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2024.01.19

小学校で習う計算。筆算っていつから日本にあるの?

この記事を書いた人

ある日宿題の算数ドリルの丸付けをしている時、息子に
「お母さんの時代って筆算あったの?」と聞かれました!
「もちろんあったよ!」と答えました。
しかし、そこでふと…そういえば筆算っていつからあるのだろう?? と疑問に思い、調べてみました!

そもそも筆算とは?筆算の前は?

筆算とは、紙に書きながら行う計算手法のことです。筆算以外では、暗算やそろばんなどがあります。
まず、江戸時代以前の数学については史料があまりのこっておらず、算木という道具が使われていたそうです。
そして、史料の残る江戸時代初頭の算術といえば、そろばんを中心とした「和算」でした。
そろばんは中国で発明され1590年代には日本に流通し始めていたとされています。
和算とは

江戸時代、日本で独自に発達した数学。江戸時代初期からのわが国の数学をすべて和算という場合もあり、日本独自の発達を始めた関孝和 以後の数学をいう場合もある。和算ということばは洋算に対するものである。(日本大百科全書)

日本初の西洋数学書

そんな「和算」が中心である日本に1857年(安政4年)初めての西洋数学書が出版されました。

江戸時代末期から明治時代の数学者・福田理軒が書いた、「西算速知」です。中国に伝わった西洋数学をもとにした本で、その数学的内容の中心が筆算だったのです!

「西算速知」 福田理軒 述、花井健吉 編、曾根栄道 記 国文学研究資料館所蔵

漢数字の筆算が書かれていますね!12+24+38+62+95の筆算です!
筆算にしても多いな…と文系の私は思ってしまいます…

右のページはまず1の位の計算
2+4+8+2+5=21
今とは違い上に線を引いて繰り上がりの2は線の上に書かれています!
そして左のページ10の位の計算です。
繰り上がりの2を合わせて…
2+1+2+3+6+9=23

12+24+38+62+95=231

と答えが導き出せました!

同じ年の秋には柳河春三が書いた、「洋算用法」が出版されています。こちらはオランダ人から教えてもらった西洋数学をまとめたもので、アラビア数字での筆算が紹介されています。

筆算は江戸時代後期に日本に伝わり、とても画期的なものだったのですね!

参考文献
「筆算をひろめた男 幕末明治の算数物語」丸山健夫 臨川書店 2015年
国会図書館「江戸の数学」 https://www.ndl.go.jp/math/
日本大百科全書 小学館

アイキャッチ画像:「西算速知」 福田理軒 述、花井健吉 編、曾根栄道 記 国文学研究資料館所蔵