和樂web編集部スタッフがリレー形式で日本文化の思い出をつづるシリーズ! 第5回は、編集部Cさんからバトンを受け取った小俣荘子が担当します。お題は、「浴衣」!
Cさんから、「ご家族で和装を嗜んでいる」なんて素敵に紹介いただいたのですが、我が家は洋服リテラシーが低すぎて、着物でお茶を濁す感じで生きております(お察しください)。そんな、非オシャレさんな私が浴衣に大変お世話になったエピソード、今日は書こうと思います!
▼第4回の編集部Cさんの記事はコチラ
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▼和樂webには、ちゃんとオシャレ系の浴衣記事もあります!
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パン屋で火傷はえぐい
なんだか最初から話がそれるようですが、きっとあとで繋がるのでまずは聞いてください。もう10年以上前の話ですが、早朝にパン屋さんのお手伝いをしていました。
パンの香りに誘われるがままに始めたお仕事でしたが、もともと夜行性のタチなのに朝方はとにかく眠い! (そりゃそうだ!)&業務用オーブンは大きくて天板もめっちゃ重い!(私は小柄!) という合わせ技で、ちょいちょいボンヤリうっかり熱々の天板の角を腕に当ててしまって、アチチっということがありました。
たいてい大した怪我にならない程度でしたが、ある時、2度ほど立て続けにガッツリ天板で腕を美味しく焼いてしまい……。
慌てて冷やしたものの、発酵にも焼き上がりにも待ったなしのパンたちに気を取られ、雑な手当でそのまま放置。
多少ジンジンするなぁと思いつつ、持ち前の呑気さで「まぁ大丈夫だろう」と数日おいておくと赤みが引くどころか、あれ?広がってきているぞ?? なんだか重症な気配がじわじわと……。
さすがにマズい気がして、病院に駆け込んだところ、先生に「これは大変!」「治るまで紫外線NGです。長袖で過ごしてネ」と、言い渡される始末。
時は6月。日差しも暑いのも苦手で(だって夜行性である)、毎年Tシャツに薄手のゆるっとボトムスでやり過ごしていた私は、長袖生活なんて考えられず。もう溶けてなくなるしかないのでは? いや、綺麗に消えられればいいけど多分熱中症とかヤバそうである……、どう考えても無理くない?! という状況に陥った。
そんなとき、天啓が降りてきた。
暑いなら、浴衣を着ればいいじゃない?
思い出したのは、以前浴衣で出かけた帰り道、電車内のエアコンが普段より身にこたえたこと。(人間、暑くても寒くてもダメなんですね……)
浴衣は袖が長くても、襟や裾、袖周りが大きく開いているからか、案外洋服で出かけるよりも涼しかったのである。
さすがに、ゆるゆるTシャツ&短パン姿には敵わないかもしれないが、長袖を着て、それに合うシュッとした感じでお出かけするよりは快適だったり…する?? なんて。
そもそもあちら様(浴衣様)は、もともと湯上がりのリラックスウエア。Tシャツ、Gパンくらいのノリはむしろ気軽で良いのでは……。
私でも大丈夫な気がする!! と、浴衣生活にチャレンジすることに。
着付けも楽にしかやらないぞ!
使うのは、浴衣に半幅帯、腰紐2本と伊達締め、帯板だけの最小限のアイテム。下着には、エアリズム的な半袖とステテコを着るだけ、としたら着付けは5分ちょっとで完了してしまう。あれ、紐やボタンが付いてるワンピースを着るのと変わらない所要時間??
出かけるとやはり涼しいし(電車のエアコンむしろ寒い時も……お腹周りに布があるからおなかに優しいのも良き)、楽なのであった。
そして、帯の結び方も背中がぺったんこになる形、たとえば「貝の口」と呼ばれる簡単結びにすると、椅子の背もたれにも洋服の時と同じようにもたれられるし、なんと、リュックサックやPCの入ったショルダーバックも難なく背負えた。
足元も、下駄や草履でなく、サンダルでも。なんならスニーカーやパンプス、バレエシューズだって合わせられた。
おぉ、これはどこでも行けてしまう!! 和のカジュアルウエア、最強である。
少しキチンと感を出したい時は、半衿と足袋を加えて(結局草履は鼻緒が慣れなくて、靴下に靴でやりすごした! )。と、あれやこれや易きに流れ続けたら、思いのほか楽チン快適な夏を過ごせたのであった。
腰痛にも優しかった
さらに有り難かったのは、帯が腰に優しかったこと。わたくしめ、ちょいちょい腰痛に悩まされるのですが、コルセットがあわなくて難儀したとき、しなやかに体を支えてくれる伊達締めや半幅帯に何度も助けられた。
火傷が治った今も、腰が痛い時は部屋着の上から帯を巻いてPC作業に向かうなど、めちゃくちゃお世話になっている。
横着者の私が楽だ楽だというものだから、友人たちも浴衣を着るように。慣れてくるとアレンジしてちょっと着飾ることにトライするのも楽しくなって、お茶したり美術館やビアガーデンに行ったり、夏は「浴衣でお出かけ」が我ら定番の遊びに加わった。
小さなフィッティングルームの付いたお手洗いなどあったらササっと着せ合えるから、初めての子も巻き込んでみたりして。ユルユルと楽しんでいる次第です。
次のテーマは「少女漫画」
リレーのバトンは、山見美穂子さんへ!! 茶の湯と少女漫画がお好きで、愛読しているロマンス小説と『光る君へ』の相違点を探る(なにそれ気になる!!)のが楽しみという山見さん。テーマは、ぜひ「少女漫画」でお願いします!
▼山見さんも登場する座談会記事、めっちゃおもしろかったです!
『光る君へ』推しライター座談会! ハラハラドキドキ♡展開と今後の見どころは?