SNSにかわいい動物の写真や動画が流れてくると、顔を緩ませながらつい見入ってしまいますよね。お気に入りは保存して、何度も見返しちゃうことも! そんな現代の私たちと同じように、江戸に暮らした人々も、動物の浮世絵を買ったり飾ったりして楽しんでいました。
太田記念美術館では、2022年7月30日(土)~9月25日(日)まで「浮世絵動物園」が開催されました。キュンキュンしちゃうかわいい動物だけでなく、ファッションリーダーたちが着こなすアニマル柄、シュールな擬人化など、さまざまな表情のいきものが楽しめます。
かわいい!かっこいい!ちょっと不思議?江戸の動物たち一挙紹介
江戸の街には、たくさんの動物が人と一緒に暮らしていました。動物の日常を切り取ったさまざまな浮世絵が「浮世絵動物園」で楽しめます。
人気のペットたち
江戸でも犬や猫はペットとして大人気! とりわけ猫は人気が高く、浮世絵に描かれたペットの中では、猫が一番多いのだそうです。
展示されている浮世絵では「きめ出し」という技術を用いて凹凸を出した質感も楽しめます。毛並みまでしっかり表現されていて、思わず頬擦りしたくなっちゃう!
犬派のあなたもご安心を。かわいいワンちゃんの浮世絵もたくさん! こちらは女性の肩に乗って、一緒に手紙を見る姿がかわいすぎますね。ペットを飼っている方は「ウチの子」に似た猫ちゃんワンちゃんを見つけられるかもしれません♡
とま子さんが「たぬきみたい」と言ってますが、これは狆(ちん)という愛玩用の犬。高価だったので、上流階級やお金持ちが飼っていたのだそうですよ。そんな江戸のペット事情がわかるのも「浮世絵動物園」の見どころのひとつです。
働く動物
現代のように車や電車がなかった時代、牛や馬などの動物は、人々と生活を共にするパートナーでした。江戸の街で活躍していた動物たちの活き活きした姿が面白い!
大名行列を見ようと、牛の上に子どもたちが上っています。普段の生活に牛が溶け込んでいるのがよくわかる一幕です。
こちらは大胆な構図で描かれた馬です。足元には馬糞もポロリ。そんなありのままの姿がいとおしい♡
これぞ、ファッションモンスター!!
大人になると動物が描かれた洋服を着るのは少し恥ずかしくなってしまいませんか? 当時のファッションリーダーだった遊女や役者たちは、男女問わず動物を大胆にファッションに取り入れていました。
まさにファッションモンスター! 「粋」なアニマル柄の取り入れ方、現代でも真似してみたい!
擬人化
風紀を乱すといった理由で、幕府から遊女や役者の絵を描くのが禁止された時期もありました。そんなこと言われたら、かえって燃えちゃうのが江戸の職人魂というもの。浮世絵師たちは動物を擬人化して、新たな文化を発信しました。
こちらは擬人化したうさぎたちが相撲をとる様子です。明治4~6年頃にうさぎが投機の対象となり、繁殖させるのが大ブームに。ハマりすぎて破産する人も出たのだとか。社会現象となった兎には「兎税」がかけられました。
アイキャッチ画像でご紹介した浮世絵はこちら。一体何の動物でしょう? 答えは……カエル!!
カエルに見立てられた歌舞伎役者たち。なかなかシュールな絵で、思わず笑ってしまいました。カエル化された歌舞伎役者はどんな気持ちだったのか気になります。
虎×石!? 太田記念美術館のあのキャラクターも!
太田記念美術館でぬいぐるみも作られているこの動物、一体何なんでしょう。
実はこちら大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも登場した曽我兄弟にまつわる石。詳しくはこちらのnoteをご覧ください!
ぬいぐるみは太田記念美術館で購入することもできます。虎×石という一見硬派な組み合わせですが、ゆる~い笑顔に癒されます。
SNSでもかわいい浮世絵動物たちが話題に!
今回の展示作品の一部をTwitterでご紹介したところ、想像以上の反響が! いつの時代もみんな動物が大好きですね♡
【セレブな犬】
正月に琴や三味線などを演奏する弾き初めの様子を描いた浮世絵。武家の姫君の前で琴を演奏する人物を、神妙な面持ちで見つめるのは犬の狆(ちん)。姫君のお気に入りなのでしょうか。フリルのついた首輪でおめかし、座布団の上に座り演奏に耳を傾けているようです。#浮世絵動物園 pic.twitter.com/bOLM0Xv5Ig— セバスチャン高木|和樂web&藝大アートプラザ編集長 (@warakuweb) August 10, 2022
【僕を見逃さないで】女性が帰ろうとする男性を引き留めています。その後ろには、ツルにぶら下がる手長猿の絵。猿が水中に映った月を取ろうとするが、つかまっていた枝が折れて溺死したという故事から、この絵は身の程をわきまえないと失敗してしまうことを指しています。恋の行方は… #浮世絵動物園 pic.twitter.com/2jpRxfXOaD
— セバスチャン高木|和樂web&藝大アートプラザ編集長 (@warakuweb) August 12, 2022
【遊女の手のひらに乗っているのは?】
品川遊廓の1室で、若衆に寄り添う遊女が手のひらにのせてなでているのは……なんと、鼠🐀江戸時代、鼠の飼育ブームがありました。その人気は飼育書が出版されるほど🐁 #浮世絵動物園 pic.twitter.com/CGAhmCSmiC— セバスチャン高木|和樂web&藝大アートプラザ編集長 (@warakuweb) August 18, 2022
【鳥人間】
浮世絵には擬人化された動物たちがしばしば登場します。こちらは遊郭の客をさまざまな鳥の姿で描いた浮世絵。手前ではサギとカラスを中心に鳥たちが大喧嘩!右奥には座敷で宴会をするお大尽の鳥たち、左奥には滞在の長い居残りの鳥が見えます。フクロウの表情、かわいいな…#浮世絵動物園 pic.twitter.com/WlkDHjUnh1— セバスチャン高木|和樂web&藝大アートプラザ編集長 (@warakuweb) August 25, 2022
おうちでも「浮世絵動物園」が楽しめる!
美術館に足を運ぶのが難しい方でも、おうちで「浮世絵動物園」が楽しめる書籍が好評発売中! 128ページにわたって、太田記念美術館に所蔵されている動物たちの浮世絵が掲載されています。枕元において寝る前に見れば、動物ワンダーランドへ迷い込んだ夢がみられそう♡ 江戸の動物たちや浮世絵についての詳しい解説も掲載されているので、楽しみながら江戸に詳しくなれちゃいます!
『浮世絵動物園 江戸の動物 大集合!』
監修/太田記念美術館
著/赤木美智、渡邉晃、日野原健司
定価:2,640円(税込)
B5判並製
128ページ
小学館
ISBN978-4-09-682360-6
展覧会情報
浮世絵動物園
2022年7月30日(土)~9月25日(日)
前期 7月30日(土)~8月28日(日)
後期 9月2日(金)~9月25日(日)※前後期で全点展示替え
8月1、8、15、22、29~31、9月1、5、12、20日は休館
開館時間:10時30分~17時30分(入館は17時まで)
入場料:一般 1200円 / 大高生 800円 / 中学生以下 無料
詳細は公式サイトにて
太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art