私たちを、今なお楽しませてくれる浮世絵の数々。美術館に縁遠いという人でも、商品のパッケージなどで浮世絵を目にすることは多いと思います。すぐに名前があがってくる絵師と言えば、葛飾北斎や歌川広重、喜多川歌麿でしょうか。
おっと、忘れてはいけない! 奇想天外で奇抜な浮世絵で驚かせてくれる歌川国芳! 巨大なドクロの妖怪が迫ってくる『相馬の古内裏』は、一度見たら忘れられないほどインパクトがあります。
国芳は豪放磊落(ごうほうらいらく)な性格で、70人以上もの弟子がいたことで知られています。一般的には無名の弟子たちは、子ども向けのおもちゃ絵作品を描きました。その素晴らしい作品の一部をご紹介しま~す!
国芳の『相馬の古内裏』を紹介しているこの記事もどうぞ!
妖怪がしゃどくろとは何だ?巨大ドクロと歌川国芳の作品の関係を解説!
圧巻の芳藤の描写力!
歌川芳藤が描くおもちゃ絵は、構成や画力が素晴らしくて圧倒されます。残念ながら個性的な弟子たちの中で、大人向けの浮世絵では名を残したとはいえません。それでも、おもちゃ絵のクオリティの高さから、もしも現代に生きていたら売れっ子イラストレーターか、絵本作家になっていただろうと惜しまれます。
おもちゃ絵は子ども向けなため、遊び終われば捨てられてしまう運命にありました。多くの作品は焼失してしまっているのが残念です。ていねいな仕事ぶりから「おもちゃ絵の芳藤」と呼ばれています。
まるで『ウォーリーを探せ』のよう! 何人子どもが描かれているのか? 当時は火消しがヒーローだったことがわかりますね。
くすっと笑える芳兼のはんじ絵
師匠の国芳は、ポップでユーモア溢れる作品も多く描きました。そんな師匠譲りの面白いおもちゃ絵を描いたのは、歌川芳兼。提灯傘職人の家に生まれましたが、髪結床の表障子に描いた絵が国芳の目にとまり、これが縁で入門したと伝えられています。何か師匠を惹きつけるものがあったのでしょう。
はんじ絵と呼ばれるこの作品は、江戸時代の庶民の娯楽として人気がありました。絵の中に隠された意味や言葉をあてさせるなぞ解きです。きっと家族でこの絵を見ながら、わいわいと楽しんでいたのでしょう。
さあ、隠されているなぞなぞがわかりますか? 頭の体操を試みて下さい!
なかなか難しかったでしょうか? 実は、私も全てはわかりませんでした。
ゴメンナサイ。
樽(たる)に濁点と摩→だるま
籠(かご)を蒸籠(せいろ)で蒸している→虫かご
逆さまの蔵を焼く→楽焼(らくやき)
的と井→纏(まとい)
橋と子ども→はしご
歌川広重の弟子・重宣(しげのぶ・二代目歌川広重)も、楽しいはんじ絵を描きました。こちらで紹介しています!
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おもちゃ絵に注目すると、浮世絵がより身近に感じられて楽しめますよ!!
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