Gourmet
2019.10.06

なぜ日本人はタピオカを行列して飲むの?衝撃!インドでは炒めて食べていた!

この記事を書いた人

日本では、タピオカドリンクのブームがまだまだ続きそう。先日、雑誌の取材でインド料理店を取材した際、筆者はインド人に衝撃の事実を知らされました。「甘いドリンクにして、行列してまで飲むのは日本人だけ。本当のタピオカっていうのはね……」

インド人はタピオカを炒める!?

グルメライターとして活動している私は以前、『散歩の達人』という雑誌の取材でインド料理レストランを訪れました。江戸川区の葛西駅が最寄りの『印度家庭料理レカ』です。店主はなんと、日本初のインド人江戸川区議になった人物。プラニク・ヨゲンドラさん(通称、よぎさん)といいます。

そのときは、カレーをテーマとした内容での取材でしたが、ふとしたきっかけで、日本のタピオカブームの話になりました。インドではタピオカを揚げたり炒めたりするらしい。

「日本人は、タピオカドリンクが大好きですね。あんなに行列しなくても、自宅で楽しめるのに!」

そんなタピオカ談議が、その後もずっと気になってしょうがない。日を改めて「タピオカについて詳しいことを教えてください」と『レカ』を再訪することにしました。

このモチモチ食感、日本人もきっと好き!

『レカ』のある江戸川区には、在日インド人の1割以上にあたる約4,600人が暮らしています。中でも、葛西エリアはインド人街となっており、インド料理店やインド食材店が街じゅうに点在。

『レカ』は、この地の人気レストランの一つ。インド料理といっても、西インド料理が中心で、バターチキンカレーやナン(北インド料理)などはありません。その代わりに、見たこともないような不思議な料理やスナックがメニューに勢ぞろい。オーナーのよぎさんはもちろん料理もお手の物ですが、現在は通称“レカママ”こと、よぎさんのお母さんがメインで担当しています。

「せっかくなので、タピオカを使った料理をありったけ見せてあげますね」と、よぎさん&レカママ。

その後、生地を作って焼いたり、揚げたりと、レカママは手際よく調理を進めていきます。『レカ』はレストランで食べるかしこまった料理というよりも、お母さんが日常的に作る家庭料理が中心。とはいえ、本場さながらのスパイス使いで、香りは鮮烈です。

そして、登場したのがコチラ。

①Sabudana thalpiT サブダナ・タールピット
…タピオカの鉄板焼き。厚めのクレープ風だが、弾力があり食べごたえ抜群。

②Sabudana papaDi サブダナ・パパディ
…タピオカのせんべい。サクッと軽い食感で、いくつでも食べられそう。

③Sabudana chakali サブダナ・チャクリ
…タピオカの渦巻きスナック。甘そうで甘くない。歯ごたえがクセになる。

④Sabudana Kheer サブダナ・キール
…タピオカのデザート。おかゆのような食感。ほどよい甘さで食後にぴったり。

⑤Sabudana KhichaDi サブダナ・キチュディ
…タピオカの炒め物。クミンの香りと青唐辛子の刺激が印象的。

⑥Dahi Sabudana ダヒ・サブダナ
…タピオカのヨーグルト和え。タピオカがゴロゴロ入り味も見た目もキュート。

⑦Sabudana ChiuDa サブダナ・チウダ
…タピオカのあられ。日本のあられよりも数倍ハードでアゴが鍛えられる。

⑧Sabudana VaDa サブダナ・ワダ
…タピオカのコロッケ風のもの。外はカリカリ、中はモチモチ。

※中央はヨーグルトとコリアンダーのチャツネ

「タピオカには、じつは2つの種類があります。ひとつは、日本で一般的に流通しているタピオカ。キャッサバという芋のでんぷんを加工したものです。これ以外に、サゴヤシという木から取ったでんぷんを加工して作るタピオカがあります。とはいえ、味や見た目は似ているため、インドでもほぼ同一視されています。

インド人には断食の習慣があり、断食にはタピオカがいいんです。なぜなら、タピオカはでんぷんを原料としていて消化しやすいから。スパイスを控えめにすれば、胃への負荷が少なくなります。乾物のタピオカを水で戻して甘く味つけてデザートにしたり、タピオカで生地を作って焼いたり揚げたりと、料理方法は多種多様。こんなありがたい食材を考えてくれた先祖には、感謝の気持ちしかありません」

よぎさんはこのように語ります。断食といっても絶食するわけではなく、タピオカのような「食べてもいいもの」があるらしい。インドって不思議だな~。

そして、作ってもらったタピオカ尽くしのプレートは、どれも優しくいい味でした。タピオカが主食からおかず、デザートにまで見事に変身するのを見て、ちょっと感動しました。

中華鍋でサクッと揚げて、「サブダナ・ワダ」が完成。素揚げなのでコロッケよりも軽い食感。

炒めると「サブダナ・キチュディ」。『レカ』の人気商品のひとつです。

以上がインド風タピオカのひと通り。どれも、モチモチ食感が好きな日本人の口に合いそう。断食向きということで、スパイス控えめなのも優しい。さらに、ソースとしてヨーグルトやコリアンダーのチャツネのおかげで食べ飽きません。お酒のおつまみにもよさそうです。ネット通販でタピオカを買って、今度自宅でも作ってみようっと!

タピオカについてサックリおさらい

2019年のブームを牽引したのは、台湾発の「タピオカミルクティー」。タピオカの食感はもちろんのこと、味と香りのよいお茶自体のクオリティーが高いことも人気の秘密でしょう。お茶は、ジャスミン茶などの台湾茶や紅茶が主流で、ミルクや砂糖を加えスイート&リッチに仕上げられます。

タピオカドリンクが大ブームになる以前は、中華料理店やタイ料理店などでデザートとしておなじみだったタピオカ。ココナッツミルクの中にコーンとタピオカが入ったデザートを見たことがありませんか? スプーンですくって食べるコレです。

さて、日本で見られるタピオカはキャッサバを原料としたものが主流です。芋を潰してでんぷんを取り出し、乾燥させると白い粉「タピオカでんぷん」になります。この「タピオカでんぷん」を丸く加工したものが、「タピオカパール」。最近のドリンクのタピオカは黒色をしていますが、あれはカラメル色素や黒糖などを混ぜているからです。

世界各地でさまざまな料理やデザートになって、海を越えてはるか日本にやってきたタピオカ。甘いドリンクもいいけど、コロッケや炒め物などの「タピオカ軽食の店」、そろそろ日本にできないかなあ!

◆印度家庭料理レカ

住所 東京都江戸川区東葛西6-23-11
営業時間 11時30分~15時(ラストオーダー)、18~21時30分(ラストオーダー)
定休日 月曜日
公式サイト