Gourmet
2021.01.11

「カリソンデクス」って何?一服のお供におススメ♪抹茶と相性抜群のフランス菓子5選

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抹茶には、やっぱり和菓子じゃなくっちゃ! そんな風に、思っていませんか? いえいえ、そんなことはないんです。 和菓子が意外にも珈琲に合うように、フランス菓子が、抹茶との素晴らしいマリアージュを奏でてくれます。

「マリアージュ」はフランス語で結婚を意味しますが、料理とワインの相性を表す場合にも使います。 フランス在住(執筆時は日本滞在中)の私が、現地で見つけた抹茶に合う美味しいお菓子をご紹介します。

どんなお菓子が抹茶に合う?

では、抹茶に合うお菓子とはどのようなものでしょうか。私が考える条件は、「一口か二口で食べられる」「甘さが凝縮されている」ことです。例えば、紅茶でゆっくりいただくケーキのようなものではなく、エスプレッソを飲む前に、ポンっと口に入れるタイプのスイーツをイメージしてもらうといいかと思います。

ところで、フランスで「アン カフェ、シルブプレ! (コーヒーください)」と言うと、エスプレッソが出てきます。そのエスプレッソには、たいていチョコやクッキーが添えられています。一口か二口で食べられるという条件にぴったり。こんな小さくて甘いお菓子が、他にも色々とあります。旨みや苦さなどが凝縮しているという点で、抹茶とエスプレッソは似ていると常々思っているのですが、お供に合うお菓子も似ているようです。

1 ショコラ(Chocolat)

カカオの深い味わいに加え、フルーティーさすらも感じる驚きのショコラに感動してから大好きなショコラティエ、ジャン=ポール・エヴァンさんのショコラ。見ているだけでも幸せになれる小さな甘い宝石たち♡

フランスへ行くと、どの町に行っても、ショコラティエ(チョコレート職人)と書かれた店を見かけます。 店に入れば、甘くビターな香りが広がり、ショーケースを覗けば、アートのように仕上げられたショコラたちが並んでいます。 オレンジピールをチョコレートで包んだもの、噛めばトロッとウイスキーがこぼれ出てくるもの、ナッツやドライフルーツが入っているもの……色々ありますが、お茶菓子におすすめなのは「ボンボンショコラ」。 見た目も綺麗で品がよく、口に入れると濃厚な香りとショコラのシンプルながら深い味が広がり、そのあとにいただく抹茶が待ち遠しく感じるほどに芳醇な甘さで満たしてくれます。

2 カリソン デクス(Calissons d’Aix)

古都エクス-アン-プロヴァンスにある最も歴史あるレオナール・パルリ社の幸せを呼ぶ銘菓、カリソン デクス。

1454年頃、南フランスにあったプロヴァンス王国の王様が、あまり笑顔を見せない王妃を喜ばそうと、宮廷の菓子職人に作らせたものと言い伝えられています。良質のアーモンドに、メロンやオレンジピールなどの砂糖漬けを練り混ぜて作られ、表面に砂糖と卵白のアイシングを施された繊細で深い味わいのお菓子です。

しっとりとした歯応えに、小さいながら品格と存在感が溢れる王妃のお菓子は、抹茶菓子としても、見た目と味の両方がとてもマッチしたものだと思います。

3 デーツ(Dattes)

完全無添加、砂糖不加のデーツは、甘くて一粒でも満足、ビタミンも摂取できるスイーツ!

デーツとは、木に実をつけたまま乾燥させた、「ナツメヤシ」の天然ドライフルーツのことです。中近東諸国では、代表的な果実として多くの人々に日常的に食されているそうですが、フランスでもよく見かけるおやつのひとつです。

砂糖漬けかと思うほど凝縮された甘みが強く感じられ、干し柿のようなコクのある深い味わいがします。食物繊維、ミネラルやカリウムが豊富で、出来ればお菓子は避けたいのだけれど……というヘルシー志向の方には、ピッタリだと思います。おやつに一粒、抹茶一服を頂けば、栄養満点なティータイムになるでしょう。

4 マロングラッセ(Marron glacé)

大きめの栗が使用された、一粒から購入できるマロングラッセは、かなり完成度の高い一口スイーツです。フランスでは、秋口あたりからあらゆる食料品店の店頭で見かけるようになります。お試しあれ!

栗の砂糖漬けのお菓子です。栗を糖度20度のシロップで煮た後、徐々に糖度を上げていき、最終的に32度まで高め、最後に30度に落として出来上がります。日本でも「栗の甘露煮」がありますが、同じ栗と言っても全く別のスイーツと言えるほど違います。栗の甘露煮は脇役として登場することが多いかと思いますが、マロングラッセは主役級です。

そしてマロングラッセは、じゃりっと感じるくらい砂糖をたっぷり含んでいて、口に入れると甘く優しく崩れていき、そこで栗の香りがふわっと広がります。柔らかいのだけれど、不思議と弾力もあるような感じがくせになるお菓子です。もちろん、栗なので想像通り、抹茶ともよく合います!

