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親子3代で通う常連客も変わらぬ味にほっとする
「いつもの、お願い」。カウンターに腰かけた常連客らしき人がそう言うと、いぶし銀の店主は黙ってうなずき、美しい所作でコーヒーをいれ始めます。その動きにいっさいのムダはなく、1分ほどで香り豊かなコーヒーが目の前に。
新聞を読みながら静かにじっくりコーヒーを味わう人、店主との会話を楽しむ人、チーズケーキやサンドウィッチをつまむ人。親子3代にわたって訪れる常連客も多いとか。
皆、思い思いに過ごしたら、すっと席を立ち「ごちそうさん」と去っていく…。創業以来、変わらぬ光景がそこにあります。
「父が創業したときは四条河原町近くに店があって、京都で初めてサイフォンを採用した店として賑わいました。大阪万博のころは1杯100円。1日10万円売り上げる日もあったんですよ」と、店主の山本一夫さん。
中学生のころから店を手伝い、28歳で独立。75歳になった今、約60年間、コーヒーをいれ続けていることになります。
蝶ネクタイにブルーのシャツ。キビキビと姿勢よくサイフォンを扱う一連の動きは美しく、思わず見惚れてしまうほど。ここでは、カウンターが絶対におすすめです。
カウンター名店DATA
「はなふさ イースト店」
住所:京都府京都市左京区岡崎東天王寺町43-5 レジデンス岡崎1F
電話:075-751-9610
営業時間:8時~翌2時
休み:無し
撮影/長谷川潤 構成/田中美保
※本記事は雑誌『和樂(2024年4・5月号)』の転載です。
※営業時間や休みなどが変更になっている場合があります。お出かけの前に最新情報を確認してください。