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2025.03.09

国宝の美しい梵鐘を備えた、鎌倉五山一位の「建長寺」の由来を徹底解説

北鎌倉の山に抱かれるようにある建長寺は、正式には「巨福山建長興国禅寺(こふくさん けんちょうこうこくぜんじ)」といい、禅宗寺院を代表する、鎌倉五山第一位の格式ある寺院です。

建長5(1253)年、日本にも、純粋で厳格な禅を学ぶ場が必要と考えた鎌倉幕府第5代執権(しっけん)の北条時頼(ときより)によって、宋から中国僧・蘭溪道隆(のちの大覚禅師)を招く形で創建されました。

右/国宝の「梵鐘」。
左/「仏殿」に安置された本尊は、極楽浄土から地獄に至るまで、すべての生物を救い、成仏させると誓う「地蔵菩薩坐像」。座高約2・4m、台座まで含めると約5mもある、鎌倉屈指の巨大な木像。当初の像は度重なる罹災で失われ、現存の像は応永21(1414)年以降の再興と考えられる。

日本初の本格的な禅刹(ぜんさつ)として多くの修行僧を集めて名を高めますが、のちに幾多の火災や震災によって当初の建物の大部分が焼失。江戸時代に、徳川幕府の後援を得るなどして、本格的な復興を果たしました。

建長寺の重要な建築物のひとつであり、国の重要文化財でもある「仏殿」。外観は禅宗仏殿の様式だが、内部はこの格天井のように金箔の装飾が施され、羽ばたく壮麗な鳥が描かれているなど豊かな装飾性が広がる。

鎌倉時代から継承される国宝「梵鐘」に加え、江戸時代に移築された「仏殿」や「唐門(からもん)」、江戸時代に再建された「法堂(はっとう)」や「三門(さんもん)」の4つの重要文化財をはじめ、大切に伝えられてきた多くの寺宝を有しています。

右/「総門(そうもん)」をくぐるとある「三門」には、後深草(ごふかくさ)天皇の筆と伝わる「建長興国禅寺」の額が掲げられている。その前に延びる道には、春になるとソメイヨシノの美しいアーチが。
左/「仏殿」は、傾斜する屋根が特徴の寄棟(よせむね)造。

境内には寺のシンボルとも言える柏槇(びゃくしん)の木をはじめ、多くの樹木があるのも特徴。今も多くの僧が昔と変わらぬ厳しい修行を行う寺は、禅を尊ぶ心が映し出されているような、清らかな美しさに満ちています。

「仏殿」前の蘭渓道隆のお手植えと伝わる柏槇の木。樹齢約700年を超える木が寺の長い歴史を物語る。

「けんちん汁」は、建長寺の修行僧がつくっていた「建長汁」がなまったものという。寺の入り口に店を構える「点心庵」(電話:0467-55-9350)では、老師からつくり方を伝授されたけんちん汁がいただける。

けんちょうじ
臨済宗建長寺派の大本山で、建長5(1253)年創建。国宝の「梵鐘」のほか重要文化財の「三門」や「仏殿」、「法堂」など見どころが満載。
住所:神奈川県鎌倉市山ノ内8
電話:0467-22-0981
拝観時間:8時30分~受付終了16時30分
拝観料:大人¥500
kenchoji.com

※本記事は『和樂(2025年4・5月号)』の転載です。
撮影/熊澤 透
構成/川村有布子、古里典子(本誌)

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和樂web編集部

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