出汁、すべてに味があるんです。これはほかのカニにはない魅力です」。ということで、ゆでたズワイガニを家庭で余すことなく味わい尽くすレシピはこちらです!

Step1 真ん中の脚をまずは何もつけずに食べる

カニが移動するときに主に使うのは左右とも上から3番目=真ん中の脚だってご存じですか? 「筋力が発達していて、ここがいちばん美味しい」と加藤さん。ということで、おすすめの食べ方は、「ゆでガニとして最上の部分を、届きたての美味しいうちに、何もつけずに食べる」。口に入れてもらえばわかりますが、ここに調味料は不要。カニの持ち味で十分です。ちょっと〝味変〟するなら、塩や柑橘類を。もちろん甲羅から取り出したミソでもいいのですが、ここでミソを完食すると残りのお楽しみがなくなっちゃうので、少しずつ味わって。カニ身をもうちょっと食べたいなら、胴に詰まった身がつつきやすいです。

カニが手元に届いたら即、裏向けに!


甲羅の裏、「前かけ」と呼ばれる部分の隙間などから身のエキスが流れ出るので、調理を始めるまで、カニは裏向けにしておくこと。すぐに食べない場合は付属の包装紙で覆い、ラップをして冷蔵庫へ。写真は金沢・近江町市場「みやむら」の約1.2㎏の加能ガニ。


※カニは家庭で食べやすいように切りました。店の切り方とは違います。

Step2 残りの脚と爪は鍋でしゃぶしゃぶ♪

黙々とカニの脚を食べ続けるのもつまらない&体が冷えるので、カニ鍋を楽しみましょう。すでにカニはゆでてあるので、鍋に最初から入れなくてよし。大きな爪や脚の太いところなど、食べごたえのある部分を鍋用に切り分けて準備。好みの野菜が温まったら、お出汁にくぐらせるだけで十分。湯気の立つ殻からカニ身を取り出し、ハフハフ言いながら食べるのが最高! 「鍋の出汁はここはカニ出汁で。カニの殻から簡単に出汁がとれるんですよ」と加藤さん。先に真ん中の脚を食べて殻を出したのはそんな理由もあったんですね!

焼いたカニの殻の香りを移した出汁で食べるカニ鍋の美味しいこと! 加能ガニは香りも味わいのうちです。

カニの甲羅は焼いて出汁をとります


ズワイガニの殻で出汁をとるならひと手間を。といっても殻をオーブンやトースターで香りが出るまで数分焼くだけ(こげやすいので気をつけて)。あとは昆布出汁と合わせて数分煮立たせ、香りを移し、殻をこすだけ。そこにみりんと醬油を加えたのが今回の鍋の出汁。この出汁に酢と生姜の絞り汁が入れば「カニ酢」に。

Step3 ほぐし身と残りのミソで雑炊をつくる

鍋の具をさらったところで、残ったのはカニと野菜の旨みが溶け込んだ絶品のおつゆ。これを総ざらいする鍋の〆はお好みで。今回は雑炊にしましたが、お餅を入れても、うどんでも! ミソをここで入れると悶絶の美味しさです。 そしてこの〆に生きてくるのが、ステップ1・2で食べ残してきた脚の細いところや胴の中などの〝食べにくいところ〟。せっかく金沢から取り寄せたカニだもの、細かいところまで丁寧にかき出し、ほぐし身をためておきましょう。「これを鍋の〆に入れて、その日のうちに食べ切るのが理想ですね。ゆでガニは足が早いので注意を」と加藤さん。

カニと溶き卵というのも王道の組み合わせ。鍋の〆にはどうぞ卵を加えることもお忘れなく。ここまで食べ尽くしたらお値段以上の価値あり! そして酒吞みにはもうひとつ、お楽しみが残ってました! 炙(あぶ)った甲羅に温めた日本酒を注いで、ミソの香りとともに味わいましょう。加藤さんが選んだのは能登・宗玄(そうげん)酒造の純米吟醸酒。カニの産地と地酒を合わせるのが「うぶか」流。

店舗情報

「うぶか」
住所:東京都新宿区荒木町2-14 アイエス2ビル1F 
電話:03-3356-7270 
営業時間:17時~23時 
休み:日曜・祝日
公式サイトhttps://ubuka.jp/
旬を迎えた甲殻類を四季折々楽しんでもらうべく価格は控えめ。10品で15,000円(税・サービス料10%別途要)。全10席。

※本記事は雑誌『和樂(2022年2・3月号)』の転載です。お出かけの際には最新情報をご確認ください。
撮影/石井宏明 構成/藤田 優

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和樂web編集部

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