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2019.11.25

熊本の穴場観光スポット「上色見熊野座神社」インスタ映えする絶景は、まるで異世界への入り口!

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偶然、目に飛び込んできた1枚の写真。
長い階段とその両脇にある沢山の灯籠が続く美しく苔むした緑色の異空間。
見た途端、その美しさに誘われて行ってみたくなり、急遽、立ち寄ったこの神社は、名前からして神秘的。
今回は、熊本県の奥阿蘇エリアの高森町に位置しており、ほとんど人の手つかず状態の苔むした美しい杉林の中に佇む「上色見熊野座(かみしきみくまのいます)神社」へこれからご案内いたします。

上色見熊野座神社とは?

「日本で最も美しい村」の1つにある「異世界への入り口」


上色見熊野座神社のある熊本県阿蘇郡高森町は、手つかずの自然が多く残る「日本で最も美しい村」の1つとしても認定をされている風光明媚なスポット。
「異世界への入り口」という異名も付いているこの神社は、標高670メートルの月形山の山麓にあり、実際に行ってみると、神秘的な美しさの中にも人の気配がしない神聖な独自の雰囲気を秘めています。

上色見熊野座神社は、地元の人でも知る人ぞ知る神社と長年なっていた神秘的なスポットでしたが、2011年公開のアニメ映画「蛍火の杜へ」の舞台になったことで、苔むす緑色の神秘的な異世界の絶景を求めて、全国から多くの人が訪れるパワースポットとなったとのことです。

上色見熊野座神社の歴史


この神社が創設されたのはかなり昔のことで、紀州熊野から移したものと言われています。南郷の総鎮守として長年祀られてきましたが、天正年間の戦火で燃えてしまったので、現在のこの神社は、1722(享保7)年に建立されたものとのことです。

もともとは、このエリアの住民がこの神社のご神体にもなっている大きな風穴があいた珍しい巨岩「穿戸岩(うげといわ)」を崇めていたことに由来しているらしいです。

祭祀が営まれるようになったのは、鎌倉時代末期、もしくは、室町時代の初期頃で、山岳信仰や岩石信仰により神社が建立されたとのこと。さらに、この当時、熊野信仰が広っていたので修験者が紀伊熊野三山の伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)の二柱の大神を祀ったことで「上色見熊野座神社」となりました。
そして、この神社には、この二柱の大神の他にも、阿蘇山を創った神として知られている健磐龍命(たけいわたつのみこと)の荒魂と言われている石君大将軍も祀られています。

上色見熊野座神社のみどころ

長い階段と灯籠

拝殿までの長い参道には、階段が280段、その両脇には全部で燈籠が100基近くあり、ほとんど人の手つかずの杉の木がその参道を囲んでいます。
このすべての灯籠は、農耕金運の神にもなっているこの神社で、そのご利益と恩恵を授かれた地元の企業によってお礼として奉納されたものです。

参道の距離は300mほどですが、階段は、一部苔も生えていて滑りやすく、思った以上に段差もあるので、マイペースにゆっくり登って行くのがおすすめ。
スニーカーなど歩きやすい靴を履いて訪れた方が良いですよ。

直射日光が差し込まない参道の神秘的な空間は、時間帯、季節、天候によって様々な表情を見せる空間へ早変わり。苔むす緑の美しさを最大限に堪能したい方は、雨上がりの参道がおすすめ。ただし、更に滑りやすくなりますので気をつけて歩いてください。

アニメ「蛍火の杜へ」の名場面の1つの参道


アニメ「蛍火の杜へ」で一気に知名度が上がった上色見熊野座神社。この長い参道は、メインとなる登場人物2人が歩くシーンでも有名となり、映画の中でも名場面の1つとなっています。アニメファンの方も追体験をするために多く訪れているとのことです。

異世界の入り口となる門「一の鳥居」


「一の鳥居」をくぐって中へ入っていくと、空気感が突然変わっていくのを多くの人が感じているほど、人の気配を感じない独自の神聖な空気に包まれています。
その神聖さをちょっと不気味に感じてしまう人も少なくないようです。

