食パンが美味しい京都の老舗&新定番のパン屋さんへ。
京都人が愛してやまない、食パンが看板の4軒を紹介するシリーズ、今回は「天狗堂海野製パン所(てんぐどううみのせいぱんしょ)」です。
京都人の愛する「街のパン屋さん」シリーズ一覧はこちら。
幼子から映画人まで通う創業100年超の老舗
「天狗堂海野製パン所」(西大路三条)
レトロな対面式のショーケースが目印の「天狗堂海野製パン所」があるのは、京都・壬生(みぶ)の三条通沿い。以前は多くの映画関係者がこの道で太秦(うずまさ)の撮影所に通い、店にも立ち寄りました。若かりし日の里見浩太朗(さとみこうたろう)も度々この店であんパンを購入し、撮影所に通ったひとりだそう。そんな華やかな逸話がある一方、近所の子供たちの〝はじめてのお使い〟の場になることが多いという話も納得の、優しい時間が流れる店です。
大正時代に創業した店は一昨年100周年。3代目の海野 滋(しげる)さん、謹子(きんこ)さん夫婦が営む店は、パンになじむようクリームもあんも自家製。
「世界一美味しい」とお客さんの口コミから評判になった「レーズンブレッド」は、1か月ラム酒に漬けたレーズンをたっぷりシロップごと練り込み、シナモンを隠し味に。採算度外視にも映る手間と素材使いにパンへの愛着を感じます。
ラム酒の香りが漂う「レーズンブレッド」