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2025.04.30

金色殿と透塀の彫刻が美しい「上野東照宮」

東京・上野に鎮座する上野東照宮は寛永4(1627)年に創建。日光などで知られる「東照宮」とは、徳川家康(東照大権現 とうしょうだいごんげん)を祀る神社のこと。出世や勝利、健康長寿にご利益があると、信仰されています。こちらは戦争や災害での崩壊を免れた江戸初期の貴重な建築として、社殿(金色殿)や唐門、透塀(すきべい)、銅灯籠は国の重要文化財に指定。今も国内外から多くの人々がお参りに訪れています。

「金色殿」と呼ばれる社殿は、拝殿、幣殿、本殿の3つの部屋から構成される権現造。全面金箔のあでやかな煌めきが圧巻だが、豪華な彫刻も見どころに。鷹やぼたん、鳳凰など、格の高いとされる動植物が施されている。

透塀内から見た唐門の様子。正式名称は「唐破風造り四脚門(からはふづくりよつあしもん)」で、日本特有の建築技法を用いている。社殿、唐門、透塀の彫刻はすべて、金箔で覆った上から岩絵の具で彩色を行う「生彩色(いけさいしき)」という贅沢な手法で行われた。

栄華を極めた時代の面影が年月を経た今なお強く残される

ここはかつて津藩主・藤堂高虎(とうどうたかとら)の屋敷地であった場所。晩年の徳川家康の、天海僧正(てんかいそうじょう)とともに3人で魂を鎮める場所が欲しいという願いを叶えるために創建されました。現在の社殿や透塀、唐門は、慶安4(1651)年に3代将軍・徳川家光が造営替えをしたもの。日光までお参りに行くことができない江戸の人々のために、日光東照宮と同じ権現造(ごんげんづくり)の、豪華な金色殿を建立したのです。社殿を囲む透塀には、たくさんの動植物が彫刻でいきいきとあしらわれて。その姿を実際に目にすると、天下泰平な徳川時代に、入り込んだ気持ちになるかもしれません。

文化財保護のため、通常非公開である社殿の内部には、徳川家康に仕えた絵師・狩野探幽による4点の獅子が描かれた障壁画が。あえて修復をせず、当時の筆致をそのまま残している。磨き上げられた黒漆の床が、獅子の躍動感あふれる姿を映し出すことで、さらに迫力を醸し出して。

幕末の上野戦争や関東大震災、第二次世界大戦の東京大空襲などが起こる中でも、建物は倒壊することなく現存。まるで、戦乱の世を勝ち抜いた徳川家康の強運が続くかのような奇跡が、東照宮の美しい姿を残してくれているのです。

建築物だけでなく、樹齢600年以上の大楠も見事。上野の祖木といわれる御神木で、東照宮創建以前から、この地を見守っている。高さは約25m、幹の周囲は8m以上あり、上野公園内で最も太い。木の前には参拝前に気持ちを落ち着ける静心所も設置されている。

●うえのとうしょうぐう
住所:東京都台東区上野公園9−88
電話:03-3822-3455(社務所)
拝観時間:9時30分~17時(10月~2月は~16時)
拝観料:大人¥500
無休 透塀外での参拝時間は9時~17時30分(10月~2月は~16時30分)
※季節・天候により変更あり。荒天により安全のため閉門することもあり。
敷地内の「ぼたん苑」にちなんだ、ぼたん柄の開運守(緑)¥800など、お守りの種類も多く、選ぶのが楽しい。
uenotoshogu.com

※本記事は『和樂(2025年6・7月号)』の転載です。

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和樂web編集部

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