年代物の個性的な狛犬

この神社には、4種類の対の狛犬がいます。
2種類の狛犬は「一の鳥居」付近、もう2種類の狛犬は「拝殿」と「本殿」前にいます。

中でも、一番目を惹いた狛犬は、異世界の門こと「一の鳥居」手前にいる一番最初に出会う年代物の狛犬。(写真上)
一番、インパクトが強い! さすが異世界の入り口の鳥居付近を守っているだけのことはあります。この神社の狛犬の中でも一番古く、建立された年代も不明なほどのかなりの年代物です。

「二の鳥居」から「拝殿」までの絶景


「二の鳥居」付近から「拝殿」へ向けての光景は、非常に美しい光景ですので、この神社で絶対に外せない絶好のフォトスポットの1つです。

伝説の「さざれ石」

二の鳥居付近で見逃せないのが上り方向で左側にある「さざれ石」。
これは、この神社の参道と本殿から真っすぐ伸びた延長線上にあるこの神社のご神体「穿戸岩」を鬼八法師(きはちほうし)が阿蘇大明神に追われながら矢部へ向かう途中に蹴ってぶち抜いた時に転げ落ちてきた岩の塊とのことです。
この伝説についての説明は、後述にあります。

この岩の上にもコケや草が生えているので、見逃しやすいです。
しめ縄が巻かれているので、「二の鳥居」付近に来たら左側をよく見てみてください。

陽が射すと神々しい拝殿


長い参道の階段を登り切ってすぐに登場するのが拝殿。
境内には、この神社のご神木となっている梛(なぎ)の木もあります。
人の気配がしないこの神社にある拝殿も無人です。

参道の中は多くの杉の木に囲まれていることもあり、木々の間からわずかな太陽の光しか差し込みませんが、階段を上り切った上にある拝殿には、太陽が入る時間になると陽がしっかり射し込むので、神々しさも感じる光景の1つです。
縁結びや商売繁盛のご利益があるので、拝殿でしっかり祈願!


ここまでずっと1人きりで来たので、祈願していると異世界のような不思議な静寂さを尚一層感じ、小声を出して祈願をしても声が静寂さに吸い込まれていくようでした。
そんな最中、突然、別のかすかな声が静寂の中で響いて聞こえたので、ドキツ!として辺りを見渡し、後ろも振り返って見ましたが誰もいません。空耳だと思っていたら今度は獣のような吐息がだんだん荒くなって少しづつ近づいてくるのが聞こえてきました。

恐る恐る階段まで行って下を見たら、かなり遠くの階段の下から「こんにちは!人がいてよかった!」と満面の笑みと大きな声で挨拶してくれ、安心した様子の2人組に歓迎されました。獣のような吐息は階段を上り続けて乱れた呼吸だったんですね…。誰もいないと思っていたので、ブツブツと願い事を小声で唱えていた私の声も相手に不気味に響いたのだろうか…。
不気味な声や音の正体も分かったことや、ずっと一人で心細かったので人が来てくれたことで、私もホッと一安心!


そして、拝殿の左側にあった謎の穴。(写真上)
これは後から分かったのですが、昔、宮守をしていた人が、日々の生活で炭焼きなどを行っていたものだそうです。


拝殿の後方には、小さな本殿もあります。(写真上)
さらに、この本殿から右上の方向を見ると大きな風穴のあいた巨大岩のパワースポット「穿戸岩」が見えます。(写真下)

このスポットのことを知らない人は、拝殿や本殿まで来たら、そのまま折り返して帰ってしまうらしいですが、さらに10分ほど登った先にありますので、ぜひ、足を運んでみてください。

パワースポットであり、この神社のご神体「穿戸岩」


穿戸岩は、縦横10mほどの巨大な風穴があいている岩で、迫力満点のパワースポットであり、この神社のご神体です。

どんな困難をも打ち破り、必ず目標を達成できる象徴にもなっている穿戸岩にあいた風穴でしっかりパワーを授かって、合格や必勝祈願もすると良いでしょう。
お賽銭箱もありました。
風穴からの眺めも最高で、心地良い風が常に吹きぬけているので、非常に良い気にも恵まれています。

