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植物が茂り、ホタルなど生物がいっせいに動き出す夏。ものすごい湿気のなか、黙々とうつわづくりに没頭する。
芒種 ぼうしゅ
美しい新緑を目にすると
染付に心が向いてくる
心洗われるような緑がガラス窓に映り込み、室内も緑陰(りょくいん)に包まれるころ。樹々の生命力がまぶしい季節です。村田さんは、さまざまなタイプのやきものをつくりますが、最も得意としているのは染付のうつわ。呉須(ごす)にこだわり、青色が明るく出過ぎないよう微調整しているそう。少しの加減で大きく変わってくると言います。
夏至 げし
夏の真ん中、昼間の時間が
一年で一番長い日
夏至(6月21日ごろ)の前後およそ20日ずつが梅雨。雲ケ畑は湿気が多くなり、うつわを乾燥させる板も1日で黴(かび)が発生するほど。「夏には、ガラスのうつわが増えてきますよね。そこに似合うモダンなうつわを考えました」。こちらは、化粧土(けしょうつち)の白と鉄釉(てつゆう)の黒に、搔(か)き落としの技法で草花文を釘彫で表現しています。
村田 森 むらた しん
1970年京都生まれ。1993年に京都精華大学陶芸科を、翌年に同研究科を卒業。荒木義隆氏に師事後に独立。2003年に京都・雲ケ畑に築窯し、年間10回以上個展を開いてきた人気作家でありながら、2016年に新作の発表を停止。2020年に、現代美術家の村上隆氏とともに陶芸専門店「となりの村田」(https://tonarinomurata.com/)を立ち上げ、二十四節気をテーマにした392点のうつわの受注生産を始める。
撮影/篠原宏明、小池紀行 構成/植田伊津子、後藤淳美(本誌)
※本記事は雑誌『和樂(2023年2・3月号)』の転載です。
※表示価格はすべて税込価格です(「となりの村田」https://tonarinomurata.com/)。
※掲載商品には1点ものや数量が限られているものがあり、取材時期から時間がたっていることから、在庫がない場合もあります。