5 レザン ドレ オー ソーテルヌ(Raisins dorés au sauternes)

黄金のブドウを意味する「レザン ドレ」。レーズン嫌いな人すら振り向かせる! クオリティが飛び抜けていると人気なのがヴェルディエ(Verdier)社のもの。

芳醇で甘さが際立つソーテルヌという高級ワインに数日間付け込まれたレーズンを、保水のための粉砂糖をまぶし、大きな銅製の鍋に入れます。その鍋を回転させながら、少しずつチョコレートを加えてコーティングしていくのです。どこか、金平糖(こんぺいとう)を思わせるような職人技を要する一品です。一粒は小さくても、十分にお茶菓子となれるほど味も甘さもしっかりしています。お菓子はほんの少しでいい、というときなどにお勧めです。

番外編! ベラヴェッカ(Berawecka)

ドライフルーツにナッツ、エピス(香辛料)がギュギュっと凝縮されたベラヴェッカは、テーブルコーデの一部にもなるほど華やか☆

先日、デパートをうろついていたら見つけたこの一品。抹茶に合いそう! と思いながらも、まだ試せてはいません。 なので、番外編としてご紹介させていただきます。

ベラヴェッカは、フランス・アルザス地方に伝わるお菓子で、クリスマスシーズンになると顔を見せます。アルザスの言葉で「洋梨パン」という意味があるらしく、洋梨をはじめ、様々なドライフルーツやナッツ類がたっぷり含まれていて、ふちからカットして頂くタイプのお菓子です。特に、フランスでも活躍されているパティスリー・サダハル・アオキ・パリさんのベラヴェッカは、見た目の華やかさと品の良さと美味しさが、バランスよくまとめらているように感じられ、目に留まりました。

広報の方にお聞きしたところ、「テクスチャ―は、ドライフルーツをぎゅっとまとめたような柔らかなもので、そこにナッツのカリっとした食感がプラスされている。スパイスの味わいが強く、キルシュ(サクランボのリキュール)に漬け込んだフルーツが華やかさを増し、大人の味わいがする」とのこと。私の頭には、友人たちを招いたホームパーティーで、最後にカットしたベラヴェッカと鉄瓶を卓上に置き、みんなで談笑しながら抹茶を点てていただく、というような光景が浮かびました。ベラヴェッカは、素敵な演出にもなりそうです。

他にも、フランスには小さくて可愛らしい、美味しいお菓子が沢山あります。私自身も、まだ全てを把握できていないので、これからももっと見つけていきたいと思います。「甘さ控えめ」が人気を呼ぶ日本とは変わり、「甘くなくては、スイーツではない!」と言わんばかりのフランス菓子。食べ過ぎるのが怖いところですが、抹茶と合わせて頂くのにはピッタリだと思います。来客があったときなど、小さな洋菓子に抹茶を添えて差し上げるだけでも、素敵なおもてなしになると思いませんか? 是非、皆さまも色々と試してみてくださいね。

ジャン=ポール・エヴァン(ショコラ)

店舗名: ジャン=ポール・エヴァン 表参道ヒルズ店
住所: 東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ本館1F
営業時間: 月〜土曜日 11:00〜21:00 / 日曜日 11:00〜20:00
定休日: 不定休
公式webサイト: https://www.jph-japon.co.jp/

レオナール パルリ(カリソン デクス)

店舗名: Confiserie Leonard Parli
住所: 35, avenue Victor Hugo, 13100 Aix-en-Provence, France
営業時間: 9:30~19:00
定休日: なし
公式webサイト: https://www.leonard-parli.com/

ヴェルディエ(レザン ドレ オー ソーテルヌ)

店舗名: Confiserie Leonard Parli
住所: 3 Allée des Brannes, 64121 – Serres-Castet, FRANCE
営業時間: 平日9:00~18:00 土9:00~12:00(18:00)季節による
定休日: 日曜日
公式webサイト: https://www.maison-verdier.com/

パティスリー・サダハル・アオキ・パリ(ベラヴェッカ)

店舗名: パティスリー・サダハル・アオキ・パリ 丸の内店
住所: 東京都千代田区丸の内 3-4-1 新国際ビル1F
営業時間: 11:00 – 20:00
定休日: 不定休
公式webサイト: https://www.sadaharuaoki.jp/

書いた人

好奇心と行動力で何とか生きてきたバックパッカー兼茶人。現在は、日本とフランスを行き来しながら3人の子供を育てている。世界青年の船乗船後、江戸時代から続く茶家にご縁を頂き、本格的な茶の湯修行を始め、現在はフランスでも茶の湯のデモンストレーションをするなどその普及にゆるく励んでいる。心理学を織り交ぜた茶の湯セラピストとしても活動中。