私が行った時には、穿戸岩への一番近道となっていた土の階段が熊本地震で崩れてしまっていたようで、迂回路があり、登山用の杖も用意されていました。しかし、どこが迂回路かもわからなかったので、一番の近道の獣道のような急な斜面を登山用の杖を駆使しながら一気に登り、非常にハードだったけど楽しかった思い出が残っています。
私の後から来た2人組は迂回路を見つけて来たらしく、時間はかかったものの、余裕の表情でたどり着いていました。もちろん、帰りは、私も迂回路を利用して帰りましたが、それでも、斜度のある土の道だったので、かなり滑りやすかったです。

しかし、現在は、本殿から穿戸岩までコンクリート舗装されて歩きやすい遊歩道がありますので、登山用の杖などなくても安全に穿戸岩までたどり着けるようになっているようです。

穿戸岩伝説とは?


穿戸岩にはこんな伝説があります。
昔、弓好きの阿蘇大明神が阿蘇山頂から弓を射るたびに、その従者の鬼八法師は、その矢を毎回拾うのを面倒に思い、足の指で挟んで投げ返していました。しかし、最後には、これに激怒した阿蘇大明神に鬼八法師は追いまわされることになり、上色見の外輪山の向こうまで逃げようとしましたが、岩壁(穿戸岩)に妨害され窮地に立たされました。そこで、この岩壁を思いっきり蹴破ると、その岩穴から無事、逃げ去ることができました。
この岩が「穿戸岩」として伝えられており、上色見熊野座神社のご神体となっています。

上色見熊野座神社のご利益


農耕関連の金運の神にもなっている上色見熊野座神社は、主に商売繁盛と縁結びのご利益があることで知られています。

この神社の御神木は、熊野権現の御神木になっている「梛の木」。「凪」という文字にかけて、「波風を穏やかになる」ということから、古くより梛の葉には魔除けのパワーがあるとされています。こうした理由で、旅の道中の守護に持ち歩く人も昔から多くいました。
また、梛の葉には葉脈が無く、縦方向に繊維があるので、横に引きちぎることが非常に難しいことから、縁結びのご利益の象徴にもなっています。
恋愛成就はもちろんのこと、ビジネスなどに関しても良いご縁に恵まれるという商売繁盛のご利益があることでも知られています。

さらに、この神社の御神体となっている大きな風穴があいている「穿戸岩」に触れると、必勝、商売繁盛、合格祈願、学力向上などのご利益があると言われています。また、常に心地よい風が吹き抜けており良い気に恵まれているこの岩の風穴では、どんな困難をも打ち破ることができる力強いパワーを授かれるとのことです。

御朱印について

人の気配さえも感じない独自の雰囲気を持つ上色見熊野座神社には社務所もありませんので、現在までのところ、残念ながら御朱印を授かることはできません。

上色見熊野座神社へのアクセス方法


上色見熊野座神社へは、車によるアクセス方法がおすすめです。
この神社の最寄り駅の南阿蘇鉄道「高森駅」からでも車で10分ほどかかる場所に位置しています。近くにバス停もあるとのことですが、非常に本数が少ないので不便です。

この神社の入り口は、車で行くと見逃してしまう人も多いスポットにあるので、「色見郵便局」(熊本県阿蘇郡高森町大字上色見2614-6)を目当てに行くのがおすすめ。
国道265号線を色見郵便局に向かって進めば、この郵便局の向かいに上色見熊野座神社の入り口(写真上)があります。そこから100メートルほど先に進むと無料の専用駐車場(最大10台)も用意されています。

上色見熊野座神社の基本情報

住所:熊本県阿蘇郡高森町上色見2619
電話番号:0967-62-1111(高森町政策推進課)

書いた人

猫と旅が大好きな、音楽家、創作家、渡り鳥、遊牧民。7年前、ノラの子猫に出会い、人生初、猫のいる生活がスタート。以来、自分の人生価値観が大きく変わる。愛猫を連れ、車旅を楽しむも、天才的な方向音痴っぷりを毎度発揮。愛猫のテレパシーと自分の直感だけを頼りに今日も前へ進む。