ナマズ、タナゴ、カマス。一見なんの関係もない魚たちですが、この3種類とゆかりの深い、日本の工芸品があります。
さて、それは何でしょう?
正解は、日本刀!
正解は、日本刀。
といっても、魚それ自体と繋がっているわけではありません。
それぞれ見ていきましょう。
ナマズのしっぽ
ユーモラスな表情がかわいらしいナマズ。地震を引き起こすと考えられていて、江戸時代の絵には、石で押さえつけられているナマズが描かれていたりします。
そんなナマズくんと刀との関係は、「しっぽ」。
名刀「鯰尾藤四郎(なまずおとうしろう)」は、持ち手部分にあたる「茎(なかご)」がナマズのしっぽのような形をしているところから名付けられたとされています。
もともとは薙刀(なぎなた)だったものを切り詰めて短くしてあり、現在は刃長38.5cmの「脇差(わきざし)」になっています。
タナゴのお腹
タナゴはコイ科の淡水魚で、日本固有種の中には国の天然記念物に指定されているものもあります。
タナゴと刀との関係は「お腹」。
刀の持ち手部分の茎が、タナゴのぷくっとふくらんだ独特の形に似ているものがあり、こうしたものを「たなご腹」と呼びます。
有名な村正の刀も、このたなご腹です。
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カマスの口
カマス、おいしいですよね。焼き魚にしてレモン汁をかけると絶品。
カマスと刀との関係は、「口」。
刀の先端の尖った部分「鋒(きっさき)」が、カマスの口のように直線的に尖っているものを「かます鋒」と呼びます。
多くの刀の鋒は丸みを帯びていますが、まっすぐな刀身を持つ「直刀(ちょくとう)」はじめ、わずかですが、こうした「かます鋒」の刀が存在しています。
参考文献:
・『名物刀剣 ―宝物の日本刀―』2011~2012年 4館合同展示会図録
・『世界大百科事典』平凡社
・『日本国語大辞典』小学館